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19話

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「ベルナルド様に魔力の制御を習うの、ですね?」
「フェンリエッタ、どうだろうか」
「ベルナルド様なら…」

フェンリエッタは、ベルナルドになら教えを乞うてもいいと思う。
普段の会話からも知能の高さが見て取れるベルナルド。
その教えなら楽しみだ。
ただ、ベルナルドに魔力かあるとは聞いたことがない。
学院にいる間も魔力は使っていなかったように感じたが…

「なら、最初は辛いが寝室で魔力の制御を学びながら身体を慣らして次第に動けるようになったら本格的に座学と実技をすることになるとの事だ。
フェンリエッタの体調を見ながら行ってくれるとのことだから、当邸に客人として迎えるよ?」
「はい、お父様…それと、私は王宮へは…」
「行かなくていい。何があろうとお前は私たちが守る」
「お父様」

優しく抱き締められたその腕にそっと身体を預ける。
本当に両親は優しすぎる。

「フェンリエッタちゃん!」

急にぎゅうっと反対側から抱き締められたその先にいたのは義母。

「お義母様…お帰りなさいませ?」
「倒れたって聞いて驚いたのよ!フェンリエッタちゃん、心配しないで?もしフェンリエッタちゃんに何かあれば、この家ごと破棄して外国に行って、商いをしてもいいわねぇあなた」
「そうだな、家門に執着は無いしこの屋敷を売り払って外国に行ってもいいだろう」
「そのときには私のお小遣いを投資しているお金を還して貰わなきゃ。
国家予算の4割程度ですもの、耳を揃えて還していただけるでしょ」

にこにこと恐ろしい事を言った義母をじっと見ると、綺麗な笑顔を返された。

「私だけ外国に…」
「そんなこと、許しません。
嫁ぐならわかりますが、一人では行かせませんよ?いいですね?」
「…は、はい」

この家の影の支配者は義母で、義母の決定は全てなのだ。

「ありがとうございますお義母様…」
「いいのよ、大切なフェンリエッタちゃんのためだもの…大切なお姉様の忘れ形見ですもの…フェンリエッタちゃんを悲しませる方は万死にあたいしますわ」

淑女にあるまじき言葉を使う義母は、ほほっと笑うと離れてくれた。

「フェンリエッタちゃん何か少し食べられそうかしら?食べられるなら何か少しでもお腹に入れなさい」
「はい」
「じゃあ、あなた…戻りましょうあまり長居をするとフェンリエッタちゃんに負担がかかるもの」
「フェンリエッタ、体調が悪くなったらすぐに誰かを呼びなさいいいね?」

父母の言葉に頷いたフェンリエッタはこのあと持ってきてもらった食事を口にしてから直ぐに眠りに落ちたのだった。
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