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第1章 転生少女の憂鬱

私の魔力は無駄に無敵過ぎるんだよ

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 授業が終わった。ついに、ママからの お説教タイムだよ。 眉間にしわが寄ってしまうと、 せっかくの美人な顔が台無しだ。

「ママ、 本当にごめんなさい・・・・・・」

 卑怯かもしれないけど、私は思わず泣いてしまった。 泣いて自分を正当化するつもりなんてないのに、 涙が溢れて止まらなかった。
 ママは 私の頭を優しく撫でてくれる。

「 お友達とは、これからも仲良くしましょうね」
「うん!」

 プリシラのことは言えないね。私も 泣き笑いをしていたよ。

「私は 用事があるからまた出かけますけど、サンティアさんの 言うことを聞いて、 お友達と楽しく遊んでいるのですよ」
「わかったよ。 いってらっしゃい、ママ」
「 行ってきます」

 ママは 最近忙しそうにしている。ママは 魔法の才能はキャサリンよりも上のようだから、 宮廷魔術師の仕事を手伝っているのかな。
 少し寂しい気もするけど、 ママは人の役に立つ素晴らしい仕事をしているんだよね。 私は応援してるよ。

「エリカちゃん、 一緒に遊ぼう」
「 僕とも遊んで」
「リアラも 遊ぶの」

 プリシラ、 フレドリック、リアラの 3人が私を遊びに誘ってくる。すると、 フレドリックにお近づきになりたい子息令嬢の みんなも集まってきた。 結局全員で仲良く 遊ぶのが日課だった。

 ところが、 今日は様子が違っていた。

「リアラさんは 平民なのでしょう。 ここにいるのは間違いではないかしら?」

 縦巻きロールの女の子がリアラに 嫌味を言った。 確か彼女の名前は エトワールで、ネクヒロの中では プリシラの取り巻きの一人だったはずだ。 プリシラがいい子に育った代わりに、 エトワールが悪役令嬢の役割を引き受けたということかな。

「リアラちゃんは 魔法適性が高いから、 特別に魔法の授業を受けているんだよ」

 プリシラがリアラをかばうように説明した。しかし、 エトワールは それを否定するように 口角を歪める。

「水晶が 壊れていたのではないかしら。 誰かさんは魔法適性9999というでたらめな数字を叩き出したのだもの」

 なるほど。 エトワールは、 本当は私の揚げ足を取りたかったんだね。 でも私は、一応王族のお気に入りということになっているから、 表立って文句をいうことはできない。 そこでリアラを利用して、 私を陥れようというわけだ。
 ・・・・・・ 3歳児の発想ではないよね。 貴族の子供に生まれると、 そういう教育をされてしまうのかな。貴族、半端なく怖いね。
 陰険なことは勘弁してもらいたいものだよ。
 さて、どうしたものかな。
 エトワールは確か水属性の魔法が使えたよね。だったら・・・・・・。

「 エトワール、私を狙って【 クリエイトウォーター】を使ってみてよ」
「え? でも・・・・・・」

 エトワールは、 私に実害を与えて 王族から睨まれること 恐れているようだ。ネクヒロでは プリシラの取り巻きにしかなれなかったことから分かるように、 彼女は実は小心者なんだよ。なのに、 どうして 無理して強気な態度を取ってるのかな。
 理由は後で聞けばいい。
 私は、さらに エトワールを挑発することにした。

「 魔力が2倍以上あれば、魔法抵抗で魔法を無効化することができるんだよ。 エトワールのちゃちな魔法なんて簡単に 消し去ってあげるよ」
「 そこまで言われて黙ってはいられないわ! お望み通り濡れ鼠にしてあげる。【 クリエイトウォーター】!!」

 エトワールは 魔法で私に水をかける。しかし、 その水は私の魔力によって消え去ってしまった。
 人間の中で魔力値が一番高いのは魔女姫と 恐れられていたクルセイラで、 3000ほどの魔力量だった。
 つまり、私に 魔法の効果を発揮できる人間は一人も 存在しないということだよ。 防御面では完璧だけど、 回復魔法と補助魔法まで 無効化してしまうという弊害がある。 他人に身体強化魔法をかけてもらえないから、 結局体が不自由なままってことなんだよね。
 私自身が魔法を発動させるためには金貨が9999枚必要だ。
 高すぎる魔力がただの障害にしかなってないよ。エセリア、マジで恨むからね!
 
 ーーこほん。話を戻そう。
 
「 エトワールの実力では、 私どころかリアラにも 魔法抵抗されてしまうよ」
「 貴族の私が、平民なんかに 負けるはずがないわ!」

 エトワールは癇癪を起こすように泣き叫びだした。 彼女の 発言は、 平民差別と 負けず嫌いの感情が入り乱れたことによるものだったのかな。
 三つ子の魂百までと言うけれど、 エトワールはまだまだやり直しがきくと思う。私としては みんな穏やかに仲良くしてもらいたいものだよ。
 その日は気まずい空気が流れて、 楽しく遊べる雰囲気ではなくなってしまった。
 仕方がないので、 子供達はそれぞれの屋敷に帰っていった。
 無理やり友達になれるものでもないけど、 エトワールとはせめて普通におしゃべりできるようにはなりたいな。

 
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