【恋愛】目覚めたら何故か騎士団長の腕の中でした。まさかの異世界トリップのようです？

10話

「あの、できれば何か靴を……いただけませんか？」
「は？」

ふと、何かするにも靴が欲しいとお願いした瞬間、ベルゴッドは赤くなる。

「結婚して、くれるのか!？」
「どうして、そうなるんですか！」
「靴が欲しいのだろう？」

…何なのだろうこの人は。

「履くものが無ければこの部屋から出ることはできませんし、どうしろと？」

そう強く言うと、ベルゴッドはハッとして目を逸らした。

「靴が欲しいとねだるのは、女性側からの求婚だ…足を見せることは異性にはしないから、特別な相手だと…足を見せてもいい間柄なのだのいう…」
「それは、知らなかったのですが、靴がないと部屋から出られません。この部屋は床は滑らかで気持ちいいですが、他の場所がそうとも限りませんし、傷ついた足が破傷風にでもなったら命がありませんから」

私はそんなつもりは更々ないし、この世界のことなんてほぼ知らない。
それをこの男は知らない……？
あぁ、言っていないか。
言ってもいいのだろうか。
美南は悩む。言うことで何か危険になるだろうか。
捕らえられて極刑なんて、洒落にもならないのだ。

「破傷風？」
「あ、はい…目に見えない細菌で体内に入ると傷の回りが腫れたりして……確か、酷くなると命に関わりますから……確か土の中や水にも……いたような、いなかったような……」

聞かれると確かではない。

「足が腫れ上がって切り落としたくなどありませんから！」
「き、切り落とす？それはダメだな……よし、靴を何か見繕ってこよう。サイズを計って作っても構わないが、まずは気軽に履けるものが必要だからな？」

逃げるように立ち上がったベルゴッドは、いそいそと部屋を出ていった。
何で靴ひとつでこんなにも大騒ぎになるのだろう。
美南は苦笑しながらどんな靴が来るのかと思い描いていた。