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11.奪い取ってしまえばいい

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(レイモンド様はソニアさんに婚約破棄を言い渡している頃かしら?ふふっ、これで公爵夫人の座は私のものになるわね)

事はメイリンの思うように運んでいた。

彼女がレイモンドと出会ったのは半年前。
フォリフィア王女が主催するパーティーだった。
身分・気位ともに高い義姉の引き立て役にどうしてもならざるを得ないので、以前より付き合いを毛嫌いしていたが、この時だけは感謝した。

メイリンにとって、レイモンドは理想的な男性だった。
穏やかな性格、整った顔立ち、アルファの遺伝子。
そして何よりも魅力を感じたのは公爵令息という地位だ。

メイリンはヴィッチ子爵と高級娼婦の妾との間に生まれた娘だった。
しかしながら同母兄のフウは男という性別だけで、子どものいなかった正妻の養子として迎えられた。
幼い頃から愛らしい容貌であった彼女だって兄と同じように両親から愛情たっぷりに育てられたものの、嫡男と庶子という身分の差は妬ましくて妬ましくて仕方なかった。
そしてそれは異常なまでに地位への執着へと繋がっていった。

レイモンドと結婚すれば、ゆくゆくは公爵夫人になれる。
妾から産まれた子爵令嬢なんかよりもずっとずっと上の存在になれる。

その輝かしい未来の前では彼に運命の番である婚約者がいるという現実はどうでもよかった。
だってそんなもの奪い取ってしまえばいいのだから。
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