27 / 46
ブラックマーケット
しおりを挟む
ウーノの街南東にあるスラム街……通称「ブラックマーケット」
物流が行き交い、多くの国や人が集まり賑わうウーノの街の活気を光と例えるならば、当然そこに落ちる影は深く濃くなることは道理であり、魔物という脅威がないということは裏を返せば人による悪行が生まれやすいとも言える。
物流が多いということは、当然表には出せないような珍品、危険物の流通も裏の町では比例して多くなるわけで、取り締まれないほど巨大化してしまった結果ウーノの街の中央街は、臭いものに蓋でもするかのように巨大な壁で隔離をすることでウーノの治安を守ったらしく。
ここに住む人々は自嘲を込めてこの場所をウーノのゴミ箱と呼ぶのだと、フレンは教えてくれた。
「さて、というわけでやってきましたブラックマーケット‼︎」
陰鬱な空気の漂う街に姉ちゃんの声が響く。
楽しげにぴょんぴょんとその場で飛び跳ねる様は、さながら新品の雨がっぱを買ってもらった子供が水たまりで飛び跳ねているかのようだ。
「なんで楽しそうなんだよアンネ。ここがどんなところかって説明、ちゃんと理解したんだよな?」
「もちろん、めずらしいものが売ってて、何やってもいい場所でしょ? 任せて‼︎ お姉ちゃんそういうの得意だから‼︎」
「拡大解釈のバーゲンセールかっ!?」
「あー、OK姉ちゃん。とりあえず杖は没収するね」
危険を感じた僕は、姉ちゃんの背中に掛けられた杖を抜き取る。
重いなこの杖……。
「ふええぇ‼︎ なんでええぇ‼︎?」
「なんでって、姉ちゃんが任せてって言う時は大体何かを壊すときだからだよ‼︎? そうポンポンと借金増やされてたまるかこのざんねーちゃん‼︎」
「ざんね……うわあああぁん。マオちゃああぁんんユウくんがいじめるーーお姉ちゃんだって頑張ってるのにー‼︎」
「よしよし、そうじゃな……お主も頑張っておるよな。ちょっと頭おかしいけど……」
「ううぅ……認めてくれるのはマオちゃんだけ……ってあれ? 今マオちゃんさらっと悪口言った?」
「気のせいじゃないかの……それよりも金髪、地域は絞れたと言ってもこれだけ広い街じゃ、何かあてはあるのかの?」
姉ちゃんから目をそらしマオはフレンにそう問うと、フレンは考えるような素振りを見せ……。
「ふぅむ、ここいらの情報通なら一人仕事の付き合いで心あたりがあんな……そいつを尋ねてみるか……ほら、そこの酒場だ」
……思いついた様にブラックマーケット入り口すぐに立っている年季の入った酒場をゆびさす。
「付き合いがある店って……大丈夫? フレンのことだからまた揉め事になったりするんじゃないの?」
「しねーわ!? お前本当に俺のことなんだと思ってんだよ‼︎」
「詐欺師」
「商人だよ!?」
「なっ……そうじゃったのか‼︎?」
「おいおいマオさん? お前何で本気で驚いてるんですかねぇ? 何回か俺の手伝いしてるよな?」
「いや、妾今までてっきり詐欺の片棒を担がされているのだとばかり……まったくそれならそうと最初から言わぬか金髪‼︎」
「なんで俺が怒られんだよ!?……くそっ、てめえら揃いも揃ってバカにしやがって……いいぜ見せてやるよ。俺が商人としてどれだけ顔が広いかって思い知らせてやらあ‼︎? お前ら2人とも、『フレン様調子に乗ってすみませんでした』って土下座させてやるからな‼︎ 覚悟しとけ‼︎」
そう捨て台詞を吐くとフレンは一人酒場へと入っていき、少し遅れて僕たちもその後に続いた。
物流が行き交い、多くの国や人が集まり賑わうウーノの街の活気を光と例えるならば、当然そこに落ちる影は深く濃くなることは道理であり、魔物という脅威がないということは裏を返せば人による悪行が生まれやすいとも言える。
物流が多いということは、当然表には出せないような珍品、危険物の流通も裏の町では比例して多くなるわけで、取り締まれないほど巨大化してしまった結果ウーノの街の中央街は、臭いものに蓋でもするかのように巨大な壁で隔離をすることでウーノの治安を守ったらしく。
ここに住む人々は自嘲を込めてこの場所をウーノのゴミ箱と呼ぶのだと、フレンは教えてくれた。
「さて、というわけでやってきましたブラックマーケット‼︎」
陰鬱な空気の漂う街に姉ちゃんの声が響く。
楽しげにぴょんぴょんとその場で飛び跳ねる様は、さながら新品の雨がっぱを買ってもらった子供が水たまりで飛び跳ねているかのようだ。
「なんで楽しそうなんだよアンネ。ここがどんなところかって説明、ちゃんと理解したんだよな?」
「もちろん、めずらしいものが売ってて、何やってもいい場所でしょ? 任せて‼︎ お姉ちゃんそういうの得意だから‼︎」
「拡大解釈のバーゲンセールかっ!?」
「あー、OK姉ちゃん。とりあえず杖は没収するね」
危険を感じた僕は、姉ちゃんの背中に掛けられた杖を抜き取る。
重いなこの杖……。
「ふええぇ‼︎ なんでええぇ‼︎?」
「なんでって、姉ちゃんが任せてって言う時は大体何かを壊すときだからだよ‼︎? そうポンポンと借金増やされてたまるかこのざんねーちゃん‼︎」
「ざんね……うわあああぁん。マオちゃああぁんんユウくんがいじめるーーお姉ちゃんだって頑張ってるのにー‼︎」
「よしよし、そうじゃな……お主も頑張っておるよな。ちょっと頭おかしいけど……」
「ううぅ……認めてくれるのはマオちゃんだけ……ってあれ? 今マオちゃんさらっと悪口言った?」
「気のせいじゃないかの……それよりも金髪、地域は絞れたと言ってもこれだけ広い街じゃ、何かあてはあるのかの?」
姉ちゃんから目をそらしマオはフレンにそう問うと、フレンは考えるような素振りを見せ……。
「ふぅむ、ここいらの情報通なら一人仕事の付き合いで心あたりがあんな……そいつを尋ねてみるか……ほら、そこの酒場だ」
……思いついた様にブラックマーケット入り口すぐに立っている年季の入った酒場をゆびさす。
「付き合いがある店って……大丈夫? フレンのことだからまた揉め事になったりするんじゃないの?」
「しねーわ!? お前本当に俺のことなんだと思ってんだよ‼︎」
「詐欺師」
「商人だよ!?」
「なっ……そうじゃったのか‼︎?」
「おいおいマオさん? お前何で本気で驚いてるんですかねぇ? 何回か俺の手伝いしてるよな?」
「いや、妾今までてっきり詐欺の片棒を担がされているのだとばかり……まったくそれならそうと最初から言わぬか金髪‼︎」
「なんで俺が怒られんだよ!?……くそっ、てめえら揃いも揃ってバカにしやがって……いいぜ見せてやるよ。俺が商人としてどれだけ顔が広いかって思い知らせてやらあ‼︎? お前ら2人とも、『フレン様調子に乗ってすみませんでした』って土下座させてやるからな‼︎ 覚悟しとけ‼︎」
そう捨て台詞を吐くとフレンは一人酒場へと入っていき、少し遅れて僕たちもその後に続いた。
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
もふもふ好きの異世界召喚士
海月 結城
ファンタジー
猫や犬。もふもふの獣が好きな17歳の少年。そんな彼が猫が轢かれそうになった所を身を呈して助けたが、助けた彼が轢かれて死んでしまった。そして、目が醒めるとそこは何もない真っ白な空間だった。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる