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3、ヒロイン転生者勢ぞろいです

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 校舎裏にはお花畑があって、 テーブルと椅子が用意してありました。
 他の四人はすでに席に着いています。
 私が最後だったようです。

「 遅れてしまってすみません」
「 遅いですわよ!」

 お嬢様言葉で怒っているのは、 フレンダ=アースガル公爵令嬢です。 この中では一番の上位貴族ですね。

 他の四人もきっと、私と同じく前世の記憶があるはずですよね。 ヒロインという言葉を使って呼び出していることから、間違いないはずです。
 
「 素の喋り方でよろしいのではありませんか? フレンダ様」
「 あなたも敬語じゃありませんの」

 確かに前世の記憶だけじゃなくて、 この世界で身についた習慣もありますからね。
 言葉遣いについて指摘するのは野暮というものでしょう。

「 それもそうですね。・・・・・・ それで、私に何のご用件でしょうか?」
「 攻略対象についてですわ」

 やはり、その件についてなのですね。 予想はついていました。
 フレンダは、積極的に攻略対象者たちにお近づきになりたいのでしょう。 他の3人も同様なようです。
 それに対しての私の答えは決まっています。

「 私は参加しないので、皆さんで攻略をお楽しみください」

 攻略対象者は全部で四人です。 ヒロインが5人いたのでは、一人だけ不幸になってしまいます。
 私が辞退すれば、 4対4で数が揃って丁度良くなります。
 推しメンが かぶってしまった場合はその限りではありませんが、 その場合は個人的に話し合ってください。
 草葉の陰から見守る立場さえ いりません。 私は平穏無事に暮らしていけさえすればそれでいいのです。

 ところが、 なぜかヒロイン四人の目つきが鋭くなりました。

「 早速駆け引きを始めようというのね」
「 油断ならないわ」
「 その手に乗るものですか」
「 大人しそうな顔して、恐ろしいことを考えるのね」

 皆さん、深読みしすぎじゃないですか!?
 私は何も企んでませんよ!

「 本当に私は攻略に参加するつもりはありませんよ」
「 まだとぼけるつもりなの!」

 私のことをものすごい目つきで睨みつけてくるのは、 ミシェル= カラード 男爵令嬢です。貴族の中では一番身分が低いのですが、 その代わりに聖女というアドバンテージがあります。

 何を言っても聞く耳を持たないようですね。困ったものです。

「 本当に何のことだかさっぱり分かりませんよ」
「 クレスト様と カイル様に 近づいたでしょう!」

 やはり、見られていたのですね。 それで私は呼び出されたということですか。
 私から 会いに行ったわけじゃないんですけどね。 どう言ったらわかってくれるものでしょうか。

「 偶然、居合わせただけですよ」
「 おとなしい顔して、そういう計算もできるんだ。こわーい」

 雑な演技で怖がっているのは、 エチカ=フローネ 子爵令嬢です。 プレイヤーが ヒロインとして選ばなければ、フレンダの取り巻きとなります。エチカは転生者の一人だから、 ヒロインとして振る舞うことでしょう。
 人を小馬鹿にしたような態度です。

 こんなヒロインがいてたまるか!

 いえ、 私は関わらないので、ご自由にどうぞ。

「 私のカイル様と二人きりで・・・・・・!!」

 怒りで肩を震わせているのは、レセリア=ファングナ ー伯爵令嬢です。 同じ貴族階級だけあって、 よく夜会等では 顔合わせていました。
 カイル推しですか。
 
「図書館では他にも人がいましたよ」

 テーブルが埋まっていて、むしろいつもより多いほどでした。

「 だから、それも計算のうちでしょ!」

 レセリアは、 言いがかりをつけてきました。

「 いくら調べても、 カミーラと図書館にいた人たちとのつながり の証拠が見つからなかったわ。 恐ろしい子」

 ミシェルは素敵な勘違いをしています。
 私は目立たないようにしていたから、 友達どころか知り合いもいませんよ。司書さん くらいのものです。
 
 ぼっち宣言は心の中でも辛いものですね。涙が出そうです。

「きゃはは! さすが カミーラだね☆」

 いや、エチカは 私のことをたいして知らないでしょう。

 皆さん、私のことを勝手に決めつけてくれますね。
 心労で 倒れそうですよ。

「・・・・・・ もう帰ってもいいですか?」
「 お待ちなさい! あなたは私と勝負しなければなりませんわ」

 フレンダ、人を指差さないでくださいよ。
 勝負って何ですか!?
 本当に勘弁してくださいよ・・・・・・。




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