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27話

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シルフェ様の唇が離れる瞬間指先を掠め、それに驚き手を引こうとした瞬間手首を掴まれて指先をぺろりと舐められた。
「し、シルフェ様!」
「ふむ、甘いですね」
笑みを崩さずそう言うシルフェ様は、自分の指もぺろりと舐めて見せる。
その仕草を見て、ぞくりと背筋を何かが掛け上がる。
少しずつフェロモンが漏れてきているのだろう。
「シルフェ様……あの、それ……」
俺は手にしていたカップをそっと置いて立ち上がると、椅子を引いてその場に膝をつく。
「どうされました?」
「先程から少しずつ誘発香が……」
「私の?」
不思議そうなシルフェ様の問い掛けに、俺はこくりと頷く。
「困ったな、先日の失敗を繰り返さないために薬を飲んできたのですが……」
そう言ったシルフェ様はカップのお茶を飲み干すと、座り込んだ俺の手をそっと取って立たせると腰に手を回して抱き寄せた。
シルフェ様の腿に跨がるように座った俺の纏めた髪をはらりと崩す。
シルフェ様が贈ってくれた髪留めは淡いピンクの硝子で作られた可愛らしいもの。
贈ってくれたもの全てがどこかにピンク色が使われている。
俺の花が、ピンク色をしているからかもしれないのだけれど。
今夜は全てシルフェ様が贈ってくれたものを身に付けている。
ただ、その中に下着は無かったため、服の下には何もつけていないのだけれど。
「でも、シルフェ様から甘い香りがしてくるので、すみません……シルフェ様に触られていないのに……もう」
シルフェ様に沢山触れられた身体は、時折シルフェ様の指を思い出して切なくなることがあるのだ。
お湯を貰っているとき等に、姉様がふざけて触ってくることもあり、そんなときには笑って逃げるのだが下腹部がきゅんとしてしまう。
「もう?そんなに可愛らしい事を言われたらルーカス嬢が欲しくなってしまうのですが、構いませんか?」
「はい、お願いいたします」
俺はシルフェ様の手を取り、そっと掌にキスをする。
唇同士を触れさせることは恋人同士がすることだとされ、花街ではすることがないのだ。
「シルフェ様、まだ俺は処女なのでお手間をお掛けしてしまうのですが」
「勿論です。ルーカス嬢を花開かせる栄誉をいただけるのですから、手間などありませんよ」
では、寝台に行きましょうかと、俺はそのまま抱き上げられた。
座ったまま俺を抱き上げると、寝台にそっと下ろしてくれる。
シルフェ様は屈強な訳ではないのに俺を座ったまま抱き上げられるのは鍛えているからだろう。
それは、服の上から触れただけでもわかった。
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