【完結】【ＢＬ】月下～乙女ゲームの世界に転生したが、何故か俺は攻略対象から求婚されています。

プロローグ

１話

あぁ、いい月夜だなぁ。
なんて自宅の部屋で夜空を見上げた。
ニュースではスーパームーンだなんて報道がされていた。確かにいつも見る月より大きく見える気がした。
普段、空なんて見上げないのに、何故か今夜だけはついつい窓まで開けて見てしまう。
隣の部屋からは妹がキャアキャア言う声が聞こえていた。
また、お気に入りの乙女ゲームをやっているのだろう。
両親がいない時はリビングの大画面でプレイしているが、夜は自分の部屋でやっている。
兄妹の仲は良い方だし、妹の趣味に口出しすることはない。
時折、妹がやっている乙女ゲームで攻略対象の推しカプが！なんて言っているけれど、確かにスチルは綺麗なんだよ。
何て言ったかな…あぁ、そうそう。月の光の下で。
通称『月下』だったかな？
攻略対象は年齢も容姿も幅広いイケメン揃い。
俺のイチオシは一番年上、金髪碧眼の屈強な男性。
ミステリアスな姿がいいんだ。
あまり話さないけれど、皆から頼られてる姿が格好良いんだよね。
一番苦手なのは赤髪のチャラい少年。
少年と言うよりは青年に近いのかな？女性大好きなフェミニスト。甘い言葉を囁いて口説くのが乙女達にうけているらしい。
妹が何度も何度もプレイしているのを見ているからか、物語の内容はだいたいわかっている。
ある日、異世界にトリップした少女が仲間である攻略対象を集めてその世界にいる悪霊や魔獣を倒しながら友情や愛情を深めて世界を救う。
やがて世界を救った少女は恋人になった攻略対象ともといた世界に戻るも、異世界に残るも様々なエンディングがある。

「寝るかぁ」

空に輝く月を見上げると何故だか無性に眠くなって、俺はベッドに入ると意識を失うように眠りに落ちた。