甦る妻

星 陽月

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【チャプター 19】

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 寝室を開けると、ベッドサイドの灯りだけが点いている。
 その灯りだけでは部屋にこもった闇を払いきれず、ベッドが淡く浮かんでいる。
 そのベッドの上に、横向きで横たわる妻の姿があった。
 妻は何も身につけていなかった。
 裸身のままで横たわり、夫を妖艶な眼差しで見つめている。
 そのしなやかな裸身のシルエットに中沢は見惚れた。
 すると、妻がベッドから降りてきて、夫のパジャマのボタンを外していった。
 あらわになった夫の胸から腹部に唇を這わせていく。
 そうしながら股間へと手を伸ばす。

「もう、こんなに……」

 妻は夫の顔を見上げると、妖艶な笑みを浮かべた。
 なぞるように指先が動く。
 その刺激に、中沢の口から吐息が洩れる。
 欲情の塊がさらに力を漲らせる。
 指先にそれを感じた妻は、夫の下着に指をかけるとパジャマとともに下ろしていった。
 張りつめた塊が勢いよくそそり立ち、天を仰いで脈打った。
 脈動する塊を両手で包みこんだ妻は、もう耐えられないとでも言うように、跪いて顔を近づけるとその塊を咥えこんだ。
 唇を欲情の塊に滑らせる。

「ううッ……」

 中沢が苦しげな声を洩らす。
 そんな夫をもっと苦しめようとでもいうのか、妻は、唇で、舌で、指先で、ときには歯で、膨張し硬さを増した塊をもてあそんだ。

「ああ、うッ……」

 たまらず中沢は喘いだ。
 妻は何かに憑かれたように夫を責め立てる。
 肉体が溶けていくのではないかと思えるほどの快楽の裡で、中沢は淫靡に責め立てる妻に驚いていた。
 過去なんどとなく妻を抱いたが、一度として自分から責めてくることなどなかった。
 いつも中沢のほうから手を伸ばし、妻はそれに応え、夫の愛を受けながら高みへと昇っていくのだ。
 といってされるがままというわけではなく、夫が求める要求にも応えた。
 だが、いまのように妖しく乱れた妻は初めてである。
 まさしく、何かに憑かれたとしか思えないほどの淫乱さだった。

(やはり、なにかが……)

 そこでまた中沢は違和感を覚えたが、それは一瞬のことで、襲いくる快楽の波に押し流されてしまった。
 妻は執拗に夫を責めつづける。
 このままでは高みへと昇りつめてしまいそうで、中沢は耐えきれずに妻の腕を引くとベッドへ押し倒した。
 豊かな乳房を両手で乱暴に包みこみ、先端を唇で吸った。
 妻は吐息ともつかない声を洩らす。
 中沢の唇はしなやかな曲線にそって落ちていき、軌道を太腿へと移していく。
 妻の息が徐々に荒くなる。
 中沢は唇を離すと、Mの字に開いた両の足先から中心へと指先を滑らせていった。
 小高い丘に生えた陰草(かげくさ)は、細く淡く燃える黒き炎のようだった。
 その下方には、闇を抱え持つ花園がある。
 中沢はその花園へと顔を落としていった。
 妻が喘ぐ。
 声は掠れ、泣いているようにも思える。
 その声に触発されたかのように、中沢は花園の門を唇と舌で責めたてた。
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