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第三章 5月‐結
お姉さま、ペア作りが本格起動です ★3★
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目線を一周回らせて、明智さんに視線を戻した時には、頭の中で大分整理がついた。
どうやらそうらしい。
そう思ってしまえば、これ以上聞かないといけないことはなかった。
というよりこれ以上は止めよう、止めた方がいい。
柚鈴は曖昧な笑顔で頷いて、明智さんにお礼を言うように頭を下げた。
「質問は以上です」
「そうですか」
明智さんは頷いた。
「他に質問はないですか?」
そうクラスに声をかけて様子を見るが、特に他の声は上がらない。
好奇心に満ち溢れた眼差しはそれぞれ持っているのだが、積極的に行動に出るほどでもないようだ。
その雰囲気を感じとったのか、明智さんは少し困ったような表情を見せてから頷いた。
「質問は生徒会手伝いとして、私も随時受け付けていますので、何かあればどうぞ」
そういって説明を終了してしまった。
…学校を上げてのペア作りというのは本当なんだな…
配られたプリントを眺めながら、柚鈴は複雑な気持ちになる。
このプリントはどうやら、1年生用。
おそらく、2年生用と3年生用も作成されているのだろう。
わざわざこのために、生徒会で作られたものなわけだから、生徒会の忙しさも納得のいくところだ。
他にも色々な企画があるような気配だし、出来れば、年間スケジュールで情報が欲しいところだ。
憂鬱な気持ちで鞄に荷物を詰めていると、幸が後ろから声を掛けてきた。
「柚鈴ちゃん、一緒に帰ろう」
幸に声をかけられて柚鈴は振り返った。
「今日、部活は?」
「中間考査も近いし、お休みなんだ。あ、さっきはありがとう。代わりに質問してくれて。助かっちゃったよ」
ほのぼのとした雰囲気の幸にお礼を言われて。
幸もそういえば助言者が欲しいって言ってたなあ…
思い出してついまじまじと見つめていると、不思議そうに見つめ返された。
「なあに?」
「やっぱり幸も皆も、上級生のペアがほしいのかな?」
そう聞くと、幸は唐突の質問に驚いたのか目を瞬かせた。
「ええ?どうだろう?私は欲しいけど、皆がどうかはわからないなあ」
それから幸は思慮深く考え込むように首を傾げた。
「う~ん。私は元々、一人っ子だし、色々教えてくれるお姉さん的な存在には憧れはあるかなあ。ほら頭の良い上級生から勉強教われたら、助かっちゃうと思うよ」
1人っこだからには、ピンと来なかったが、助かっちゃうの言葉には、なるほどと言わざるを得ない。
特進科はあくまで成績重視だ。
課題も多いし、成績が落ちれば来年のクラス編成はどうなるかわからない。
柚鈴の特待生資格だって、来年も保持するためにはかなりの努力が必要だ。
そういった点で、優秀な先輩からの指導というのは確かに嬉しい。
「なるほど」
「それに花奏ちゃんとか、遥先輩に懐いてて楽しそうだし」
西クラスの友人の名前を上げられれば、更に納得した。
確かに4月の間で、ペアを作った同級生は東組にもいる。
その子たちは、それぞれ楽しそうに上級生と話をしていたりするのを学園内で見かけたりするし、自分のペアの話を友人同士でしたりしているのも聞いたことがある。
そういったものを目にしていれば、自然とペアが欲しい気持ちになるものなのかもしれない。
クラスメイトの好意的な雰囲気はそういうこともあるからかもしれない。
柚鈴自身にそういう気持ちが全くなかったから、なんとなく流していたけれど、幸の言葉は腑に落ちた。
つまり柚鈴みたいに助言者制度に積極的でない人間は、孤軍奮闘しなくてはならないんだろうか。
などとネガティブな気持ちに陥ってしまった。
どうやらそうらしい。
そう思ってしまえば、これ以上聞かないといけないことはなかった。
というよりこれ以上は止めよう、止めた方がいい。
柚鈴は曖昧な笑顔で頷いて、明智さんにお礼を言うように頭を下げた。
「質問は以上です」
「そうですか」
明智さんは頷いた。
「他に質問はないですか?」
そうクラスに声をかけて様子を見るが、特に他の声は上がらない。
好奇心に満ち溢れた眼差しはそれぞれ持っているのだが、積極的に行動に出るほどでもないようだ。
その雰囲気を感じとったのか、明智さんは少し困ったような表情を見せてから頷いた。
「質問は生徒会手伝いとして、私も随時受け付けていますので、何かあればどうぞ」
そういって説明を終了してしまった。
…学校を上げてのペア作りというのは本当なんだな…
配られたプリントを眺めながら、柚鈴は複雑な気持ちになる。
このプリントはどうやら、1年生用。
おそらく、2年生用と3年生用も作成されているのだろう。
わざわざこのために、生徒会で作られたものなわけだから、生徒会の忙しさも納得のいくところだ。
他にも色々な企画があるような気配だし、出来れば、年間スケジュールで情報が欲しいところだ。
憂鬱な気持ちで鞄に荷物を詰めていると、幸が後ろから声を掛けてきた。
「柚鈴ちゃん、一緒に帰ろう」
幸に声をかけられて柚鈴は振り返った。
「今日、部活は?」
「中間考査も近いし、お休みなんだ。あ、さっきはありがとう。代わりに質問してくれて。助かっちゃったよ」
ほのぼのとした雰囲気の幸にお礼を言われて。
幸もそういえば助言者が欲しいって言ってたなあ…
思い出してついまじまじと見つめていると、不思議そうに見つめ返された。
「なあに?」
「やっぱり幸も皆も、上級生のペアがほしいのかな?」
そう聞くと、幸は唐突の質問に驚いたのか目を瞬かせた。
「ええ?どうだろう?私は欲しいけど、皆がどうかはわからないなあ」
それから幸は思慮深く考え込むように首を傾げた。
「う~ん。私は元々、一人っ子だし、色々教えてくれるお姉さん的な存在には憧れはあるかなあ。ほら頭の良い上級生から勉強教われたら、助かっちゃうと思うよ」
1人っこだからには、ピンと来なかったが、助かっちゃうの言葉には、なるほどと言わざるを得ない。
特進科はあくまで成績重視だ。
課題も多いし、成績が落ちれば来年のクラス編成はどうなるかわからない。
柚鈴の特待生資格だって、来年も保持するためにはかなりの努力が必要だ。
そういった点で、優秀な先輩からの指導というのは確かに嬉しい。
「なるほど」
「それに花奏ちゃんとか、遥先輩に懐いてて楽しそうだし」
西クラスの友人の名前を上げられれば、更に納得した。
確かに4月の間で、ペアを作った同級生は東組にもいる。
その子たちは、それぞれ楽しそうに上級生と話をしていたりするのを学園内で見かけたりするし、自分のペアの話を友人同士でしたりしているのも聞いたことがある。
そういったものを目にしていれば、自然とペアが欲しい気持ちになるものなのかもしれない。
クラスメイトの好意的な雰囲気はそういうこともあるからかもしれない。
柚鈴自身にそういう気持ちが全くなかったから、なんとなく流していたけれど、幸の言葉は腑に落ちた。
つまり柚鈴みたいに助言者制度に積極的でない人間は、孤軍奮闘しなくてはならないんだろうか。
などとネガティブな気持ちに陥ってしまった。
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