23 / 31
23話
しおりを挟む
ブルーベルが退出してから、直ぐにシルヴィアが怒鳴り込んできた。
怒鳴り込むは、ちょっと言い過ぎかも知れない。
淑女であるシルヴィアは静かに騎士団長室に入ってくると、粛々と静かな声音でベルゴッドを攻め立てた。
「お兄様、団長に部下としてではなく兄に妹として忠告させていただきますわ」
先日のやり取りを思い出すようで、美南の口許には小さな笑みが上る。
やはり仲が良い兄妹なのだなと。
そのやり取りを止めるように扉にノックがある。
ベルゴッドが入室を許可すると、入ってきたのは手に籠を持ったブルーベルだった。
「ベルありがとう、ミナミこれで良かったかしら、何がいいかわからなかったからベルに任せたけれど」
「えっ、ありがとうございます。拘りは特にありませんし……いつも飲んでいたのはティーパックの安いものでしたから」
ブルーベルが持ってきたのは缶に入った茶葉だった。
「ミナミ様、何がお好きかわかりませんでしたので」
「すみません」
「お兄様は、本当にその辺りは適当ですのよ」
シルヴィアはまだベルゴッドに噛み付いている。
美人の怒る姿はそれでも綺麗なのだと思う。
「シルヴィア、そのくらいにしなさい」
「でもベル……」
「ミナミが困っているから」
ちらりとブルーベルがこちらを向くと、シルヴィアもこちらを振り向いてからにこりと微笑む。
「ベルゴッド様にも淹れますから、シルヴィア様もブルーベル様も一緒に飲みませんか?」
美南はそう言うと、カップを用意し始めた。
「オレンジティーは大丈夫でしょうか」
美南は自分の好きな茶葉を選ぶとそう声を掛ける。
蓋を開いた瞬間の香りが好きな香りだったのだ。
お湯を沸かしてから、ティーセットだけはしっかりとあったためそれを使って紅茶をいれる。
本当は砂糖やミルクも添えたいけれど、それは今度買ってからにしようと思う。
「お待たせしました」
慣れた手つきで紅茶を応接セットに置く。
既に座っていた3人の前に出してから、ふと自分は何処に座ろうかと悩む。
確かに4人掛けの応接セットはベルゴッドの正面にシルヴィア、その隣にブルーベル。
空いているのはベルゴッドの隣なのだ。
でも、隣に座るほど親密ではないし、だからと言って執務机について飲むのもどうかと思うと、ベルゴッドがポンポンとソファーを叩いた。
座れと言うことらしい。
仕方ないし、シルヴィアがどうぞと促してくれたから、美南はそっとベルゴッドの隣に座ったのだった。
怒鳴り込むは、ちょっと言い過ぎかも知れない。
淑女であるシルヴィアは静かに騎士団長室に入ってくると、粛々と静かな声音でベルゴッドを攻め立てた。
「お兄様、団長に部下としてではなく兄に妹として忠告させていただきますわ」
先日のやり取りを思い出すようで、美南の口許には小さな笑みが上る。
やはり仲が良い兄妹なのだなと。
そのやり取りを止めるように扉にノックがある。
ベルゴッドが入室を許可すると、入ってきたのは手に籠を持ったブルーベルだった。
「ベルありがとう、ミナミこれで良かったかしら、何がいいかわからなかったからベルに任せたけれど」
「えっ、ありがとうございます。拘りは特にありませんし……いつも飲んでいたのはティーパックの安いものでしたから」
ブルーベルが持ってきたのは缶に入った茶葉だった。
「ミナミ様、何がお好きかわかりませんでしたので」
「すみません」
「お兄様は、本当にその辺りは適当ですのよ」
シルヴィアはまだベルゴッドに噛み付いている。
美人の怒る姿はそれでも綺麗なのだと思う。
「シルヴィア、そのくらいにしなさい」
「でもベル……」
「ミナミが困っているから」
ちらりとブルーベルがこちらを向くと、シルヴィアもこちらを振り向いてからにこりと微笑む。
「ベルゴッド様にも淹れますから、シルヴィア様もブルーベル様も一緒に飲みませんか?」
美南はそう言うと、カップを用意し始めた。
「オレンジティーは大丈夫でしょうか」
美南は自分の好きな茶葉を選ぶとそう声を掛ける。
蓋を開いた瞬間の香りが好きな香りだったのだ。
お湯を沸かしてから、ティーセットだけはしっかりとあったためそれを使って紅茶をいれる。
本当は砂糖やミルクも添えたいけれど、それは今度買ってからにしようと思う。
「お待たせしました」
慣れた手つきで紅茶を応接セットに置く。
既に座っていた3人の前に出してから、ふと自分は何処に座ろうかと悩む。
確かに4人掛けの応接セットはベルゴッドの正面にシルヴィア、その隣にブルーベル。
空いているのはベルゴッドの隣なのだ。
でも、隣に座るほど親密ではないし、だからと言って執務机について飲むのもどうかと思うと、ベルゴッドがポンポンとソファーを叩いた。
座れと言うことらしい。
仕方ないし、シルヴィアがどうぞと促してくれたから、美南はそっとベルゴッドの隣に座ったのだった。
43
お気に入りに追加
793
あなたにおすすめの小説
【R18】人気AV嬢だった私は乙ゲーのヒロインに転生したので、攻略キャラを全員美味しくいただくことにしました♪
奏音 美都
恋愛
「レイラちゃん、おつかれさまぁ。今日もよかったよ」
「おつかれさまでーす。シャワー浴びますね」
AV女優の私は、仕事を終えてシャワーを浴びてたんだけど、石鹸に滑って転んで頭を打って失神し……なぜか、乙女ゲームの世界に転生してた。
そこで、可愛くて美味しそうなDKたちに出会うんだけど、この乙ゲーって全対象年齢なのよね。
でも、誘惑に抗えるわけないでしょっ!
全員美味しくいただいちゃいまーす。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
獅子の最愛〜獣人団長の執着〜
水無月瑠璃
恋愛
獅子の獣人ライアンは領地の森で魔物に襲われそうになっている女を助ける。助けた女は気を失ってしまい、邸へと連れて帰ることに。
目を覚ました彼女…リリは人化した獣人の男を前にすると様子がおかしくなるも顔が獅子のライアンは平気なようで抱きついて来る。
女嫌いなライアンだが何故かリリには抱きつかれても平気。
素性を明かさないリリを保護することにしたライアン。
謎の多いリリと初めての感情に戸惑うライアン、2人の行く末は…
ヒーローはずっとライオンの姿で人化はしません。
異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました
平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。
騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。
そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる