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しおりを挟むこれは私、笠原 千晶が妖精姫とかエルフ姫と呼ばれるくらいの美少女な、でもどことなく脳筋思考な友人である斎藤 桜子と年末に某ファストフード店でモーニングセットを食べながら彼女が幼い頃に不思議な体験をしたという話です。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
桜子が幼稚園に通っていた時、両親と一緒に新幹線とローカル線、バスを乗り継いで田舎に帰った。
青い空に浮かぶ入道雲
峰を連ねている山
青々と葉が生い茂っている田畑
藁葺きの家
バスから降りた三人を迎えたのは祖父だった。
両親にとっては懐かしい、桜子にとっては自分が住んでいる町とは異なる田舎の風景を楽しみながら祖父が運転する車に乗って家に向かっていた。
車で走る事約十分
祖父母が住む合掌造りの家に到着した三人は冷たいお茶を飲みながら夕食の時間までゆっくりと過ごす。
祖母が作った夕食を食べた後で父とお風呂に入った桜子は蚊帳で囲った布団で眠った。
次の日からの桜子は近所の子供達と朝から神社で虫を採ったり、かくれんぼをしたりして遊んでいた。
子供達の楽しそうな笑い声が聞こえるのは、田舎では見慣れた光景だった。
そんなある日
何時ものように神社の裏でかくれんぼをしていた桜子が消えてしまったのだ。
まるで神隠しにでも遭ったかのように───。
子供達から話を聞いた大人達は必死になって桜子を捜す。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その頃
『パパ・・・ママ・・・』
桜子の目の前に広がっているのは見慣れてしまった田園風景と峰を連ねている山、そして茅葺きの家。
だが、どことなく雰囲気が異なっているのを感じ取っているのか、桜子は泣いていた。
『パパ・・・ママ・・・』
(あっ!)
鍬で畑を耕している数人の男性の姿を見つけた桜子は助けて貰おうと駆け寄ろうとするのだが、その人達は時代劇なんかで見る格好だった。
もしかしたら自分は映画かドラマの撮影現場に迷い込んでしまったのだろうか?
それなのに機材を積んでいる車に監督やカメラマン、主役を含む出演者等が誰一人としていない。
やばい!
何だかよく分からないがとにかくやばい!
しゃがんだ桜子は畦道に身を隠すと、男に見つからないように匍匐前進で自分が歩いてきた道を辿る。
匍匐前進でどれくらいの距離を進んだだろうか?
空は、田畑は夕焼けの色に染まっていた。
早く家に帰らなければと思うのに、どうしても見覚えのある場所に着けないのだ。
(パパ、ママ、おじいちゃん、おばあちゃん・・・)
両親と祖父母を思い浮かべながら匍匐前進していた桜子が何かにぶつかった。
(あっ・・・)
見上げた桜子の瞳に映るのは時代劇に出てくる百姓の格好をしている男だった。
『何の関係もない娘っ子のお前さんには気の毒じゃが・・・オラにも娘が居るんだ!!』
自分の娘を助ける為、村を救う為、桜子を抱き上げた男は村長の屋敷へと向かうのだった。
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