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二人の冒険者
狙撃
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「ぐえっ」
引き金を引いた瞬間、鈍器で殴られたような衝撃に襲われ、トンディは少女には到底似つかわしくない声を上げて後ろ向きに転び後頭部を強打する
「なんて衝撃……お帽子をかぶっていなければたんこぶだった……クレール、大丈夫?」
柔らかい平原の土に帽子のお陰でなんとか後頭部の強打はまぬがれたトンディは、ヒリヒリとする頭を抑えながら立ち上がり相棒の無事を確かめる。
幸い、クレールは腹ばいに状態であったため吹き飛ばされることはなかったようだが。
引き金に指をかけたまま呆けたように微動だにせず、トンディの問いかけにも答えない。
「まさか……クレール、大丈夫聞こえる? 鼓膜やられた?」
慌ててクレールに駆け寄り肩を揺するトンディ。
しかしそれでもクレールは反応する様子はなく……しばらくすると返事の代わりにクレールはゆっくりと膝立ちをしてトンディの方へ振り返る。
その目からは一筋の雫が流れており、トンディはギョッとする。
「‼︎‼︎ く、クレール‼︎ 大丈夫? どこか痛いの‼︎?」
「っ……か」
「か?」
「快……感‼︎ いやっほおおーう‼︎」
「おごぅ‼︎?」
奇声をあげながらトンディに抱きつくクレール。
その速度と衝撃にトンディは、大型犬の突進を思い浮かべながらなすすべもなく、もう一度後頭部を強打する。
「すごいよこの銃‼︎ なにこれ本当に最高‼︎ 発砲音も、遅れてくる風切り音も、手に伝わる反動も何もかも最高‼︎ 手がまだジンジンしてるよ」
「私は頭がジンジンしてる……」
「あ、ごめん。大丈夫?」
絞り出すようなトンディの苦言に、ようやくクレールは我に帰ったのか。
慌ててクレールはトンディの上からどく。
「まぁ……なんとか。 それで、魔物は?」
「あ‼︎ 確認してなかった、ええと」
呆れたような表情のトンディに、クレールは慌てて立ち上がり双眼鏡をのぞく。
倍率が高く設定された望遠鏡に映ったのは、こちらを睨みつけるような巨人の顔。
「あ、あれ‼︎? 立ってる。 うそ‼︎? どうしようトンディ、全然効いてない!? そ、そんなぁ、すごい威力だったのに……うぅ、やっぱりグレイグの言う通り私は役立たず……」
「落ち着けクレール。よくみて」
「ふぇ? みるってどこを」
「……ふんす」
不意にトンディは膝カックンをかまし、「ふひゃあ」なんていう声と同時にクレールは地面に膝をつく。
「おいトンディ、膝カックンはびっくりするからやめろって言ってるだろ」
「いいから、その姿勢で見てごらん」
膝立ちのまま抗議をするクレールであったが、その抗議をむししてトンディは前を向くように告げ、クレールは訝しげになりながらもそのまま双眼鏡を覗く。
と。
「‼︎‼︎ な、なんだあの大穴?」
巨人の胸のあたりには、先ほどまでは確かになかった巨大な穴が空いており、ぼたぼたとそこから赤い液体のようなものがこぼれ落ちている。
体を10mだとするならばその穴の大きさはおおよそ直径1mほどであり、生物であれば間違いなく致命傷であることは誰が見ても明らかだ。
「自分で開けたんでしょうに……。まったく、おめでとうクレール約束通り今夜はフルコース。もちろん、クレールの奢りね」
言葉と同時に、双眼鏡越しの巨人の体がぐらりと揺れ、その場に崩れる。
遠方より響くズシンという音と、大地を揺らす振動。
それはまるでクレールの一撃を喝采するかのよう。
だがこの時、クレールとトンディは知る由がなかった。
彼女たちが撃ち抜いたのが、暴食の魔王・ガルガンチュアであったことを。
◇
引き金を引いた瞬間、鈍器で殴られたような衝撃に襲われ、トンディは少女には到底似つかわしくない声を上げて後ろ向きに転び後頭部を強打する
「なんて衝撃……お帽子をかぶっていなければたんこぶだった……クレール、大丈夫?」
柔らかい平原の土に帽子のお陰でなんとか後頭部の強打はまぬがれたトンディは、ヒリヒリとする頭を抑えながら立ち上がり相棒の無事を確かめる。
幸い、クレールは腹ばいに状態であったため吹き飛ばされることはなかったようだが。
引き金に指をかけたまま呆けたように微動だにせず、トンディの問いかけにも答えない。
「まさか……クレール、大丈夫聞こえる? 鼓膜やられた?」
慌ててクレールに駆け寄り肩を揺するトンディ。
しかしそれでもクレールは反応する様子はなく……しばらくすると返事の代わりにクレールはゆっくりと膝立ちをしてトンディの方へ振り返る。
その目からは一筋の雫が流れており、トンディはギョッとする。
「‼︎‼︎ く、クレール‼︎ 大丈夫? どこか痛いの‼︎?」
「っ……か」
「か?」
「快……感‼︎ いやっほおおーう‼︎」
「おごぅ‼︎?」
奇声をあげながらトンディに抱きつくクレール。
その速度と衝撃にトンディは、大型犬の突進を思い浮かべながらなすすべもなく、もう一度後頭部を強打する。
「すごいよこの銃‼︎ なにこれ本当に最高‼︎ 発砲音も、遅れてくる風切り音も、手に伝わる反動も何もかも最高‼︎ 手がまだジンジンしてるよ」
「私は頭がジンジンしてる……」
「あ、ごめん。大丈夫?」
絞り出すようなトンディの苦言に、ようやくクレールは我に帰ったのか。
慌ててクレールはトンディの上からどく。
「まぁ……なんとか。 それで、魔物は?」
「あ‼︎ 確認してなかった、ええと」
呆れたような表情のトンディに、クレールは慌てて立ち上がり双眼鏡をのぞく。
倍率が高く設定された望遠鏡に映ったのは、こちらを睨みつけるような巨人の顔。
「あ、あれ‼︎? 立ってる。 うそ‼︎? どうしようトンディ、全然効いてない!? そ、そんなぁ、すごい威力だったのに……うぅ、やっぱりグレイグの言う通り私は役立たず……」
「落ち着けクレール。よくみて」
「ふぇ? みるってどこを」
「……ふんす」
不意にトンディは膝カックンをかまし、「ふひゃあ」なんていう声と同時にクレールは地面に膝をつく。
「おいトンディ、膝カックンはびっくりするからやめろって言ってるだろ」
「いいから、その姿勢で見てごらん」
膝立ちのまま抗議をするクレールであったが、その抗議をむししてトンディは前を向くように告げ、クレールは訝しげになりながらもそのまま双眼鏡を覗く。
と。
「‼︎‼︎ な、なんだあの大穴?」
巨人の胸のあたりには、先ほどまでは確かになかった巨大な穴が空いており、ぼたぼたとそこから赤い液体のようなものがこぼれ落ちている。
体を10mだとするならばその穴の大きさはおおよそ直径1mほどであり、生物であれば間違いなく致命傷であることは誰が見ても明らかだ。
「自分で開けたんでしょうに……。まったく、おめでとうクレール約束通り今夜はフルコース。もちろん、クレールの奢りね」
言葉と同時に、双眼鏡越しの巨人の体がぐらりと揺れ、その場に崩れる。
遠方より響くズシンという音と、大地を揺らす振動。
それはまるでクレールの一撃を喝采するかのよう。
だがこの時、クレールとトンディは知る由がなかった。
彼女たちが撃ち抜いたのが、暴食の魔王・ガルガンチュアであったことを。
◇
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