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3話
しおりを挟む「これが・・・砂金の種?」
私の掌にあったのは朝顔の種くらいの大きさの一粒の種。
物は試しに、この種を植えて通勤途中で立ち寄ったスーパーで買ったミネラルウォーターをかけてみたら・・・
「す、凄い・・・」
一分もしないうちに私の目の前には砂金と幾つかのナゲットが入ったカプセルが出現したの。
重さにして100gくらいかな?
売る砂金を入れる容器は布袋でいいと思った私は袋の種で布袋を出すと、カプセルに入っていた砂金をそれに移したの。
「あれ?このトートバッグ・・・〇次元ポケットになってる?」
砂金が入った袋を通勤に使っているトートバッグに入れようとファスナーを開けたその時、トートバッグが異空間?のようなものになっていたの。
これも異世界召喚に巻き込まれた結果?
それとも異世界召喚による付与って奴なのかな?
・・・・・・深く考える事を放棄した私はスマホを開いてミネラルウォーター、喫茶店で売っていそうな出来立てのサンドイッチとケーキ数種類、入浴セットや自分が愛用している化粧品一式、タオルの種を出して栽培した後、それ等をトートバッグに入れて歩き出したの。
現地人ならともかく、巻き込まれたとはいえ異世界の知識がない日本人の女が野宿というのは危険極まりないもの!
私は人里を目指して進んだわ。
・・・・・・・・・・・・よく考えなくても私ってこの世界について何も知らないのよね。
道に迷ってしまいどうしようかと悩んでいると、キャンプをしている人達の姿が映ったの。
長剣を背負っている重装備の男性に杖を手にしているフードを被っている女性、皮の胸当てを着けている槍使いの男性にラフな格好をしている女性だった。
彼等は盗賊?
それとも冒険者?
盗賊は無精ひげ&毛皮を纏っているというのがお約束だから冒険者と判断した私は彼等の元に近づいて行ったの。
見知らぬ人間である私に対して警戒していた彼等だけど、私の動き?雰囲気?が戦いの世界に置いていない人間のものだと判断したのかな?
蓬莱王国という国の過疎化が進んでいる辺鄙な村から商売に来たのはいいけど、道に迷ってしまい人里に行けないので途中まで同行させて欲しいと言ったら承諾してくれたの。
「蓬莱王国?そういえばファイナンス帝国の遥か東には蓬莱王国という金銀財宝に満ちた島国があるという伝説があって、その国の者達の瞳は赤や青や緑だが髪は黒か茶色だと聞いた事がある」
(本当にあったのかよ!?)
適当に言った国が本当にあったという事実に思わず心の中でツッコミを入れてしまったわ・・・
「蓬莱王国が金銀財宝に満ちていると言うのは嘘ですよ」
「やはりそうか・・・」
「黒髪と言えば異世界の聖女は黒髪黒目で私達にはない知識と全属性の魔法を使えると聞いた事があるけど・・・貴女は聖女ではないわね」
「貴女の髪はライトブラウンで青い瞳だもの」
ラフな格好をしている女性とフードを被っている女性の言葉が示すように、外国人である祖父の血が色濃く出てしまった私の容貌って実は日本人離れしているの。
子供の頃から外国人と何度間違えられた事か・・・
私の事を蓬莱王国の人間だと信じてくれたのか、ファイティング王国にあるアームズの町まで彼等と共に行動する事になったの。
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