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76話
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「大変申し訳ございません」
俺が馬車から降りるとアサド様が頭を下げる。
「いえ、アサド様のおかげでシルフェ様にお逢い出来るかもしれないので嬉しいです」
俺こそ頭を下げるとアサド様は慌てたようで。とんでもないと顔の前で手を振った。
「アサド様もご公務がありますでしょう?大丈夫ですからどうぞそちらへ」
俺のせいでアサド様に迷惑をかけるのはいけないからと、フェイを見上げる。
「アサド様、もし宜しければパウンドケーキをお持ちください。シルフェ様には要らないと思いますが、つい作り過ぎてしまいまして」
バスケットは無いからと使っていない白いガーゼをアサド様に手渡すと、宜しいのですかと受け取った。
「美味しそうです」
「私が作りましたので、味は大丈夫かと思うのですが」
「ルーカス様が?本当に何でもお出来になる。私は昼過ぎからの勤務ですから大丈夫です。このまま団長の執務室か応接間に参りましょう」
アサドはガーゼでパウンドケーキを大切そうに包んで手にすると、とりあえず向かいましょうとアサドが先導した。
「アサド様、シルフェ様の執務室までは距離がありますか?近い方で構いません」
「ここからなら応接間の方が近いですね。そちらにしましょう」
建物の中に入ると、壁や床などは綺麗に整えられており俺は少し驚いた。
キョロキョロしてしまうと、それをアサド様に気付かれてくすりと笑われる。
少し広めの廊下を進むと、アサド様が扉の前で立つとノブに手を掛けて引く。
すると静かに扉が開いた。
中は広く、赤い1人がけのソファーが楕円形のテーブルの周りに六脚設置されていた。
壁には華やかに見える大きな水彩画。
窓辺には大きめの花瓶に花が生けられている。
「こちらでお待ちください。すぐにお茶を」
「どうか、構わないでください。フェイもおりますし」
「では、申し訳ありませんが」
失礼しますとアサドは申し訳なさそうに出て行くのとほぼ同時に扉にノックがあった。
俺が馬車から降りるとアサド様が頭を下げる。
「いえ、アサド様のおかげでシルフェ様にお逢い出来るかもしれないので嬉しいです」
俺こそ頭を下げるとアサド様は慌てたようで。とんでもないと顔の前で手を振った。
「アサド様もご公務がありますでしょう?大丈夫ですからどうぞそちらへ」
俺のせいでアサド様に迷惑をかけるのはいけないからと、フェイを見上げる。
「アサド様、もし宜しければパウンドケーキをお持ちください。シルフェ様には要らないと思いますが、つい作り過ぎてしまいまして」
バスケットは無いからと使っていない白いガーゼをアサド様に手渡すと、宜しいのですかと受け取った。
「美味しそうです」
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アサドはガーゼでパウンドケーキを大切そうに包んで手にすると、とりあえず向かいましょうとアサドが先導した。
「アサド様、シルフェ様の執務室までは距離がありますか?近い方で構いません」
「ここからなら応接間の方が近いですね。そちらにしましょう」
建物の中に入ると、壁や床などは綺麗に整えられており俺は少し驚いた。
キョロキョロしてしまうと、それをアサド様に気付かれてくすりと笑われる。
少し広めの廊下を進むと、アサド様が扉の前で立つとノブに手を掛けて引く。
すると静かに扉が開いた。
中は広く、赤い1人がけのソファーが楕円形のテーブルの周りに六脚設置されていた。
壁には華やかに見える大きな水彩画。
窓辺には大きめの花瓶に花が生けられている。
「こちらでお待ちください。すぐにお茶を」
「どうか、構わないでください。フェイもおりますし」
「では、申し訳ありませんが」
失礼しますとアサドは申し訳なさそうに出て行くのとほぼ同時に扉にノックがあった。
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