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ドキドキ同棲編

甘い同棲の始まりはクラウチングスタートで

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お付き合いを始めて、初日から女の子weekがやって来た。
あぁ、本当に私はタイミングが悪い女だなぁ…。
付き合いたてのタイミングで生理なんて…。
以前、一瞬だけお付き合いした男性に『生理だとエッチ出来ないから、そんなん意味ないし会いに来なくていいよ』と言われたことのある身としては、非常に申し訳ない思いで押し潰されそうだ…。

「希帆さん、鎮痛剤は飲む?いつもどこの薬飲んでるの?」

頭を抱えてベッドに寝転がっていると、大輔くんが心配そうに声を掛けてくれる。
せっかく、お互いのお休みが重なったのに、どこにも出掛けることなくベッドで過ごすことになりそうだ。

「んんん。お薬飲むほどじゃないから大丈夫だよ。ありがとう」
「そう?欲しくなったら言ってね。…ほらほら、身体冷やしちゃダメだって」

ついついお布団を蹴ってしまう私を優しく諫めて、大輔くんが掛け布団を丁寧に直してくれる。
そのまま私の隣に横になって、幼子を寝かしつけるように、ゆったりとしたリズムで布団を叩いてくれた。

「…ん?どうしたの?」

その綺麗な横顔を見つめていたら、フワリと優しく微笑まれて不覚にもときめいてしまう。
いや、彼氏相手なのだから不覚も何もないのだけど。

「…なんか、こんな風に何もせず二人でベッドで寝転ぶの、良いなぁと思って」

これまでのお付き合いでは、二人でベッドに入ったら必ず房事が始まったので、こんなに穏やかに恋人とベッドで過ごすのは初めてな気がした。

「ハハハ。これからは二人でゆっくり過ごそうね♡いっぱい甘えて良いよ?」

本当にこの子は、人生何周目なんだろう。
もしかして、貴方が天使か?
神様の使いで有名なあの天使なのか?
あぁ、それならお尋ねします、神様…
私みたいなアラサーが、こんなに素敵な男の子を捕まえて良いんでしょうか。
許されるのでしょうか。
許されると言うのなら、この身が朽ち果てても、彼を愛することを誓います。アーメン

「ぶくくくく……希帆さん、モノローグが駄々洩れだからね?」
「んひっ!?」

両手を胸元で結び『アーメン』の格好をした私は思わず奇声を上げる。
いやいや、愛することを誓いますとか考えてたのに、それが駄々も洩れなんて恥ずかしいことこの上なし。

「神様が許さなくても、俺が許すから、希帆さんは安心して俺に愛されてね♡」

ちゅっ、と唇に甘いキスを落とされて、シュワシュワと溶けてしまいそうになる。
まるで綿菓子になった気分だ。
甘くて甘くて喉が渇いてしまいそう。

「……お手柔らかに、お願い…します………」

結んだ手を解き、今度は顔面を覆い隠しながら、悠然と微笑む美しい恋人に希望を告げる。
大輔くんは返事の代わりに、もう一度キスをくれた。

「はぁ、幸せ♡」

ゆっくりと唇を離して、大輔くんが呟く。

それはこっちのセリフだ!
誰がどう見ても、幸せ一等賞は私のものだ!!
この幸せが出来るだけ長く続くように、鋭意努力しなければなるまい。

「…さしあたっては容姿の研磨かなぁ……」
「ん?なんて?」

心の中で呟いたつもりの言葉が、自分の口からまろび出た。
髪の毛を優しく梳いてくれていた大輔くんが、自分の右手を枕にして横向きの体勢になる。

「んんん。…私ね、ちょっと前にコンタクトにしたの…気付いた?」
「ん?うん。もちろん」
「え?あ、そう…。……あとね、お洋服も昔着ていた清楚系のお洋服を着てみたりしてたんだけど…」
「シフォンのスカートとか、ワンピースとか増えたよね」
「えっ…気付いてた?」
「もっちろん。希帆さんの変化に気付かないなんてあり得ないよ」

そのまま額に3連続でキスをされる。

「何も反応がないから気付いてないんだと思った……」
「…?何を着てても、眼鏡でもコンタクトでも、希帆さんは希帆さんだし。どんな希帆さんでも可愛いのは変わらないから、特別何を言うでもなかったけど……」

私の顔をうかがうようにして、不安げに大輔くんが言葉を続けた。

「もしかして、不安にさせちゃった?ごめんね。正直、希帆さん見ちゃうと抱きしめたくなっちゃうから、なるべく避けてたのもあるよ。本当にごめんね…」

大輔くんは私の額に自分のそれを合わせて、軽くグリグリと押し付けてくる。
コンタクトも眼鏡もしていない裸眼の私の視界に、色素の薄い大輔くんの瞳が飛び込んできた。
本当に申し訳なさそうな顔をした後、私の鼻先に掠めるようなキスをくれる。

「…それに、希帆さんってめっちゃ照れるでしょ?俺がちょっと褒めただけで顔面真っ赤にして瞳ウルウルさせたりなんかしてさぁ…。あれ、ほんっとに堪らないんだよねぇ♡押し倒したくなっちゃうから、困る♡」
「…押し倒し……って…や、そんな…」
「ほら!その顔!!可愛がって可愛がってメロメロのズクズクにしたい気持ちと、いじめていじめてデロデロに泣かせたい気持ちが折り重なって、どうしようもなくなる…」

真剣な目をした大輔くんの口が近付いてきて、私の下唇を捕まえる。
大輔くんはまるでお仕置きでもするように、私の下唇を軽く噛んで、大きな舌で両唇をひと舐めした。
私はますます顔面に熱を集めてしまって、どうしたら良いか分からず彼の胸の中に飛び込んだ。

「でも、今日からは我慢せずに希帆さんの可愛いところ全部口に出すね♡」
「……お手柔らかに、なにとぞ、なにとぞぉ…!」
「事実しか言わないって♡」

大輔くんの腕の中で甘く溶かされながら、私は今後の同棲生活を少し憂いた。

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