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第三章 5月‐結
お姉さま、デートの時間です 4 ★幸の時間★
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バス停からしばらく歩いて。
少し高台にある、眺めの良い場所に洋食屋「アン」がそこにあった。
大きなガラス張りの窓枠は半円アーチ。幾つも並んだ窓を軽やかに彩るような半球円型の屋根の濃緑の屋根。
看板にはドレス姿の女の子の影絵がwelcomeの文字と共に描かれていて、可愛らしい。
「素敵なレストランですね」
「ありがとうございます。両親がこだわって設計してもらったんです」
幸が感想をいうと沢城先輩は嬉しそうな笑みを浮かべた。そのまま中に案内してもらう。
中はアンティークなテーブルや椅子で統一されていて、温かみのある雰囲気で、幸はますます目を輝かせる。
夫婦でやっているレストランらしく、中はこじんまりした感じでもあるが、それがまたアットホームで居心地がいい。
カウンター席が並びで二席、予約席になっていて、笑顔が素敵な沢城先輩のお母さんが案内してくれた。
「いらっしゃいませ。可愛らしいお客様が来てくれるって聞いて、楽しみにしていたの」
「は、はい!あの、初めまして。沢城先輩の後輩の春野幸です。今日は私も楽しみにしてきました」
なんと言って挨拶すべきか混乱しつつ自己紹介をすると、微笑ましそうに見つめられてしまう。幸は頬を染めてしまう。
「ゆっくりしていってね」
「ありがとうございます。あの、これ」
ここで忘れてはいけないと、慌てて用意していたお土産を手渡す。
「あら、ありがとう。嬉しいわ」
それはもうにっこりと、予想以上に喜んでもらえてホッとする。
ちなみにお土産の中身は、常葉学園近くの喫茶店で販売しているお土産用のクッキーだ。
ここのケーキが美味しいらしい、と甘いものは得意なわけではない柚鈴に噂話として聞いていたので、覗きに行って発見したのである。
ありがとう、柚鈴ちゃん。喜んでもらえたよ。
席に着いてから、幸は心の中でお礼を言った。
「お礼でお誘いしたのに、お土産まで頂いてしまってありがとうございます」
申し訳なさそうな様子の沢城先輩に首を振った。
「いえ。そろそろ学校近辺以外にも行動範囲を広めたかったので。こうして誘って頂けたお礼です。今日は迎えにも来て頂けたので助かりました」
なんとなく良い子モードのまま、そう言うと、沢城先輩は感心したような表情をしてから、笑ってくれた。
「そう言ってもらえるとまた誘いたくなりますね。春野さんは1人でお出かけはするんですか?」
そう聞かれて、幸は一瞬目線を泳がせた。
そういえば、お出かけは長野からこちらにきてからあまりしていない気がする。
このまま、しっかりものを見せたい一年生とすれば、良く一人で出かけます!と言いたいところではあるが、それを言うと嘘になってしまう。
沢城先輩は不思議そうに首を傾げたことに気付いて、曖昧に笑って見せた。
やっぱり嘘はいけない。
幸は言葉を選びつつ、本当のことを言った。
「1度行った所ならお出かけするんですけど…そうでないと少し緊張してしまうので、行かないことの方が多いかも知れません」
「そうですか」
「常葉学園の周辺は大体覚えたし、この間は常葉学園の大学部の場所も確認したので、少しずつ行動範囲を広めてるんです。今日はおかげさまで、ここも行動範囲となりました」
「また、ご一緒してくれるんですよね?」
「はい。友達とも来ますね」
「ええ。よろしくお願いします」
そんな風にお話をしている間に、カウンター側から幸の注文したオムライスと、沢城先輩の前には目玉焼きの乗ったハンバーグを出してくれた。
幸は目を輝かせて、それからふっと薫の忠告を思い出して、洋服を汚さないようにひざ掛けのナプキンを広げる。
助言者候補でないにしろ、せっかく誘ってくれた上級生の目の前で洋服を汚してしまうのは、恥ずかしい気がする。
飲み物はサービスだとオレンジジュースを出してもらい、可愛らしく盛り付けられたサラダも二つ並んでいる。
「美味しそうですね」
「はい。美味しいですよ。どうぞ召し上がってください」
少し高台にある、眺めの良い場所に洋食屋「アン」がそこにあった。
大きなガラス張りの窓枠は半円アーチ。幾つも並んだ窓を軽やかに彩るような半球円型の屋根の濃緑の屋根。
看板にはドレス姿の女の子の影絵がwelcomeの文字と共に描かれていて、可愛らしい。
「素敵なレストランですね」
「ありがとうございます。両親がこだわって設計してもらったんです」
幸が感想をいうと沢城先輩は嬉しそうな笑みを浮かべた。そのまま中に案内してもらう。
中はアンティークなテーブルや椅子で統一されていて、温かみのある雰囲気で、幸はますます目を輝かせる。
夫婦でやっているレストランらしく、中はこじんまりした感じでもあるが、それがまたアットホームで居心地がいい。
カウンター席が並びで二席、予約席になっていて、笑顔が素敵な沢城先輩のお母さんが案内してくれた。
「いらっしゃいませ。可愛らしいお客様が来てくれるって聞いて、楽しみにしていたの」
「は、はい!あの、初めまして。沢城先輩の後輩の春野幸です。今日は私も楽しみにしてきました」
なんと言って挨拶すべきか混乱しつつ自己紹介をすると、微笑ましそうに見つめられてしまう。幸は頬を染めてしまう。
「ゆっくりしていってね」
「ありがとうございます。あの、これ」
ここで忘れてはいけないと、慌てて用意していたお土産を手渡す。
「あら、ありがとう。嬉しいわ」
それはもうにっこりと、予想以上に喜んでもらえてホッとする。
ちなみにお土産の中身は、常葉学園近くの喫茶店で販売しているお土産用のクッキーだ。
ここのケーキが美味しいらしい、と甘いものは得意なわけではない柚鈴に噂話として聞いていたので、覗きに行って発見したのである。
ありがとう、柚鈴ちゃん。喜んでもらえたよ。
席に着いてから、幸は心の中でお礼を言った。
「お礼でお誘いしたのに、お土産まで頂いてしまってありがとうございます」
申し訳なさそうな様子の沢城先輩に首を振った。
「いえ。そろそろ学校近辺以外にも行動範囲を広めたかったので。こうして誘って頂けたお礼です。今日は迎えにも来て頂けたので助かりました」
なんとなく良い子モードのまま、そう言うと、沢城先輩は感心したような表情をしてから、笑ってくれた。
「そう言ってもらえるとまた誘いたくなりますね。春野さんは1人でお出かけはするんですか?」
そう聞かれて、幸は一瞬目線を泳がせた。
そういえば、お出かけは長野からこちらにきてからあまりしていない気がする。
このまま、しっかりものを見せたい一年生とすれば、良く一人で出かけます!と言いたいところではあるが、それを言うと嘘になってしまう。
沢城先輩は不思議そうに首を傾げたことに気付いて、曖昧に笑って見せた。
やっぱり嘘はいけない。
幸は言葉を選びつつ、本当のことを言った。
「1度行った所ならお出かけするんですけど…そうでないと少し緊張してしまうので、行かないことの方が多いかも知れません」
「そうですか」
「常葉学園の周辺は大体覚えたし、この間は常葉学園の大学部の場所も確認したので、少しずつ行動範囲を広めてるんです。今日はおかげさまで、ここも行動範囲となりました」
「また、ご一緒してくれるんですよね?」
「はい。友達とも来ますね」
「ええ。よろしくお願いします」
そんな風にお話をしている間に、カウンター側から幸の注文したオムライスと、沢城先輩の前には目玉焼きの乗ったハンバーグを出してくれた。
幸は目を輝かせて、それからふっと薫の忠告を思い出して、洋服を汚さないようにひざ掛けのナプキンを広げる。
助言者候補でないにしろ、せっかく誘ってくれた上級生の目の前で洋服を汚してしまうのは、恥ずかしい気がする。
飲み物はサービスだとオレンジジュースを出してもらい、可愛らしく盛り付けられたサラダも二つ並んでいる。
「美味しそうですね」
「はい。美味しいですよ。どうぞ召し上がってください」
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