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130話【完】
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ぶわっと花が開くような甘い香りに包まれて、一瞬息が止まった。
「かはっ……ぁ……」
「ルーカス、大丈夫ですか?ルーカス!ダーウェル!来てくれ」
シルフェ様の焦った声に俺は大丈夫ですと笑みを作る。
「シルフェ……様、大丈夫です……少し驚いただけですから」
シルフェ様の差し出してきた手に手を重ねるだけで、ドキドキしてきてしまう。
「本当に?」
「はい」
「なら、良かったけれど……凄いな……ルーカスのフェロモンだろうか、甘い匂いがして堪らない気持ちになるな」
シルフェ様が深い吐息を吐き出して口角を上げた。
「シルフェ様、あの……シルフェ様が欲しいです」
シルフェ様にそうお願いをすると、シルフェ様は俺を抱き上げそのまま庭から建物に入り自室に向かった。
☆☆☆
それから半年。
俺は海の見える高台に建つ屋敷の窓から外を見ていた。
「ルーカス、身体にさわるといけない」
「大丈夫ですよ」
心配性なのだと、俺はクスクス笑う。
シルフェ様は騎士団を退役し王都から離れた領地に越してきた。
先日俺の腹にはシルフェ様との子が宿っていると聞いた。
まだ自覚は無いのだけれど……。
「それよりも、明日……楽しみです」
「そうだな、明日の為に早めに眠らなくては」
シルフェ様の腕が腰に回されて引き寄せられる。
「でも、シルフェ様と一緒ならゆっくり眠れないかもしれません」
「そうだな」
互いに顔を見合せてからキスをする。
「月が綺麗ですね」
雲ひとつない夜空。
俺はそう呟いた。
ぼんやりと紅く輝く月が空に浮かんでいる。
明日は二度目の結婚式なのだ。
風の噂で王子とヒロインは婚姻を結んだらしいが、俺にはもう関係ない。
いつからだろう、自分がゲームの中のキャラクターだとは思わずストーリーとは違う動きをしたのは。
悪役令息と呼ばれた俺は攻略対象のシルフェ様に愛されて
めでたしめでたし。
完
「かはっ……ぁ……」
「ルーカス、大丈夫ですか?ルーカス!ダーウェル!来てくれ」
シルフェ様の焦った声に俺は大丈夫ですと笑みを作る。
「シルフェ……様、大丈夫です……少し驚いただけですから」
シルフェ様の差し出してきた手に手を重ねるだけで、ドキドキしてきてしまう。
「本当に?」
「はい」
「なら、良かったけれど……凄いな……ルーカスのフェロモンだろうか、甘い匂いがして堪らない気持ちになるな」
シルフェ様が深い吐息を吐き出して口角を上げた。
「シルフェ様、あの……シルフェ様が欲しいです」
シルフェ様にそうお願いをすると、シルフェ様は俺を抱き上げそのまま庭から建物に入り自室に向かった。
☆☆☆
それから半年。
俺は海の見える高台に建つ屋敷の窓から外を見ていた。
「ルーカス、身体にさわるといけない」
「大丈夫ですよ」
心配性なのだと、俺はクスクス笑う。
シルフェ様は騎士団を退役し王都から離れた領地に越してきた。
先日俺の腹にはシルフェ様との子が宿っていると聞いた。
まだ自覚は無いのだけれど……。
「それよりも、明日……楽しみです」
「そうだな、明日の為に早めに眠らなくては」
シルフェ様の腕が腰に回されて引き寄せられる。
「でも、シルフェ様と一緒ならゆっくり眠れないかもしれません」
「そうだな」
互いに顔を見合せてからキスをする。
「月が綺麗ですね」
雲ひとつない夜空。
俺はそう呟いた。
ぼんやりと紅く輝く月が空に浮かんでいる。
明日は二度目の結婚式なのだ。
風の噂で王子とヒロインは婚姻を結んだらしいが、俺にはもう関係ない。
いつからだろう、自分がゲームの中のキャラクターだとは思わずストーリーとは違う動きをしたのは。
悪役令息と呼ばれた俺は攻略対象のシルフェ様に愛されて
めでたしめでたし。
完
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完結おめでとうございます😊
苦労性のルーカスが紆余曲折ありましたが、運命であり愛する人と番となることができて良かったです✨
今更ながらに婚約破棄してくれた元婚約者。
読み返すと断罪の内容について釈明を禁じ、家族を人質にとったやり方。そして謝罪する浮気相手に謝罪する必要なしと断じる様子に、つくづくあんな浮気肯定男と結婚しなくて良かったなと思いました。
王家も王家だしね。
元婚約者だったら、違うアルファに番にされたとなった時点で許さなかったと思う。そう思わせるような不誠実な奴でしたね。
シルフィ様も騎士団退団して王家から離れて大正解。穏やかな所で、家族3人で仲良く過ごしてほしいですね。
後日談として番外編希望です。超絶美形のルーカス兄とか、ルーカスとシルフィの子どもの事とか。超絶美形のアルファ最強騎士が生まれる予感。そんで元婚約者夫夫のオメガ息子が一目惚れ!!そして親父たちの所業のせいで振られるとかね(笑)
最後にとっても面白かったです✨
リコさま~•*¨*•.¸♬︎
ありがとうございます。
思ったよりルーカスには厳しめの展開かなと思っていましたが、読み返すとまだまだ甘かったかなぁと反省していたりいなかったり。
何とかハッピーエンドに漕ぎ着けましたが、リコさんのこうだったら良いのにをちょっとだけ盛り込ませていただきました。
シルフェが騎士団長辞めたのもルーカスと一緒にいたかったからで……。
ラブラブな2人をもっと書きたかったし、子供が産まれてからも書きたかったし。
兄様のラブも……兄様、アサドとくっつくがいい。(*´艸`*)
書くとしたら、書籍化が無ければ同人誌として出そうかと思っていたりします。
同人誌関連はXで呟きますので!
完結お疲れ様でした
終盤ハラハラしましたが、幸せ💞で良かったです
後日談とかあれば是非お願いします
はるるん様
おはようございます。
ありがとうございます。
何ヶ所かシルフェ視点を書きたいのと、イチャイチャを書き足そうかなと思っていますが、流れはこれで纏まったかなと。
時間があれば、お庭で加筆したものを個人誌として本にしようかと考えています。
読んでいただきありがとうございました!
リコさまー。
いつもありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
もうちょっとー。もうちょっとですよー。
ヒートながら、巣作りっぽくしたくて。
さてー2人とも頑張れ!です。