上 下
1 / 4

1話

しおりを挟む










「ジェラルディン嬢、私と結婚して下さい」
(私の好みは背景バックに無意味なキラキラを背負っている白馬の王子様的なイケメンではなく、鋼のように鍛え抜かれた肉体と雄っぱいを持っている幾つもの戦場を潜り抜けてきた厳ついゴリマッチョなのに・・・)

 ホワイト公爵家の令嬢は、今日も懲りずに地位と財産目当てに自分を妻にしようと求婚してくる貴族子息や貴族当主に対して心の中でウンザリしていながらもそれを面に出す事なく溜め息を漏らす。

 令嬢の名前はジェラルディン。

 ホワイト公爵家の令嬢にして、吟遊詩人や画家が【月は恥じらい、花は閉じる】【月の女神のように凛としていながら楚々とした美姫】と称える程の美貌と教養を兼ね備えている完璧な美女でもある。

 そう。見た目だけは才色兼備という言葉が似合う女性なのだが、人並外れた身体能力(某超A級スナイパーを思い浮かべてくれたらイメージしやすいかと)とゴリラ並みの怪力を持つだけではなく中身は親父という実に残念な女性でもあるのだ。

 公爵家の姫として育ったジェラルディンは、人前では己の感情を巧みに隠す事が出来るので表面上は天使のような笑みを浮かべた彼女は彼等に対して穏やかな口調で断りの返事を入れる。

 (姉上・・・嫁に行ってくれないかな~?)

 ホワイト公爵家では日常の光景と化してしまった、ジェラルディンに振られてしまった求婚者達が背景バックに陰々鬱々なオーラを背負って去って行く様を自室から眺めている男が心の中で呟く。

 男の名前はアーノルド。

 ホワイト公爵の息子でジェラルディンの弟、そして次期当主という立場の青年である。

 身内であれば面と向かって言えると思うのだが、アーノルドはそれが出来なかった。

 何故なら──・・・。

 (いや、あのゴリラで親父な姉上を嫁にしようと思う強者なんていねぇわ!)

 愁いを帯びた美女と化しているジェラルディンを見て溜め息を漏らしたアーノルドは思いを馳せる。











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】地味と連呼された侯爵令嬢は、華麗に王太子をざまぁする。

佐倉穂波
恋愛
 夜会の最中、フレアは婚約者の王太子ダニエルに婚約破棄を言い渡された。さらに「地味」と連呼された上に、殺人未遂を犯したと断罪されてしまう。  しかし彼女は動じない。  何故なら彼女は── *どうしようもない愚かな男を書きたい欲求に駆られて書いたお話です。

謹んで婚約者候補を辞退いたします

四折 柊
恋愛
 公爵令嬢ブリジットは王太子ヴィンセントの婚約者候補の三人いるうちの一人だ。すでに他の二人はお試し期間を経て婚約者候補を辞退している。ヴィンセントは完璧主義で頭が古いタイプなので一緒になれば気苦労が多そうで将来を考えられないからだそうだ。ブリジットは彼と親しくなるための努力をしたが報われず婚約者候補を辞退した。ところがその後ヴィンセントが声をかけて来るようになって……。(えっ?今になって?)傲慢不遜な王太子と実は心の中では口の悪い公爵令嬢のくっつかないお話。全3話。暇つぶしに流し読んで頂ければ幸いです。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

親友に「花嫁を交換しよう」と言われまして

古森きり
恋愛
「リット、花嫁を交換しよう」 「は?」 コイツはなにを言ってるんだ? まさか式を同じ日にしたいと言い出したのは両国の繁栄と友好関係を諸国に知らしめるためではなくこのために? と、誰しもが思うであろう。 しかし俺の親友アグラストは大国の王太子であり、俺の婚約者ミリーと密かに思い合っていたことには気づいていた。 小国の我が国。政略結婚同士。なにより親友と婚約者は両思い。 二人が幸せになるのならと俺とフォリア嬢は花嫁交換を了承することにしたのだが、もしやフォリア嬢、めちゃくちゃ我が国と相性がいい? 『小説家になろう』で読み直しナッシング掲載しました。 『アルファポリス』『カクヨム』『ベリーズカフェ』にも掲載しています。

気弱な公爵夫人様、ある日発狂する〜使用人達から虐待された結果邸内を破壊しまくると、何故か公爵に甘やかされる〜

下菊みこと
恋愛
狂犬卿の妻もまた狂犬のようです。 シャルロットは狂犬卿と呼ばれるレオと結婚するが、そんな夫には相手にされていない。使用人たちからはそれが理由で舐められて虐待され、しかし自分一人では何もできないため逃げ出すことすら出来ないシャルロット。シャルロットはついに壊れて発狂する。 小説家になろう様でも投稿しています。

愛する人を護る為、男の娘な王子はゴリマッチョになりました。が・・・

白雪の雫
恋愛
ベルガモット王国のガブリエルは第二王子である。 可愛い顔立ちに華奢で小さな身体、声に言葉遣い、仕種に加えて常にドレスを着てお姫様のように振る舞うのだから、家族をはじめ臣下にとってガブリエルの事は悩みの種だった。 息子の将来を案じた父王は優秀で武芸にも秀でている男勝りなグリーンローズ公爵家の令嬢・ヒルデガルトを婚約者に据える事にした。 彼女と接する事で自分も男らしくなるだろうと父王は思っていたのだが・・・皮肉にもヒルデガルトという存在はガブリエルの女の子化を加速させていく。 ヒルデガルトに護られて平穏な日々を送っていたガブリエルであったが、ある日彼女が自分を助ける為に傷を負った事で彼は生まれ変わる。 ゴリマッチョとして──・・・。 果たしてガブリエルはヒルデガルトと結ばれるだろうか? この話は『男の娘って華奢で女性ものの服が似合うし、どこからどう見ても女の子だわ。BLでは右側が固定となっているからナニも小さく描かれているよな。第二次性徴が過ぎた男の娘がゴリマッチョになったら?』という考えから生まれた話です。 ご都合主義でバックグラウンドなど深く考えずに書いた、例によって例の如くゆるふわ設定です。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

距離を置きましょう? やったー喜んで! 物理的にですけど、良いですよね?

hazuki.mikado
恋愛
婚約者が私と距離を置きたいらしい。 待ってましたッ! 喜んで! なんなら物理的な距離でも良いですよ? 乗り気じゃない婚約をヒロインに押し付けて逃げる気満々の公爵令嬢は悪役令嬢でしかも転生者。  あれ? どうしてこうなった?  頑張って断罪劇から逃げたつもりだったけど、先に待ち構えていた隣りの家のお兄さんにあっさり捕まってでろでろに溺愛されちゃう中身アラサー女子のお話し。 ××× 取扱説明事項〜▲▲▲ 作者は誤字脱字変換ミスと投稿ミスを繰り返すという老眼鏡とハズキルーペが手放せない(老)人です(~ ̄³ ̄)~マジでミスをやらかしますが生暖かく見守って頂けると有り難いです(_ _)お気に入り登録や感想、動く栞、以前は無かった♡機能。そして有り難いことに動画の視聴。ついでに誤字脱字報告という皆様の愛(老人介護)がモチベアップの燃料です(人*´∀`)。*゜+ 皆様の愛を真摯に受け止めております(_ _)←多分。 9/18 HOT女性1位獲得シマシタ。応援ありがとうございますッヽ⁠(⁠*゚⁠ー゚⁠*⁠)⁠ノ

処理中です...