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第三章 5月‐結
お姉さま、茶道部のお誘いを受けました 6
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その日、寮にて。
長谷川凛子先輩が夕食時に帰宅していないことを確認してから柚鈴は部屋に戻った。
一先ずは明日や試験休みになるが、月末には体育祭。
生徒会長である凛子先輩が慌ただしく学校に行ってしまう可能性も考えると、相談は今日のうちにしておきたかった。
もう少し後に部屋の方に尋ねてみようと考えていると、コンコンとノックがして。
やってきたのは、隣室の春野幸だった。
「柚鈴ちゃん、ちょっと聞いてもいい?」
「いいよ。なに?」
承諾すると、幸はにっこりと笑って部屋に入って来て、水色のワンピースを見せた。
胸元の小さなリボンが可愛らしいAラインワンピースだ。
「これ、どうかな?」
「どうかなって?」
「明日ね。試験休みで学校休みでしょう?この間、教室にきてた上級生とオムライス食べに行くの。で、これ来て行こうかな~って」
「へえ」
「オムライス嬉しいなあ…」
上機嫌の幸が顔を綻ばせていると。
通りすがりなのか、更に薫がドアの向こうから、ぬっと現れて、覗き込んだ。
「なに、幸。助言者出来そうなの?良かったねえ」
ガシガシとそのまま幸の頭を撫でる。
くしゃくしゃになった頭を守る様に手で押さえて、幸は慌てて飛びのいた。
「もお!薫。髪くしゃくしゃになるから撫でられるの嫌だって言ってるのに」
「ああ、悪い。めでたいと思ったらつい、ね」
悪びれた様子でもなく、部屋に入って来たニヤリと笑って、薫はノートを柚鈴に差し出した。
幸は不機嫌そうに頬を膨らませて、髪を整えている。
思わず苦笑して、柚鈴はノートを受け取ってから扉を閉めた。
この3人になってしまっては、そうしなくては騒がしいだろう。
薫は当然のようにベットに腰を下ろす。
「借りてたノート。ありがとう、助かったわ」
「ああ、そうだったね」
それは薫が試験範囲で、どうしても頭に入らないと言ってた公式を、柚鈴が分かりやすく纏めたものだった。
細かく書いてしまえば、柚鈴も覚えやすいからと復習ついでのノートだったが、薫は寸前まで見てないと忘れるというので貸していたのだ。
「試験どうだった?」
「おかげさまで、いつもよりは?追試とかあると部活参加出来なくなるし、本当助かったわ。今後もよろしくね」
「…随分機嫌いいけど、どうしたの?」
「そりゃ、もうすぐ体育祭だからに決まってるでしょう。試験も終わったから、あとはゆっくり体育祭の準備ってね。南組は体育祭の要って、そこに費やす時間も他の組より長いしね」
5月の終わりにある体育祭。
確かに常葉学園の体育祭では、主にスポーツ特進科でもある南組の独壇場と言っても良さそうだ。
なんて組別けも、そもそもの東西南北で分けていたら、とても勝負にならない。
各組を3つに分け、赤組、白組、黄組の3チームを作っての体育祭となるのだ。
どの組も均等に入るので各組は中々膨大な人数になるが、そこは本来の組で活動量も全く違ってくる。
例えば東組である柚鈴や幸は、特に希望がなければ出る競技は一つで良い。
南組の薫は、逆に3つまで掛け持ちしても良く、応援合戦などはほとんど南組の生徒と後は他組からの有志で行う。
独特のルールに基づいたもので、熱の入り方が薫とどうしても違ってしまうのは仕方ないのだ。
柚鈴なんかは中学までと違い、中間考査まで体育祭のことなど思い出しもしなかったくらいだ。
薫のこのやる気の理由も理解は出来た。
長谷川凛子先輩が夕食時に帰宅していないことを確認してから柚鈴は部屋に戻った。
一先ずは明日や試験休みになるが、月末には体育祭。
生徒会長である凛子先輩が慌ただしく学校に行ってしまう可能性も考えると、相談は今日のうちにしておきたかった。
もう少し後に部屋の方に尋ねてみようと考えていると、コンコンとノックがして。
やってきたのは、隣室の春野幸だった。
「柚鈴ちゃん、ちょっと聞いてもいい?」
「いいよ。なに?」
承諾すると、幸はにっこりと笑って部屋に入って来て、水色のワンピースを見せた。
胸元の小さなリボンが可愛らしいAラインワンピースだ。
「これ、どうかな?」
「どうかなって?」
「明日ね。試験休みで学校休みでしょう?この間、教室にきてた上級生とオムライス食べに行くの。で、これ来て行こうかな~って」
「へえ」
「オムライス嬉しいなあ…」
上機嫌の幸が顔を綻ばせていると。
通りすがりなのか、更に薫がドアの向こうから、ぬっと現れて、覗き込んだ。
「なに、幸。助言者出来そうなの?良かったねえ」
ガシガシとそのまま幸の頭を撫でる。
くしゃくしゃになった頭を守る様に手で押さえて、幸は慌てて飛びのいた。
「もお!薫。髪くしゃくしゃになるから撫でられるの嫌だって言ってるのに」
「ああ、悪い。めでたいと思ったらつい、ね」
悪びれた様子でもなく、部屋に入って来たニヤリと笑って、薫はノートを柚鈴に差し出した。
幸は不機嫌そうに頬を膨らませて、髪を整えている。
思わず苦笑して、柚鈴はノートを受け取ってから扉を閉めた。
この3人になってしまっては、そうしなくては騒がしいだろう。
薫は当然のようにベットに腰を下ろす。
「借りてたノート。ありがとう、助かったわ」
「ああ、そうだったね」
それは薫が試験範囲で、どうしても頭に入らないと言ってた公式を、柚鈴が分かりやすく纏めたものだった。
細かく書いてしまえば、柚鈴も覚えやすいからと復習ついでのノートだったが、薫は寸前まで見てないと忘れるというので貸していたのだ。
「試験どうだった?」
「おかげさまで、いつもよりは?追試とかあると部活参加出来なくなるし、本当助かったわ。今後もよろしくね」
「…随分機嫌いいけど、どうしたの?」
「そりゃ、もうすぐ体育祭だからに決まってるでしょう。試験も終わったから、あとはゆっくり体育祭の準備ってね。南組は体育祭の要って、そこに費やす時間も他の組より長いしね」
5月の終わりにある体育祭。
確かに常葉学園の体育祭では、主にスポーツ特進科でもある南組の独壇場と言っても良さそうだ。
なんて組別けも、そもそもの東西南北で分けていたら、とても勝負にならない。
各組を3つに分け、赤組、白組、黄組の3チームを作っての体育祭となるのだ。
どの組も均等に入るので各組は中々膨大な人数になるが、そこは本来の組で活動量も全く違ってくる。
例えば東組である柚鈴や幸は、特に希望がなければ出る競技は一つで良い。
南組の薫は、逆に3つまで掛け持ちしても良く、応援合戦などはほとんど南組の生徒と後は他組からの有志で行う。
独特のルールに基づいたもので、熱の入り方が薫とどうしても違ってしまうのは仕方ないのだ。
柚鈴なんかは中学までと違い、中間考査まで体育祭のことなど思い出しもしなかったくらいだ。
薫のこのやる気の理由も理解は出来た。
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