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第1章 勇者を裁くだけの簡単なお仕事を始めました
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「 俺はガルヴァス。 見て分かる通り戦士だ」
ガルヴァスが 自己紹介してくれました。
知ってます。マチルダとの 会話をばっちりこの耳で聞いていましたからね。
聞き耳を立てるつもりはなかったんです。 でも、しょうがないじゃないですか。 魔物を警戒するために音には敏感になるものです。 本当ですよ?
臨時のパーティーだから、 簡単に打ち解けられるはずがありません。 だからといって、ずっと無言なのも気まずいですよね。
私は他愛ない 会話を試みることにしました。
「 私は始まりの国、アインラッシュの出身なんですよ」
アインラッシュが始まりの国といわれているのには理由があります。 魔族の大地から一番離れていて、 魔物も比較的弱く、 初心者冒険者には最適だからです。
お金がなくてアインラッシュに移動できず、 初心者が レベルに合わない場所で冒険者をして、 命を落とすということがよくありました。
そこで、アインラッシュに冒険者学校を設立し、 冒険者の支援により運営がなされるようになったのです。
冒険者志願者は 出身地の冒険者ギルドに登録し、 ギルドが運営する馬車に乗ってアインラッシュへと移動します。
冒険者学校には寮があって、 三食の食事がちゃんと出てきます。 教科書も配布されます。 授業なども全て無料で提供されるのです。
その代わり、生徒は卒業して 冒険者として活躍できるようになったら、 報酬の一部をギルドに支払うことになります。 冒険者学校でかかった費用を後払いするというよりかは、 後輩たちを支援する意味合いの方が強いみたいですね。 支払いが終わっても、ずっと 報酬の一部を寄付するものが多いようです。
勇者よりも冒険者の方がちゃんとしてませんか。
勇者は、 ある理由で性格が歪んでしまいます。
そんな輩のフォローをしなければいけないなんて、聖女は 割に合わない仕事ですよね。
・・・・・・ 何度も愚痴をこぼしてごめんなさい。
「アインラッシュはいい国だよな」
ガルヴァスは 冒険者学校の出身なのでしょう。 懐かしそうに目を細めました。
「のどか過ぎるのが玉に瑕ですけどね」
「 平凡な日常というのが一番かけがえのないものなんだ。 人々が安心して暮らせるように 俺たちは戦っている・・・・・・ はずなんだ」
ガルヴァスは、 思いつめたような表情に変わってしまいます。
何か悩みがあるのでしょうか。 私はマチルダのことが頭に浮かびました。
でも、他人の私が口を出して良いことではありません。
せめて気分転換にでも 付き合えればいいのですけど、 どうしたものですかね。
アシュトンと違って、高い 場所で景色を眺めればテンションが上がる、というわけにはいきませんよね。
ガルヴァスが 自己紹介してくれました。
知ってます。マチルダとの 会話をばっちりこの耳で聞いていましたからね。
聞き耳を立てるつもりはなかったんです。 でも、しょうがないじゃないですか。 魔物を警戒するために音には敏感になるものです。 本当ですよ?
臨時のパーティーだから、 簡単に打ち解けられるはずがありません。 だからといって、ずっと無言なのも気まずいですよね。
私は他愛ない 会話を試みることにしました。
「 私は始まりの国、アインラッシュの出身なんですよ」
アインラッシュが始まりの国といわれているのには理由があります。 魔族の大地から一番離れていて、 魔物も比較的弱く、 初心者冒険者には最適だからです。
お金がなくてアインラッシュに移動できず、 初心者が レベルに合わない場所で冒険者をして、 命を落とすということがよくありました。
そこで、アインラッシュに冒険者学校を設立し、 冒険者の支援により運営がなされるようになったのです。
冒険者志願者は 出身地の冒険者ギルドに登録し、 ギルドが運営する馬車に乗ってアインラッシュへと移動します。
冒険者学校には寮があって、 三食の食事がちゃんと出てきます。 教科書も配布されます。 授業なども全て無料で提供されるのです。
その代わり、生徒は卒業して 冒険者として活躍できるようになったら、 報酬の一部をギルドに支払うことになります。 冒険者学校でかかった費用を後払いするというよりかは、 後輩たちを支援する意味合いの方が強いみたいですね。 支払いが終わっても、ずっと 報酬の一部を寄付するものが多いようです。
勇者よりも冒険者の方がちゃんとしてませんか。
勇者は、 ある理由で性格が歪んでしまいます。
そんな輩のフォローをしなければいけないなんて、聖女は 割に合わない仕事ですよね。
・・・・・・ 何度も愚痴をこぼしてごめんなさい。
「アインラッシュはいい国だよな」
ガルヴァスは 冒険者学校の出身なのでしょう。 懐かしそうに目を細めました。
「のどか過ぎるのが玉に瑕ですけどね」
「 平凡な日常というのが一番かけがえのないものなんだ。 人々が安心して暮らせるように 俺たちは戦っている・・・・・・ はずなんだ」
ガルヴァスは、 思いつめたような表情に変わってしまいます。
何か悩みがあるのでしょうか。 私はマチルダのことが頭に浮かびました。
でも、他人の私が口を出して良いことではありません。
せめて気分転換にでも 付き合えればいいのですけど、 どうしたものですかね。
アシュトンと違って、高い 場所で景色を眺めればテンションが上がる、というわけにはいきませんよね。
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