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第2章 エルフの国のお姫様が 誘拐されたので、 解決することにしました

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 冒険者は入念な準備をしなければいけません。 私はガルヴァスのアドバイスに従って、 ポーションと投げナイフを購入することにしました。 ポーションは 魔法による精神的疲労を抑えるためのもので、 投げナイフは遠距離攻撃不足をカバーするためのものです。
 ちなみに弓矢は、諸事情により苦手なので断念しました。 革鎧などで無理やり押し付けると息苦しくなるのですよ。

「 他に必要なものはありますか?」
「そうだな・・・・・・。 俺がルナマリアに髪飾りをプレゼントしてやろう」

 ガルヴァスは、 可愛らしいデザインの髪飾りを購入してプレゼントしてくれました。

「わあ! 素敵ですね。 ありがとうございます」
「 この髪飾りを装備していると、初級の【マジックボール】を唱えることができるんだ」

 そうですよね。冒険に必要なものですよね。 わかってましたよ。 でも、もう少しロマンチックにできないものですか。

「・・・・・・ お父さんに期待するのが間違ってますよね」
「 だから、俺は22歳だと言ってるだろ! ・・・・・・ 嬉しくなかったのか?」

 デザインは気に入りました。 プレゼントしてもらったのに、これ以上文句を言ったらバチが当たりますよね。

「いえ、 これ大事にしますね」
「ああ」

 似合っていると言えないものですか。 そうですか。 
 まあ、 別に期待してませんけどね。



 私たちは定期馬車に乗ることにしました。 アシュトン達とパーティーを組んでいた頃は 護衛依頼を受ける方だったけど、 今は私とガルヴァスの 二人きりなので、 お客さんとしてお金を支払います。
 定期馬車はなんとびっくり。 時間になったら 、お客さんが一人も乗っていなくても出発してしまうんですよ。 馬車の運営者は 護衛の冒険者が魔物を倒すと、 その取り分の一部を 受け取ります。 その代わり毎日同じ時間に、安定して護衛依頼を出し続けているのです。
 満席になるまで待たされ続けるようなことはありません。 その代わり時間に遅れると、 次の定期馬車がやって車で出発することができないのです。

 私たちですか?

「ぜえはあ、ぜえはあ」

 なんとかギリギリ間に合いましたよ。 おかげで息が切れました。

「 ルナマリア、お菓子の買いすぎだ」
「 だって、 フレアショコラはフレアリーゼでしか買えないんですよ!」
「 ルナマリアの旅に付き合っているだけだから、 別にお前のペースでいいんだけどな。 さすがに限度ってものがあるだろ・・・・・・」

 何やら、 お疲れの表情ですね。 これは日頃のお礼をするチャンスですね。

「 肩を揉みましょうか?」
「 とりあえず、そういうことはやめておけ」
「? はい、わかりました」

 ガルヴァスは、 私がお父さん扱いしていると感じたのでしょうか。
 冒険者の心得を教えてもらっているから、 感謝の気持ちを伝えるようなことをしたいんですけどね。なぜか余計なことをするな、と言う オーラがひしひしと伝わってきます。



 馬車は魔法によって揺れが少なくなっています。 定期的に魔力を供給しないといけないのが難点ですけど、 なかなか便利なものです。
 私が 有り余っている魔力を提供したら、 なぜかものすごく感謝されて、 お菓子まで頂いてしまいました。

「 ありがとうございます」
「 こちらこそ!」

 お菓子に囲まれて どれを食べたらいいのか迷ってしまうなんて、 夢のような贅沢ですね。
 独り占めなんてしませんよ。本当ですよ?
 小さな子供たちにも分けてあげます。
 えっ? お母さん達も欲しいんですか。 仕方ありませんね。
 みんなでお菓子を囲んで盛り上がりましょう。
 

 私は気がついたら、 わずか1時間ほどで乗り合いのお客さんみんなと仲良くなっていました。
 

 
 魔物の襲撃に遭っているので、 私たちはみんなで仲良くトランプで遊ぶことにしました。
 えっ?  戦わないのかって 思いましたか。
 他に護衛依頼を受けている冒険者 パーティーがいますからね。 仕事を奪うような真似はしませんよ。
 一応結界を張って、 防音にまでしています。
 しかし、それでも 子供達が怖がるかもしれないから、 私は気を紛らわせるために遊び相手になっているだけですよ。

 ・・・・・・ どうやら終わったようですね。

 冒険者パーティーは怪我を負っていました。神官は 魔力不足で、これ以上の回復はできないようです。
 仕方がないので、 私の回復魔法で 冒険者の 皆さんを癒してあげることにしました。
 するとまたもや、お菓子のお礼を 渡されて・・・・・・。

 嬉しい悲鳴とはこのことでしょうか。

 旅は順調のようですね。
 アシュトンたちのようなトラブルメーカーがいないから実に快適ですよ。
 いっそのこと、私の方からパーティーをやめればよかったかもしれませんね。
 でもそうすると、ガルヴァスとの 出会いはありませんでした。リゼとの 楽しいひと時もなかったことでしょう。

 きっと、ちょうど良いタイミングだったのでしょうね。

 あの時の 苦労があるから、 今の充実した 安らぎを満喫できるのですよ。






 事件が起きるフラグじゃないですよね?



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