上 下
3 / 10

全ての始まり-その3-

しおりを挟む
 新しいマナー講師が決まるまで、ラウラは自由にして良しとのお達しが出てしまったことにより、ラウラは父の言う通り、自由にしていた屋敷中を……。

 そうして過ごしていたため、ラウラはあれほど近づくなと言われていた、女主人が使うべき部屋にホイホイ近づき。
 ついに、恐れていた事態が発生してしまった。
「……」
「初めまして、ラウラ·アルドリッジです。よろしくお願いします。おば様」

 そう、アルドリッジ男爵夫人こと我らがマミー、カロリーナ·アルドリッジとのエンカウントである。

 (遅かったか……おい、テオ!!この時間は是が非でも母さんをここに連れてくるなとあれほど……)
 (ごめん、姉さん……!!母さんがどうしても、庭で日向ぼっこしたいって言って聞かなくて……)
 (腕を失ってでも止めろよ!!バカチン!!)
※以上の会話は全てテレパシーでの会話です。この2人は特殊な訓練を受けています。

「……おば……様……」
 あぁー、ラウラのおば様発言で母さんの額に青筋が何本も~!!
「……カトレア」
  母は自らの侍女であり、侍女長を務めるカトレア·ターレットを静かに呼び出した。

 (怒ってる……やっぱり怒ってるよぉ……泣)
 (仕方ない事だよなぁ、父さんが自分の子だっつって連れてきて事後報告だったんだもん……)
 (しかもその子のマナー講師に、次女を任命した事も事後報告だった訳だからね……そりゃあ……怒るわ……)
 (相変わらず怖ぇ~……:(´◦ω◦`):)
 (さすが、元社交界の華であり、現社交界の華(フラン姉様)の母!!並のお怒りじゃねえ……てか美人が怒ってるのって普通の女の100倍怖ぇんだよ!!早く謝れラウラ!!)

 そんな私達の願い虚しく、ラウラは謝るどころか大声上げて泣き出してしまったのだ。
 そうすると、飛んでくるのはラウラ親衛隊隊長クリスタベラさん。
 確実に面倒事が起きる、しかもとびっきり大きな面倒事が……

 (テオ、私ら確か面倒事を全力回避が信条だったよな?)
 (姉さん、わかってるよ)
 私達は、誰にも気づかれないようにそっと、尚且つ捕まらないように慎重に、脱兎のごとく駆け出した。

 後ろからは、母さんの"あらあら"という声と、カトレアの"リタ様!!テオ様!!廊下を走らない!!"という怒号が聞こえてきた気がしたけど、無視した。

「だあ……やっと逃げ切った……」
「どうするよ、どんどん面倒事振り撒いてんじゃん……」
「半分はクリスタベラだけどな、でもまあ母さんがあそこまで怒ってんだから、面倒事が」
「これで終わりな訳ないか……あ~、めんどくせぇー……」

 そう、面倒事はこれで終わりな訳がなかった。
 ラウラが我が家に引き取られてから7年が経ち、ようやくラウラも12歳、やっと大人しくなり、テオが16歳と言う年齢で私の所属する王立魔道騎士団に仲間入りを果たした頃、面倒事は忘れた頃にやってきた。

「リタ兄様、テオ兄様!!大変です!!」
「リタ……兄様?」
 ラウラは私の疑問を華麗にスルーし、続けてこう言い放った。
「"私、転生者でこの国の聖女になるべき人間なんです!!"」
「なんだって???」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

侯爵令嬢の置き土産

ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。 「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。

私のスローライフはどこに消えた??  神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!

魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。 なんか旅のお供が増え・・・。 一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。 どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。 R県R市のR大学病院の個室 ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。 ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声 私:[苦しい・・・息が出来ない・・・] 息子A「おふくろ頑張れ・・・」 息子B「おばあちゃん・・・」 息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」 孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」 ピーーーーー 医師「午後14時23分ご臨終です。」 私:[これでやっと楽になれる・・・。] 私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!! なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、 なぜか攫われて・・・ 色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり 事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!! R15は保険です。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

処理中です...