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第1章 転生
12話
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「鴇、お茶にしましょうか」
翠の手伝いを終えると、いつもそうやって誘ってくれる翠に俺は頷くと、お茶の準備をする。
二人分の湯のみと急須。
湯呑みはそれぞれ自分の気に入った物を使っている。
「あ、お茶少ないな…買いに行かなきゃ」
茶筒を開けるとお茶の葉が残り少ない。
明日にでも買いに行こうかと思いつつ、明日は市が立つ日だったかと思い出した。
暦を確認すると間違いないため、鶯が売る野菜があれは一緒に行こうと思いなから茶葉を移した。
「翠、明日は市の日だけど何か買い物がある?お茶の葉が少ないから買ってこようかなと。それとたぶん鶯が行くだろ?だから荷物持ち?」
急須を翠に渡すと1度沸いたお湯の温度を下げでゆっくりとお茶をいれる翠。
翠のお茶は美味いんだよなぁ。
「味噌が欲しいですかね…それと、あったら七味。
この時期だから出ているかはわかりませんが、もしあればお願いします」
「了解、翠たまには一緒に行くか?いつも留守番だろ?」
「僕は大丈夫です。苦手なんです人混みが」
「そっか、じゃあ何かお茶うけ買ってくる。後で鶯にも行くか確認しなきゃ」
湯呑みを受け取りお茶を飲むと、優しい味がした。
ほぅと息を吐き出すと、小さな皿に饅頭が乗せられて差し出される。
「鴇、余り物ですがどうぞ?」
ほこりと湯気が立ち上ぼるそれは、まさに蒸したて。
今日、茶家に卸すのだろう。
「わ、いいのか?じゃあいただきます」
翠はこうして何かあると食べさせてくれる。
俺は遠慮なくと饅頭を持ち、半分に割った。
「ほら、半分こ」
綺麗に割れたそれの片方を差し出しながら、片方はさっさと口に入れる。
熱々がやっぱり好きだ。
「ほら、冷めちゃうから食えよ!美味いのは確認済だ」
行儀が悪いがもごもごと喋りながら空いた手でお茶を飲む。
翠が受け取った饅頭を口に入れると、さも自分の手柄のように美味いだろ?と言ってやる。
まぁまぁですよと、言う翠の耳がほんのりと染まっているのに気づくと俺はふふっと笑った。
俺より年上なのに可愛い。
体格はそこまで変わらないけれど、料理をする姿とかが繊細だなと思わせる。
口許を拭った翠は、半歩距離を縮めてから少し俯いてから聞いてきた。
「鴇…あの、今日は僕の番なのですが、夜は部屋に来ていただきたいのですが?」
「え、あっ、あぁ…うん」
「満月のようですから、二人でゆっくりお月見をしませんか?」
「うん、わかった…たぶん部屋にいるから呼びに来てくれれば行くよ」
夜のお誘いに一瞬戸惑ったが、翠の誘いは甘美だった。
翠の風流なところは凄く好きだ。
四季を大切にするところ。
そっと重ねられた手は少しだけ冷たく感じた。
翠の手伝いを終えると、いつもそうやって誘ってくれる翠に俺は頷くと、お茶の準備をする。
二人分の湯のみと急須。
湯呑みはそれぞれ自分の気に入った物を使っている。
「あ、お茶少ないな…買いに行かなきゃ」
茶筒を開けるとお茶の葉が残り少ない。
明日にでも買いに行こうかと思いつつ、明日は市が立つ日だったかと思い出した。
暦を確認すると間違いないため、鶯が売る野菜があれは一緒に行こうと思いなから茶葉を移した。
「翠、明日は市の日だけど何か買い物がある?お茶の葉が少ないから買ってこようかなと。それとたぶん鶯が行くだろ?だから荷物持ち?」
急須を翠に渡すと1度沸いたお湯の温度を下げでゆっくりとお茶をいれる翠。
翠のお茶は美味いんだよなぁ。
「味噌が欲しいですかね…それと、あったら七味。
この時期だから出ているかはわかりませんが、もしあればお願いします」
「了解、翠たまには一緒に行くか?いつも留守番だろ?」
「僕は大丈夫です。苦手なんです人混みが」
「そっか、じゃあ何かお茶うけ買ってくる。後で鶯にも行くか確認しなきゃ」
湯呑みを受け取りお茶を飲むと、優しい味がした。
ほぅと息を吐き出すと、小さな皿に饅頭が乗せられて差し出される。
「鴇、余り物ですがどうぞ?」
ほこりと湯気が立ち上ぼるそれは、まさに蒸したて。
今日、茶家に卸すのだろう。
「わ、いいのか?じゃあいただきます」
翠はこうして何かあると食べさせてくれる。
俺は遠慮なくと饅頭を持ち、半分に割った。
「ほら、半分こ」
綺麗に割れたそれの片方を差し出しながら、片方はさっさと口に入れる。
熱々がやっぱり好きだ。
「ほら、冷めちゃうから食えよ!美味いのは確認済だ」
行儀が悪いがもごもごと喋りながら空いた手でお茶を飲む。
翠が受け取った饅頭を口に入れると、さも自分の手柄のように美味いだろ?と言ってやる。
まぁまぁですよと、言う翠の耳がほんのりと染まっているのに気づくと俺はふふっと笑った。
俺より年上なのに可愛い。
体格はそこまで変わらないけれど、料理をする姿とかが繊細だなと思わせる。
口許を拭った翠は、半歩距離を縮めてから少し俯いてから聞いてきた。
「鴇…あの、今日は僕の番なのですが、夜は部屋に来ていただきたいのですが?」
「え、あっ、あぁ…うん」
「満月のようですから、二人でゆっくりお月見をしませんか?」
「うん、わかった…たぶん部屋にいるから呼びに来てくれれば行くよ」
夜のお誘いに一瞬戸惑ったが、翠の誘いは甘美だった。
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四季を大切にするところ。
そっと重ねられた手は少しだけ冷たく感じた。
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