上弦の月 ~他界した母へ贈る手紙~

 経営していた金融会社が倒産してしまった福森良介は、その後定職には就かず犯罪まがいの仕事に手を染めていた。そのあげくに、妻の江梨子と離婚。そして遂に良介は逮捕され、起訴されて拘置所に収監された。
 自分の罪を悔い改めながら良介は、10年前に他界している母に向けて手紙を書いた。その母は養母だった。
 2ヶ月後の裁判で良介は執行猶予となって拘置所を出た良介は、福森家の墓がある寺へと向かった。母へ書いた手紙を墓前に置いてくるためだ。
 寺に着き、墓前に手紙を置いて帰ろうとすると、住職に声を掛けられた。
 住職が言うには、生前の母から良介宛ての手紙をあずかっているということだった。
 本堂につづく居住の客間に通され、そこで良介は母からの手紙を受け取った。
 住職は客間を離れていき、良介は母からの手紙を開いた。
 その手紙には、それまで明かされたことのない母の秘密が書かれていた。
 それは母の罪の告白であり、それは良介のそれまでの人生をくつがえすほと内容だった。
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