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サイドストーリー
シュナイダーの誤算
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ダルラ伯爵の娘で双子の妹カレンと婚約が決まったと両親から告げられた時、私はあまりの幸運に笑いが止まらなかった。両親の前で平静を保つのが難しかったほどだ。
ざまあみろ。
兄上にはいつも煮湯を飲まされてきた。早く生まれたというだけで、伯爵家の後継。少し優秀というだけで両親の関心は独り占めだ。しかも、私にとっては真面目で面白みのないところが、令嬢達には結婚相手として魅力的に映っているらしい。
その兄が数年前からダルラ伯爵の名が出た時だけ、興味深げに話を聞くようになっていた。本人は隠しているつもりだろうが私にはすぐに分かった。
兄上はダルラ伯爵の娘を好いている。双子の娘ということだったが、どちらに好意を抱いているかなど聞くまでもなく明らかだった。
かたや聖女のようだと誉めそやされる妹カレン。かたや男を誘惑する悪女と罵られる姉のカリーナ。兄上のことだ。どこぞでカレンを見て一目惚れでもしたのだろう。彼女を妻にと望んでいるからこそ数多の令嬢達との縁談を断っているに違いない。
何かにつけて、兄上と比較されそして馬鹿にされてきたが、奴の一番欲しかったものだけは私が手に入れることができたわけだ。
せいぜい悔しがればいい。
しかしカレンと直接出会って私は、兄上とのことなどどうでも良くなるくらい彼女の美しさの虜となった。
そして傷つけるわけにはいかないと、壊れ物を扱うかのように彼女に接してきた。
彼女の屋敷を訪れた時、一度だけ遠目にカリーナをみたことがあった。なるほど噂通りの女だった。
派手な顔立ちに似合もしない清楚な格好。ああやって男に従順なふりをして、誘惑しているわけか。
カレンは清純で愛らしいが、正式に結婚するまでは手を出せない。かと言って婚約が公になった以上、他の令嬢に声をかけるわけにはいかない。
でもカリーナはどうだ?妹の婚約者であろうと噂通りの彼女なら気にしないだろうし、こちらも一夜の恋の相手なら、彼女の容姿は大歓迎だ。
そう思い、ある日私はカリーナに会いに行った。
「カリーナ嬢に用がある」
そういえば、すぐに彼女は私と関係を持つと思っていたのだ。
まさか、断られるなどと想いもせずに。
ざまあみろ。
兄上にはいつも煮湯を飲まされてきた。早く生まれたというだけで、伯爵家の後継。少し優秀というだけで両親の関心は独り占めだ。しかも、私にとっては真面目で面白みのないところが、令嬢達には結婚相手として魅力的に映っているらしい。
その兄が数年前からダルラ伯爵の名が出た時だけ、興味深げに話を聞くようになっていた。本人は隠しているつもりだろうが私にはすぐに分かった。
兄上はダルラ伯爵の娘を好いている。双子の娘ということだったが、どちらに好意を抱いているかなど聞くまでもなく明らかだった。
かたや聖女のようだと誉めそやされる妹カレン。かたや男を誘惑する悪女と罵られる姉のカリーナ。兄上のことだ。どこぞでカレンを見て一目惚れでもしたのだろう。彼女を妻にと望んでいるからこそ数多の令嬢達との縁談を断っているに違いない。
何かにつけて、兄上と比較されそして馬鹿にされてきたが、奴の一番欲しかったものだけは私が手に入れることができたわけだ。
せいぜい悔しがればいい。
しかしカレンと直接出会って私は、兄上とのことなどどうでも良くなるくらい彼女の美しさの虜となった。
そして傷つけるわけにはいかないと、壊れ物を扱うかのように彼女に接してきた。
彼女の屋敷を訪れた時、一度だけ遠目にカリーナをみたことがあった。なるほど噂通りの女だった。
派手な顔立ちに似合もしない清楚な格好。ああやって男に従順なふりをして、誘惑しているわけか。
カレンは清純で愛らしいが、正式に結婚するまでは手を出せない。かと言って婚約が公になった以上、他の令嬢に声をかけるわけにはいかない。
でもカリーナはどうだ?妹の婚約者であろうと噂通りの彼女なら気にしないだろうし、こちらも一夜の恋の相手なら、彼女の容姿は大歓迎だ。
そう思い、ある日私はカリーナに会いに行った。
「カリーナ嬢に用がある」
そういえば、すぐに彼女は私と関係を持つと思っていたのだ。
まさか、断られるなどと想いもせずに。
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