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第2章 エルフの国のお姫様が 誘拐されたので、 解決することにしました

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 捜索は簡単ですよ。 何しろ、私には【神の眼】があるんですからね。

 ・・・・・・あれ? おかしいですね。 全くニア 王女の気配を感じませんよ。 何らかの力が働いて、 感覚を遮断されているようです。

 困りましたね。 大きな口を叩いておきながら、 やっぱりできませんでした、では すみませんよ。
 犯人は 、ラディのように アーティファクトのようなものを使用しているのでしょうか。
 目視できるほど接近すれば 気配を察知できるのですが、 そこまで近づくことができる時は既に解決している時、 もしくは真相が明らかになっている時ですよね。

 アーティファクトといえば、ラディの ストリングボウを 預かったままでした。衛兵に 渡してしまうのが一番でしょうけど、 なんとなくこのまま私が持っていた方がいいような気がします。【 女神の神託】ですね。

 私の【神の眼】をあてにできないとなると、 地道な聞き込みを行うしかありません。
 まずは 衛兵に 基本的なことを確認することにしましょう。

「ニア王女は、 何時頃どこでいなくなったのですか?」
「 姫様は昨日から帰ってきてないですね。 恐らく姫様の部屋から連れ出されたのでしょう」
「 家出の可能性はありませんか?」

 王宮の 宝物庫に 気配を隠蔽するアーティファクトがあって、ニア王女が それを持ち出して家出したのならば、 とりあえずラディとキャシーの 誘拐の疑いは晴れることになります。 可能性は限りなく低いですけどね。

「 姫様は深夜の内にいなくなっているので、その可能性は低いと思いますよ」
「 寝静まっている頃に何者かが 王女様の部屋に侵入して、 王女様をさらっていったということですか」

 周辺警備は万全のはずです。 それなのにあっさりと誘拐を成功させてしまうとは、 相当厄介な相手ですね。

「 王女様に最後に会ったのは 誰かわかりますか?」
「 姫様の専属メイドですね。 姫様が眠りにつくまで 見守っているはずですよ」
「 そのメイドが 共犯者という可能性はありませんか?」
「 その可能性は何とも言えません。 詳しいことは本人に確かめるのが良いのではないですか」
「 それもそうですね」

 私とガルヴァスは、王宮に向かう ことにしました。



 王宮の 手続きというものは何かと面倒くさいものです。聖女の 立場のおかげで だいぶ簡略化してもらえましたけどね。
 肩が凝るのはこれからです。
 私とガルヴァスは 謁見の間に通されて、 国王陛下にお目通り願うことができました。

「 初めまして。聖女の ルナマリアと申します」
「 彼女の お供をしている戦士のガルヴァスと申す」

 私はスカートの裾を軽くつまみ、 会釈しました。淑女の礼ーー カーテシーです。
 ガルヴァスは 及第点といったところですね。 マチルダパーティーがギルティオード公爵と関わりがあったから、 上流階級への対応は意外と慣れているのでしょう。 緊張した様子はなく、 動きにぎこちなさはありませんでした。

「 君たちの噂はフレアリーゼ 女王 から聞いているよ。 フレアリーゼ王国をスタンピードの 脅威から 守ってくれた そうだね」

 アクアリーフの クリスフォード 国王陛下にはすでにリゼから 通信機で連絡があって、 私たちのことを知っていたようです。

 リゼは私のあること、ないこと言ってませんよね!?

 いえ、 気にしたら負けです。 堂々としてればいいのですよ。

「 私はサポートをしていたにすぎませんよ。 皆の頑張りがあったからこそ 、魔物の脅威 に打ち勝つことができたのです」
「 ルナマリアがいなかったら、 甚大な被害に遭っていたかもしれないと 聞いたぞ。 もしかしたら アクアリーフにも被害が 広がっていたかもしれないからな。 私も君に褒美をやることにしよう」
「 そういうことでしたら、 喜んでお菓子を お受けいたします!」

 国王陛下の言葉を聞いて、 私はそう願い出ることにしました。
 ガルヴァスは 肩を震わせて笑いをこらえています。 きっとルナマリアはブレないな、 とでも思っているのでしょう。

「聖女と言っても、 やはり女の子なのだね。 すぐに用意させよう」

 
 国王陛下の命令で 、お茶会の用意が あっという間に整いました。
 珍しい外国のお菓子とかもありますよ。

「 ほっぺが落ちそうです」
「 気に入ってもらえたようで何よりだよ」

 程よい甘さが 口いっぱいに広がって、 嫌なことを忘れさせてくれますね。

 はて?
 重要なことまで忘却してしまったような?
 何でしたっけ。

「 ルナマリア、 姫様誘拐の 件を忘れてないだろうな?」

 そうでした。 すっかり記憶の中から消えさって・・・・・・。

「 もちろん、覚えていますよ。 本当ですよ?」
「 今、目を 逸したよな?」

 ガルヴァスは、 意外と目ざといですね。

「 細かい男は嫌われますよ?」
「 そういう問題じゃないだろ」
「 ごめんなさい・・・・・・」

 私たちのやり取りを見て、 国王陛下は吹き出しました。

「 君たちは面白いな」
「 別にウケを狙っているわけではありませんよ」
「ふむ。ーー ルナマリアたちもニアの 捜索に協力してくれるわけだな?」

 私たちも、ということは、 他にも ニア王女を探している 人がいるということなのでしょう。

「 私たちの前に誰が捜査しているのですか?」
「この国の 勇者 アルフレッドと聖女 エリーゼだよ」

 話によるとアルフレッドはエルフの男性で、 エリーゼは人間の 女の子 ようです。

「 二人が言うには、 彼らの元仲間の獣人 二人が 犯人と関わり合いがあるかもしれないということだ」

 まずいです。 もしもアルフレッドパーティーが 先に犯人を見つけたら、ラディとキャシーは 共犯者の汚名を着せられることになりそうです。
 これは何としてでも、 私たちが 彼らよりも早く犯人を見つける必要がありますね!




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