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43話

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「して、フェルディナンド、お前は王子でなくなればどうする?
毎日与えられている食事、綺麗に洗濯されたシャツ、暖かい寝床も無くなると言うこと。
それに、毎日働かなくてはならぬよ?その覚悟はあるのか?」

王妃がちらりと隣に立ったままのフェルディナンドを見上げた。

「フェルディナンド、覚悟はあるのですか?」

2度めの問い掛けにフェルディナンドが俯いていた顔を上げた。
マリアがそれを受け入れてくれるなら。
そう言い放ったフェルディナンド。
その発言にヒュアキントス男爵と令嬢は困惑顔だ。

「と、言っているが男爵、フェルディナンドを受け入れてくれるであろうな?このような騒ぎをおこしておるのだ…どうしてそうなったかはわからないが、フェルディナンドとマリア令嬢は恋仲だったのだろう?周りが見えなくなるような…それとも、そうなっていたのは愚息だけで、令嬢は違ったのか?」

陛下が追い討ちのように言う。

「…ぁ」

言葉が紡げないマリア。
どう答えても首か締まるのは間違いない。
王宮に入る事は可能だが、乙女だと証明できなければ斬首。
王子と一緒になるのならばお荷物が増える。
王子を拒否するのならば、ならば何故王子の恋人になったのか。
王子の恋人と言う肩書きが欲しかっただけなのか。

「王妃様、それも重要でありますがフェンリエッタ嬢の傷付いた名誉を回復させることもお願い致します」

ベルナルドがそう口にした。

「ベル…私は…」

慌てたのはフェンリエッタ。

「そうね、フェンリエッタちゃんの名誉を挽回して貰わなくっちゃ…どうしましょうか…最低でもフェンリエッタちゃんの婚約が破棄されと知っている方全員に理由とフェンリエッタちゃんへの謝罪を希望しますわ」

義母がはっきりと言い放った。
それだけは曲げられないらしい。

「だそうだが、フェルディナンド場を設けてフェンリエッタ嬢への謝罪と、今後の方針を明確にするように。
そうだな期間は30日もあればよかろう?貴族全員に通知を出して集まるように。特に同級の子がいる家は必ず来るように」

陛下が書記官にそれを投げる。

「併せて、ヒュアキントス令嬢がフェンリエッタ嬢に手を上げたことの謝罪もまだです」

ベルナルドが話を蒸し返す。
フェンリエッタはせっかく何事も無く次へ行ったのにと、ベルナルドを睨んだが、ベルナルドは飄々とした顔でしれっとしている。
話し合いはなかなか終わりそうにない。
フェンリエッタは何度目かの溜め息を吐いた。
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