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咆哮 シュクラ③

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『危ないっ!』

誰かの声が地上からして、一気に背中が軽くなった。

下を向いた瞬間、何故かママと目が合った。

えっ!!

驚きに空中で止まり、落下するママに向かって翼をはばたかせるが、それより早くママが地上に落ちた。

「何で、何でっ!」

パニックを起こしたように泣き叫ぶと、ルディアスの焦った声が聞こえた気がしたが何を言っているのかわからない。

追いかけるように地上に降りると、いつも紐を結んでくれる人達が慌てながら走っている。

「ママっ!ママっ!」

いつもより白い顔をしたママにそっと顔を寄せると、ママは口許だけ笑った。

大丈夫だよって。

でもその後、プツンと何かが切れたような気がした。

何が切れたのかはわからない。

でも、何か心の中で切れたような気がして…僕はママの側から離れられなかった。

不安だった。

ルディアスかそっと抱き寄せてくれたけれど、ママの側からは離れられない。

暫くして、知らない人間達がやって来てママを連れていこうとする。
喉の奥から漏れる唸り声に、ルディアスに首の後ろを噛まれた。

「任せるしかない」

いつもより低い硬いルディアスの声に自分の無力を呪った。
そもそも、ママを振り落としたのは自分なのだ。
うかれて飛び立とうとした。
まだ、命綱を着けていなかったのに…

後からルディアスに聞いた。
飛行に慣れるまでは飛竜と人を繋ぐ紐があると。
それを着ければ空中で人を振り落とさないのだと。

知らなかった。
知らなかったじゃいけなかったのに…

「ごめんなさい…ごめんなさいママ…」

何度も何度も謝って、何度も太陽か昇り、何度も太陽か沈んだけれど、ママの声は聞こえなかった。

それでも謝り続けて、漸くルディアスの契約者か現れた。
ママの意識が戻ったが、まだ眠っている時間が多いのだと。
ママに合ったときに心配させないように、ちゃんと眠ってジュースを飲むように言われた。
そう言えばあの日から何も口にしていない。
ルディアスにも心配されたが、自分よりママが大事だった。

ママの側に居たいと伝えたら、ママは今、大きな建物の最上階にいる。
来るなら屋上で静かにしてくれと言われた。

ママが笑って抱き締めてくれるなら、何でもするよ。

ママ…。
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