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94話
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「……っは、シルフェ様……」
服を脱がされ、色々な場所に痕を付けられあられも無い声を上げてシルフェ様と交わる直前、控えめに扉が叩かれた。
コンコンコンコンコン。
五回のノック。
緊急を知らせる合図だった。
「シルフェ様……?」
「何があった」
動きを止めたシルフェ様は、辛そうに息を吐くと声を掛けた。
「王宮から早馬が」
扉を開けずに聞こえてきたのはダーウェルの声。
「シルフェ様、行ってください……王宮からなら」
俺を触る手を止めたシルフェ様、チッと舌打ちをしたように聞こえたのは気の所為だろう。
「早く、行ってください」
交わるだけの段階なのは、互いに辛い。
「すまないルーカス……」
「いえ、お手伝い……できないですが……」
トロトロにされてしまった身体は立ち上がることができそうもない。
「構わない、すまないなルーカス……今日は何があっても連絡をするなと言っておいたのだが」
「それ以上の事が、起こったのかもしれません……お気を付けて」
チュッとシルフェ様の唇が頬に触れると同時にシルフェ様は寝台を降りて、入れと扉に声を掛けた。
申し訳なさそうに入ってくるダーウェルの腕には新しいシルフェ様の騎士服一式、その後ろからはフェイが盆を持って入ってくる。
「フェイ、ルーカスを頼む」
「畏まりました」
ダーウェルに、全身を軽く拭いてもらいシルフェ様は着替えを済ませる。
通常の騎士服を纏ったシルフェ様はやはり格好良い。
「行ってくるが、直ぐに戻れるかはわからない……悪い」
「大丈夫です、シルフェ様……キスをしてください」
神体が辛いのは我慢するから。
だから、キスをして欲しい。
「あぁ、行ってくる」
寝台に膝を突き、俺の乱れた髪を優しく撫でながらシルフェ様はゆっくりとキスをしてくれた。
甘く優しいキス。
唇が離れた瞬間、俺の唇からは甘い吐息が漏れる。
もう一度、シルフェ様の指先が頬をなぞり離れていく。
ふわりとシルフェ様の背中に翻ったマント。
部屋の外で侍従から渡された剣を帯剣するのを見てから、俺はフェイの手を借りて立ち上がる。
せめて窓からでもシルフェ様を見送りたいが、膝が笑って上手く立てない。
早くしなければ行ってしまうと焦ると、フェイが俺を抱き上げた。
窓辺にそのまま寄ってくれると、ちょうどシルフェ様が玄関から出ていく所で、シルフェ様は俺が見送って居ることなど知らない筈なのに、こちらを向いて窓を仰ぎ見た。
視線が交わったような気がして手を上げると、シルフェ様も手を上げてくれそのまま用意された愛馬に跨り颯爽と駆け出して行ったのだった。
服を脱がされ、色々な場所に痕を付けられあられも無い声を上げてシルフェ様と交わる直前、控えめに扉が叩かれた。
コンコンコンコンコン。
五回のノック。
緊急を知らせる合図だった。
「シルフェ様……?」
「何があった」
動きを止めたシルフェ様は、辛そうに息を吐くと声を掛けた。
「王宮から早馬が」
扉を開けずに聞こえてきたのはダーウェルの声。
「シルフェ様、行ってください……王宮からなら」
俺を触る手を止めたシルフェ様、チッと舌打ちをしたように聞こえたのは気の所為だろう。
「早く、行ってください」
交わるだけの段階なのは、互いに辛い。
「すまないルーカス……」
「いえ、お手伝い……できないですが……」
トロトロにされてしまった身体は立ち上がることができそうもない。
「構わない、すまないなルーカス……今日は何があっても連絡をするなと言っておいたのだが」
「それ以上の事が、起こったのかもしれません……お気を付けて」
チュッとシルフェ様の唇が頬に触れると同時にシルフェ様は寝台を降りて、入れと扉に声を掛けた。
申し訳なさそうに入ってくるダーウェルの腕には新しいシルフェ様の騎士服一式、その後ろからはフェイが盆を持って入ってくる。
「フェイ、ルーカスを頼む」
「畏まりました」
ダーウェルに、全身を軽く拭いてもらいシルフェ様は着替えを済ませる。
通常の騎士服を纏ったシルフェ様はやはり格好良い。
「行ってくるが、直ぐに戻れるかはわからない……悪い」
「大丈夫です、シルフェ様……キスをしてください」
神体が辛いのは我慢するから。
だから、キスをして欲しい。
「あぁ、行ってくる」
寝台に膝を突き、俺の乱れた髪を優しく撫でながらシルフェ様はゆっくりとキスをしてくれた。
甘く優しいキス。
唇が離れた瞬間、俺の唇からは甘い吐息が漏れる。
もう一度、シルフェ様の指先が頬をなぞり離れていく。
ふわりとシルフェ様の背中に翻ったマント。
部屋の外で侍従から渡された剣を帯剣するのを見てから、俺はフェイの手を借りて立ち上がる。
せめて窓からでもシルフェ様を見送りたいが、膝が笑って上手く立てない。
早くしなければ行ってしまうと焦ると、フェイが俺を抱き上げた。
窓辺にそのまま寄ってくれると、ちょうどシルフェ様が玄関から出ていく所で、シルフェ様は俺が見送って居ることなど知らない筈なのに、こちらを向いて窓を仰ぎ見た。
視線が交わったような気がして手を上げると、シルフェ様も手を上げてくれそのまま用意された愛馬に跨り颯爽と駆け出して行ったのだった。
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