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第五章 復活のはじまり
第七十話 光の中
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オクタヴィアンは光の中にいた。
これが日の光なら、もうとっくに自分は燃えている。でも何か違うし、何か温かくていい気分だ……
オクタヴィアンは気分良く歩き始めた。
すると、光の中から見覚えのある三人の姿が。
「ヨアナ! エリザベタ! ローラ!」
三人とも光輝き、とても健康的で美しく、元気そうである。
オクタヴィアンは走って三人の元へ行った。
走ってきたオクタヴィアンにエリザベタは軽く微笑むと、優しく口づけをしてきた。
あまりの予想外なエリザベタの行動に、オクタヴィアンはビックリして目を丸くした。
そんなオクタヴィアンを見て、エリザベタは指を刺して笑い始めた。
そこにヨアナがズボンを引っ張って合図してきたので、オクタヴィアンは目線の位置までしゃがむと、ヨアナはほっぺたにキスをした。
オクタヴィアンは何とも言えない嬉しさが込み上げてきて、ヨアナを抱きしめた。
すると今度はローラが肩を叩くので、オクタヴィアンは立ち上がって今度はどこにキスをくれるのかな? と、期待していると、
ギューーーーーーーーーっっ!
と、左右のほっぺたを両手でつねられた。
「痛あっっ!」
オクタヴィアンは困り顔でローラを見ると、ローラどころか三人とも大爆笑しているので、自分もつい笑ってしまった。
笑って笑って、笑いすぎて涙が出てきた。
……ゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴト……
オクタヴィアンは、揺れる棺桶の中で目が覚めた。
そうだ。テオフィルをあっさり倒して、あそこで解散したんだっけ。
テスラはカルパチアに戻るって言ってたな……そこに嫁さんを連れてヤコブも合流するって言ってたけど大丈夫かなあ?
グリゴアは今日中にハンガリーに亡命したら、こちらからは追わないってバサラブに言われてたっけ?
それでバサラブは一旦ブカレストに戻って、公室評議会でまた公になる準備をするって言ってたな。
ああ、お義母さんにお義父さんの死を伝えるとも言ってたっけ。
で、ボク達は……
オクタヴィアンは棺桶のフタを開けた。
「あ、吸血鬼さん、おはよ」
「ん? オクタヴィアン起きたか?」
馬車の御者席にはベルキとおじさんが並んで仲良く座っている。
「ハンガリーまではもうすぐだ」
おじさんが教えてくれた。よく見ると、自分達の前にもう一台、馬車が走っている。
たぶんグリゴアのだろう。
そうだった。ボク達は、ハンガリー経由でフランスとかドイツとか旅してみる事になったんだった。
オクタヴィアンが棺桶から上半身を起こして寝ぼけ眼で考えていると、ベルキが顔をのぞいてきた。
「? 吸血鬼さん泣いてるの?」
オクタヴィアンは目から涙がこぼれ落ちているのを、ベルキに言われるまで気がつかなかった。
そんなベルキの首には、ローラの赤と黒のチェックのスカーフが巻かれていた。
そのスカーフを見ながらオクタヴィアンは、
大丈夫、大丈夫。きっとこの先、上手くやっていける。
そう思った。
これが日の光なら、もうとっくに自分は燃えている。でも何か違うし、何か温かくていい気分だ……
オクタヴィアンは気分良く歩き始めた。
すると、光の中から見覚えのある三人の姿が。
「ヨアナ! エリザベタ! ローラ!」
三人とも光輝き、とても健康的で美しく、元気そうである。
オクタヴィアンは走って三人の元へ行った。
走ってきたオクタヴィアンにエリザベタは軽く微笑むと、優しく口づけをしてきた。
あまりの予想外なエリザベタの行動に、オクタヴィアンはビックリして目を丸くした。
そんなオクタヴィアンを見て、エリザベタは指を刺して笑い始めた。
そこにヨアナがズボンを引っ張って合図してきたので、オクタヴィアンは目線の位置までしゃがむと、ヨアナはほっぺたにキスをした。
オクタヴィアンは何とも言えない嬉しさが込み上げてきて、ヨアナを抱きしめた。
すると今度はローラが肩を叩くので、オクタヴィアンは立ち上がって今度はどこにキスをくれるのかな? と、期待していると、
ギューーーーーーーーーっっ!
と、左右のほっぺたを両手でつねられた。
「痛あっっ!」
オクタヴィアンは困り顔でローラを見ると、ローラどころか三人とも大爆笑しているので、自分もつい笑ってしまった。
笑って笑って、笑いすぎて涙が出てきた。
……ゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴト……
オクタヴィアンは、揺れる棺桶の中で目が覚めた。
そうだ。テオフィルをあっさり倒して、あそこで解散したんだっけ。
テスラはカルパチアに戻るって言ってたな……そこに嫁さんを連れてヤコブも合流するって言ってたけど大丈夫かなあ?
グリゴアは今日中にハンガリーに亡命したら、こちらからは追わないってバサラブに言われてたっけ?
それでバサラブは一旦ブカレストに戻って、公室評議会でまた公になる準備をするって言ってたな。
ああ、お義母さんにお義父さんの死を伝えるとも言ってたっけ。
で、ボク達は……
オクタヴィアンは棺桶のフタを開けた。
「あ、吸血鬼さん、おはよ」
「ん? オクタヴィアン起きたか?」
馬車の御者席にはベルキとおじさんが並んで仲良く座っている。
「ハンガリーまではもうすぐだ」
おじさんが教えてくれた。よく見ると、自分達の前にもう一台、馬車が走っている。
たぶんグリゴアのだろう。
そうだった。ボク達は、ハンガリー経由でフランスとかドイツとか旅してみる事になったんだった。
オクタヴィアンが棺桶から上半身を起こして寝ぼけ眼で考えていると、ベルキが顔をのぞいてきた。
「? 吸血鬼さん泣いてるの?」
オクタヴィアンは目から涙がこぼれ落ちているのを、ベルキに言われるまで気がつかなかった。
そんなベルキの首には、ローラの赤と黒のチェックのスカーフが巻かれていた。
そのスカーフを見ながらオクタヴィアンは、
大丈夫、大丈夫。きっとこの先、上手くやっていける。
そう思った。
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