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8 皇帝と妃たち
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皇帝と謁見するために、後宮の広間に案内された蔡怜達は、頭を下げた状態で、皇帝が入ってくるのを待った。
ただでさえ長時間待ったんだから、早く来い。
心の中で呟いていると、
「皇帝陛下の御成です」
という、宦官の声が聞こえた。思わず顔を上げかけたが、意志の力でなんとか抑え込む。許しを得る前に皇帝を直視することは非礼にあたる。
「みな、ご苦労であった。面を上げよ。早速だが入宮にあたり、それぞれの位を伝えておく。頼む。」
最後の一言は、宦官に向け発すると、皇帝はずらりと並んだ娘達を一瞥した。
一方許しを得た蔡怜は、まじまじと皇帝を見つめる。
なんか、どこかで見たことあるような顔だな…。
そう思いながら心の中で首を傾げた。これほどの美丈夫であるなら、すぐに思い出せそうなのに、なぜかパッと出てこない。そんなことを考えていると、宦官がそれぞれの娘達の位について述べ始めた。
「皇后、蔡怜様」
まて、なぜ私がよりにもよって唯一の正妃の座なんだ。目立つだろうが。行事の時に駆り出されるだろうが。他にいないのか。
蔡怜の心のなかを一瞬にして、嵐が吹き荒れる。
とりあえず、最後まで聞いてみて隙あらば、自分以外の誰かの方がいかに皇后としてふさわしいか伝えよう、そう心に誓う。
「貴妃黄昭様、淑妃江宝永様、徳妃李玉淑様、賢妃茅朱華様、昭儀花蘭様、昭媛周穂艶様、修儀姜燦輝様、修媛管李嬌様、充儀楊琉麗様、以上でございます。」
「それぞれ上の者をよく敬い、下の者をよく慈しむように。」
宦官の後に一言述べて、皇帝は退席した。
蔡怜は呆然とするしかなかった。よくまあこんなに上手く考えたものだ、と。
冷静にそれぞれの妃達の位を考えると皇后に据え置けるのは現時点では、確かに自分しかいなかった。
実家の地位向上を願い出てるのものを皇后にはできない。皇后にするということは、後宮の中でも別格であり、ともすれば実家にまでその権力は及ぶ。かと言って下位貴族ばかりとはいえ、その中でもやはり下位に当たる楊家や管家の娘が皇后では問題がある。
その点、蔡家は下位貴族の中では、上位にあたる。そして、実家は貧乏で権力より、目先の利益の方が嬉しいという馬鹿な両親しかいない。御しやすい、と思われたのも無理ない。
そう蔡怜は結論づけた。
これは絶対覆りそうもないな。仕方ない、諦めるか。でも、せめて皇后の位は空けとけばいいものを。普通は子を産んだ妃がなるだろ。なんでいきなり、皇后スタートなんだ。
他の妃達の視線を感じながら、バレないように溜め息を吐くのであった。
ただでさえ長時間待ったんだから、早く来い。
心の中で呟いていると、
「皇帝陛下の御成です」
という、宦官の声が聞こえた。思わず顔を上げかけたが、意志の力でなんとか抑え込む。許しを得る前に皇帝を直視することは非礼にあたる。
「みな、ご苦労であった。面を上げよ。早速だが入宮にあたり、それぞれの位を伝えておく。頼む。」
最後の一言は、宦官に向け発すると、皇帝はずらりと並んだ娘達を一瞥した。
一方許しを得た蔡怜は、まじまじと皇帝を見つめる。
なんか、どこかで見たことあるような顔だな…。
そう思いながら心の中で首を傾げた。これほどの美丈夫であるなら、すぐに思い出せそうなのに、なぜかパッと出てこない。そんなことを考えていると、宦官がそれぞれの娘達の位について述べ始めた。
「皇后、蔡怜様」
まて、なぜ私がよりにもよって唯一の正妃の座なんだ。目立つだろうが。行事の時に駆り出されるだろうが。他にいないのか。
蔡怜の心のなかを一瞬にして、嵐が吹き荒れる。
とりあえず、最後まで聞いてみて隙あらば、自分以外の誰かの方がいかに皇后としてふさわしいか伝えよう、そう心に誓う。
「貴妃黄昭様、淑妃江宝永様、徳妃李玉淑様、賢妃茅朱華様、昭儀花蘭様、昭媛周穂艶様、修儀姜燦輝様、修媛管李嬌様、充儀楊琉麗様、以上でございます。」
「それぞれ上の者をよく敬い、下の者をよく慈しむように。」
宦官の後に一言述べて、皇帝は退席した。
蔡怜は呆然とするしかなかった。よくまあこんなに上手く考えたものだ、と。
冷静にそれぞれの妃達の位を考えると皇后に据え置けるのは現時点では、確かに自分しかいなかった。
実家の地位向上を願い出てるのものを皇后にはできない。皇后にするということは、後宮の中でも別格であり、ともすれば実家にまでその権力は及ぶ。かと言って下位貴族ばかりとはいえ、その中でもやはり下位に当たる楊家や管家の娘が皇后では問題がある。
その点、蔡家は下位貴族の中では、上位にあたる。そして、実家は貧乏で権力より、目先の利益の方が嬉しいという馬鹿な両親しかいない。御しやすい、と思われたのも無理ない。
そう蔡怜は結論づけた。
これは絶対覆りそうもないな。仕方ない、諦めるか。でも、せめて皇后の位は空けとけばいいものを。普通は子を産んだ妃がなるだろ。なんでいきなり、皇后スタートなんだ。
他の妃達の視線を感じながら、バレないように溜め息を吐くのであった。
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