拝啓、お姉さまへ

一華

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第一章 4月

お姉ちゃん、て呼んで? ★3★

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正直にその気持ちを伝えて、高校3年間は親元から離れることを結婚の交換条件にしてお願いして、どうにか気持ちを落ち着けたのだ。 
母親の結婚を祝わない娘にはなりたくなくて。
でも『結婚するのを待ってもらう』のもなんだか嫌で。
色んな気持ちを納得させるために選んだ、私の我がまま。本当に我がまま。

だから。
寮付きの学校を捜した時、授業料免除の特待生制度のある常葉学園は、とても理想的だった。
私の我がままの為に使ってもらうお金を減らすことが出来る!

元々良いとこ育ち、今も大きな会社の役職についているオトウサンはお金は気にしないとは言ってくれた。
だけど私の我がままの為だけに、大きなお金が動くのは嫌だったし、恥ずかしかった。
だから、どうしても常葉学園の特待生になりたいと思った。

常葉学園の特待生になれるのは、特進クラスの限られた数名。
特進クラスに入れれば、最低限入学金免除になるが、「特待生」は授業料免除までつく。
目指したのはそこだった。

おかげで昨年の夏からずっと勉強詰め。
私は、クリスマスやお正月みを新しい家族との時間をほとんど作ってこなかった。 
本末転倒な気もするけど、私にはその選択肢しかなかった。
色んな気持ちがごちゃ混ぜで、どこかに一直線に向かってないと、自分が分からなくなりそうだったから。

そうして一心不乱に受験勉強したおかげで、特待生の枠にも入れて、受験合格!

しかも制服や教科書などは、一部、志奈さんのお下がりを使うことも出来ることが分かって、かなり倹約した進学が出来た。
本当に本当に嬉しかった。

その喜びこそが不満と感じている志奈さんを目の前にして。
今日この日がいよいよ入寮日。 
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