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第2章 エルフの国のお姫様が 誘拐されたので、 解決することにしました

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「 償ってください」
「えっ?」

 私がそう告げると、ニア王女はぽかんと 口を開けて、 よく分かっていないようでした。

「 具体的にはどうすればいいのぉ?」
「 それを考えるのも含めて罰ですよ」
「そんなぁ!」

 ニア王女は 泣き喚いています。 私はさらに追い打ちをかけることにしました。

「 償えないなら、 大好きな人にもう会えませんよ」
「 ルナマリアちゃんは悪魔なのぉ!?」
「 何とでも言ってください」

 容赦する気はありませんよ。
 よく考えれば分かることです。

「 とっておきのお菓子をあげるから許してぇ!」
「仕方ありま・・・・・・」

 せんと言う 途中で、ガルヴァスが じとっとした目つきを 私の方に向けてきました。
 分かっていますよ。 お菓子は魅力的なのですが、甘やかしてはいけませんよね。
 本当にお菓子は魅力的なのですが!
 大切なことなので2度言いました。
 女神の裁きなのだからきちんとやります。 本当ですよ?
 
「いえ、 ちゃんと罪を償ってくださいね。 そのためにはまず しなければいけないことがありますよ」
「何かなぁ?」

 わがまま王女様の辞書にはない言葉のようですね。 悪いことをしたら謝罪するという常識を知らないようです。
 形だけ謝ってもすぐに同じことを繰り返すと思います。 だから、自分で答えを見つけて実行しなければいけません。

「 少し考えれば分かることですよ。・・・・・・ ところで、お菓子はまだですか?」
「 ルナマリア、 お前・・・・・・」

 ガルヴァス、 呆れたような表情をしないでくださいよ。 私は少しでも空気が重くならないように場を和ませようとしてですね・・・・・・ お菓子をくれるって言うんなら 、もらうに決まってるじゃないですか!

「 お菓子を あげると言われて、ホイホイ付いていき、誘拐されたりするなよ」
「そ、 そんなわけないじゃないですか」
「 ならば、どうして目を逸らす?」

 実際に誘拐されそうになったのは子供の頃の話だから時効ですよね。
 今はそんな話をしている場合じゃないですよ。ニア王女が 頭を下げるように仕向けないといけません。

「やだよぅ。 ジェラートちゃんに会いたいよぅ」

 ニア王女が デートしていた相手が 魔族だとは予想していたけど、まさか その相手がジェラートだとは 、世間は狭いですね。 そういえば彼はフードをかぶっていたから、 特徴が一致します。

「 ごめんなさいぃ! 私が悪かったからぁ、 ジェラートちゃんに会わせてよぅ・・・・・・」

 ニア王女は、やっと謝罪の言葉を述べてくれました。 私は優しく微笑みかけて頷きます。

「 わかりました。 ジェラートに会ってもいいですよ」
「どうしてぇ? 私、まだ 償う方法 がわからないのにぃ」
「 悪いと素直に認めて、 謝ってくれれば良かったんですよ」
「 そんなことでいいのぉ?」
「 王族が平民に頭を下げるのは屈辱だと思うので、 十分罰だと認められるのではないでしょうか」

 私が説明すると、ニア王女は 何故か私に飛びかかるように抱きついてきました。

「 ルナマリアちゃん、ありがとぉ!」

 緩いと思いますか。 でも壮大な人騒がせなだけだったので、 この程度で十分だと思いますよ。 ニア王女のこれからの成長に期待です。
 人のことは言えないですけどね。 私も頑張って行かねばなりません。


「 ルナマリア、これからどうする?」
「そうですね・・・・・・」

 ガルヴァスの問いに、 私は少しだけ頭を悩ませました。
 当初の予定では アインラッシュに向い、 しばらくはのんびり過ごそうかと思っていました。
 しかし、エリーゼの件がありますからね。 彼女の居場所のヒントになるかもしれないから、 ラックバードで彼女の生い立ちを 探ることにしましょうか。
 エリーゼとアルフレッドが遭遇したという、 黒髪の勇者のいる ダンジョンについても調査したいところです。

 今日のところは疲れているので、出発は明日にしたいと思います。

「・・・・・・ というわけで、 早くお菓子を持ってきてください!」
「 お前はブレないな」

 ガルヴァスは 理解してくれないようですけど、 お菓子は心の栄養なのですよ。 さあ、たっぷりと満喫させてもらいましょうか。
 いざ 旅立てば、 際限なくお菓子を口にすることはできないのですからね。

 現時点では謎が多すぎますけど、 考えても埒があきませんからね。 今はリラックスすることだけを考えましょう。





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