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プロローグ

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 私は ルナシオン= フュリアス 公爵令嬢に転生した。 ルナシオンは 乙女ゲームの悪役令嬢で、 このままでは 断罪イベントが起こり、 民衆の目の前で公開処刑されてしまう。
 子供の頃から行動を起こしていれば、 フラグを回避できたかもしれない。 せめてゲーム開始時に 前世の記憶が戻っていれば、 挽回の手も 打てたはずだ。
 
 思い出したのは ゲーム終盤だったりします。

 断罪イベントまっしぐらだよ! どうしろというの!

 何かないか。 思い出せ私!
 ここは剣と魔法の世界。
 
 ・・・・・・そうだ!

 高原の魔女ラブリナなら、 この状況を何とかしてくれるかもしれない。 私は早速、彼女に会いに行くことにした。


 乙女ゲームは選択肢を 選んで、 攻略対象を攻略していくゲームである。 選択肢を失敗すると攻略できなくなる。が、 一つの救済措置があった。
 舞踏会の イベントで ドレスが用意できなかったり、 遅刻しそうになると、魔女のラブリナが お助けキャラとして現れる。

 ・・・・・・ それなんてシンデレラ?

 私も突っ込みどころ満載だと思うけど、 今の私は藁にもすがりたい思いだから、ラブリナに 助けを求めるほかなかった。


「 いらっしゃい。 ルナシオン」

 ラブリナは、まるで私の訪問を知っていたかのように 扉を開けて、 私を出迎えてくれた。

「 私のことを知っているの?」
「 それは互い様でしょう? 異世界から転生した 悪役令嬢のルナシオン」

 ラブリナは 私と同じく転生者かもしれない。 もし違ったとしても、 前世の話を疑われる心配はなさそうだ。

「 私のことを知っているなら話が早いわ」

 私は乙女ゲームのこと、 これから私がどうなるかを話した。 そして、それを回避する方法を相談する。

「ラブリナの 魔法で私を助けてくれないかしら」
「ざまぁをご所望でしょうか?」
「えっ?」

 私はラブリナが言っていることをすぐには理解できなかった。

 ざまぁ?

 悪役令嬢として陥れられた主人公が、 復讐を果たしてスカッとする話のことだよね。
 ヒロインルルリナ=オージュも転生者で、ゲーム通りに進めようとすることも考えられるから、 今の私にはピッタリかもしれない。

「ええ、ざまぁ展開で お願いするわ」
「 では、そのように手配しておきましょう」

 私は 報酬の前払いとして、 金貨1000枚を払うことにした。 ちなみに日本円に換算すると 約 1000万円である。
 しばらく贅沢できないけど 、命がかかっているのだから背に腹は代えられない。

 私は絶対に断罪イベントを乗り切ってみせる!




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