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第31話
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夏休みが始まる直前まで学園の音楽室とスタジオでみっちりと練習した。
まぁ、学園では歌ってないけど。
「音楽室はスタジオと違って完全防音じゃないから、歌うのはナシだ。そのかわり、音をひたすら聴いて耳をならせ」
と、シュウゴに念押しされたからだ。
仕方ないので、家のカラオケルーム?でもらった音源流して歌ってる。
屋上でも、チームの曲は歌ってない。
〆◼️〆◼️〆◼️〆
「ねぇねぇ!!!大変だよ!」
夏休み1週間前、顔を青くして音楽室に駆け込んできたヒカルは叫んだ。
「どうしたんだ、ヒカル?」
「どうしたも、こうしたもないよ!たいへんなんだってば!」
「だから、何がだ?」
「夏休みの1ヶ月間、、、学園完全封鎖で音楽室使えない!」
「は?冗談だろっ!」
「ううん。冗談なんかじゃない!」
「おい、そうなったら練習時間スタジオの週2日だけになっちまうぞ。どうするんだ、シュウゴ?」
「なんでまた、、、」
「毎年、長期休みは学園の防犯システムのメンテナンスが入るから閉鎖になるってさっき事務員さんが言ってたの」
「今からスタジオに連絡をしても、他の学生で埋まっているでしょうね」
「うわっ、マジかよ」
4人は口々に文句や解決案を吐き出しては、否定を繰り返しはじめた。
『うわぁ、どうするの?イチ兄』
どうするか、、、。
週2日は厳しいな。
『コー監督に相談したら?』
あー、いやでもなぁ。
見返りがとても大きそうだからな。
『それしかなくない?他にどうにか出来そうな人いないと思うんだけど』
あー、んー、でも、、、あー。
『腹をくくれ!イチ兄』
あー、クソッタレ!!!
「ねぇ」
「なんだ?今お前の話を聞いてる暇はねぇんだよ。後にしろ」
「少し、時間ちょうだい」
「は?」
「なんとかしてみる」
〆◼️〆◼️〆◼️〆
「で、、、私の所に来たと」
「えぇ、まぁ」
「しかし驚いたな。君がダイフェスに出るって言うなんて」
いつものように、向かい合うようにして座ってお茶(今日はルイボスティー)を飲むコー監督はちょっと嬉しそうに話してくる。
「その様子では、今年は1年生に上手く連絡が回っていなかったのかな?」
「そうなんですか?」
「言っただろう、その様子では、ね」
「はぁ、そうですか」
コー監督はまた少しお茶を飲むと、AIパットを取り出してどこかに電話をかけ始めた。
「あー、もしもし。私だが、、、済まないね。聞きたい事があったんだが、《ヘルメス》の別荘の件でね。うん、それだ。あぁ、1ヶ月程貸したい人物がいてね。ん?ハハハ、君にはバレてしまうか。じゃあよろしく頼むよ。愛してるよ」
、、、愛してるって言ったな今。
『コー監督の奥さんだよ、たぶん』
結婚してんの、あの人?
『40周年を迎えているはず、、、』
ラブラブだな。
「もう少し待てるかい?」
「あっ、はい」
そう言ってまた違う人物に電話をかけ直した。
「もしもし。うん、かしこまる事はないよ。少し君にお願いしたい事があってね、、、いや、そんな難しい事じゃないさ。保護者として合宿の引率をして欲しいんだよ。奥さんと一緒に1ヶ月、《ヘルメス》で。誰かって?君がマネージャーをしていた子だよ」
ん?君がマネージャーをしていた?
って事はもしかして、、、。
「あぁ。よろしく。日程は後で送るよ」
電話を切ると、コー監督は再びお茶を口にして飲み干した。
「もしかして、今の相手ハルキさんですか?」
「もしかしなくてもだよ」
ニッコリとわかってコー監督がAIパットを操作した数秒後、ピロリン♪と音がして自分のAIパットを取り出した。
画面には【メール1件】と表示されていて送ったのだとわかった。
中身を確認すると、山の中に建てられた大きなウッドハウスの写真とマップがメールに貼り付けられていた。
「隣町《ヘルメス》の山に建てた別荘だよ。ここ数年、忙しくて妻と行けてなかったんだ。夏休みの1ヶ月間、君のチームに貸してあげるから合宿に使いなさい。保護者として奥村夫婦に来てもらうから、後でお礼をする事」
、、、金持ち、怖い。
「それと週1で1週間分の食料も届けてあげよう。差し入れとしてね」
、、、金持ち、怖い。
「全部、タダですか?」
「そう思うのかい?」
「いいえ」
そうだ、あのコー監督だ。
何を考えてるのか、全くもってわからないコー監督だ。
「タダより怖いものはない、ですからね。何がお望みですか?楓宮監督」
まっすぐと目を向けた。
やっぱりその表情から何も読めなかった。
「そうだね、、、。欲を言えば2つかな」
「2つ?」
「1つ目はダイフェスで優勝する事。確実に、圧倒的差で」
これは随分と、無茶振りだな。
「2つ目は、、、次の僕の作品を君を主役で作らせてもらう」
、、、主役!?
「脇役とかではなく?」
「あぁ、雪村ユウ完全復活の作品を」
本当にタダより怖いものはないよ、まったく。
まぁ、学園では歌ってないけど。
「音楽室はスタジオと違って完全防音じゃないから、歌うのはナシだ。そのかわり、音をひたすら聴いて耳をならせ」
と、シュウゴに念押しされたからだ。
仕方ないので、家のカラオケルーム?でもらった音源流して歌ってる。
屋上でも、チームの曲は歌ってない。
〆◼️〆◼️〆◼️〆
「ねぇねぇ!!!大変だよ!」
夏休み1週間前、顔を青くして音楽室に駆け込んできたヒカルは叫んだ。
「どうしたんだ、ヒカル?」
「どうしたも、こうしたもないよ!たいへんなんだってば!」
「だから、何がだ?」
「夏休みの1ヶ月間、、、学園完全封鎖で音楽室使えない!」
「は?冗談だろっ!」
「ううん。冗談なんかじゃない!」
「おい、そうなったら練習時間スタジオの週2日だけになっちまうぞ。どうするんだ、シュウゴ?」
「なんでまた、、、」
「毎年、長期休みは学園の防犯システムのメンテナンスが入るから閉鎖になるってさっき事務員さんが言ってたの」
「今からスタジオに連絡をしても、他の学生で埋まっているでしょうね」
「うわっ、マジかよ」
4人は口々に文句や解決案を吐き出しては、否定を繰り返しはじめた。
『うわぁ、どうするの?イチ兄』
どうするか、、、。
週2日は厳しいな。
『コー監督に相談したら?』
あー、いやでもなぁ。
見返りがとても大きそうだからな。
『それしかなくない?他にどうにか出来そうな人いないと思うんだけど』
あー、んー、でも、、、あー。
『腹をくくれ!イチ兄』
あー、クソッタレ!!!
「ねぇ」
「なんだ?今お前の話を聞いてる暇はねぇんだよ。後にしろ」
「少し、時間ちょうだい」
「は?」
「なんとかしてみる」
〆◼️〆◼️〆◼️〆
「で、、、私の所に来たと」
「えぇ、まぁ」
「しかし驚いたな。君がダイフェスに出るって言うなんて」
いつものように、向かい合うようにして座ってお茶(今日はルイボスティー)を飲むコー監督はちょっと嬉しそうに話してくる。
「その様子では、今年は1年生に上手く連絡が回っていなかったのかな?」
「そうなんですか?」
「言っただろう、その様子では、ね」
「はぁ、そうですか」
コー監督はまた少しお茶を飲むと、AIパットを取り出してどこかに電話をかけ始めた。
「あー、もしもし。私だが、、、済まないね。聞きたい事があったんだが、《ヘルメス》の別荘の件でね。うん、それだ。あぁ、1ヶ月程貸したい人物がいてね。ん?ハハハ、君にはバレてしまうか。じゃあよろしく頼むよ。愛してるよ」
、、、愛してるって言ったな今。
『コー監督の奥さんだよ、たぶん』
結婚してんの、あの人?
『40周年を迎えているはず、、、』
ラブラブだな。
「もう少し待てるかい?」
「あっ、はい」
そう言ってまた違う人物に電話をかけ直した。
「もしもし。うん、かしこまる事はないよ。少し君にお願いしたい事があってね、、、いや、そんな難しい事じゃないさ。保護者として合宿の引率をして欲しいんだよ。奥さんと一緒に1ヶ月、《ヘルメス》で。誰かって?君がマネージャーをしていた子だよ」
ん?君がマネージャーをしていた?
って事はもしかして、、、。
「あぁ。よろしく。日程は後で送るよ」
電話を切ると、コー監督は再びお茶を口にして飲み干した。
「もしかして、今の相手ハルキさんですか?」
「もしかしなくてもだよ」
ニッコリとわかってコー監督がAIパットを操作した数秒後、ピロリン♪と音がして自分のAIパットを取り出した。
画面には【メール1件】と表示されていて送ったのだとわかった。
中身を確認すると、山の中に建てられた大きなウッドハウスの写真とマップがメールに貼り付けられていた。
「隣町《ヘルメス》の山に建てた別荘だよ。ここ数年、忙しくて妻と行けてなかったんだ。夏休みの1ヶ月間、君のチームに貸してあげるから合宿に使いなさい。保護者として奥村夫婦に来てもらうから、後でお礼をする事」
、、、金持ち、怖い。
「それと週1で1週間分の食料も届けてあげよう。差し入れとしてね」
、、、金持ち、怖い。
「全部、タダですか?」
「そう思うのかい?」
「いいえ」
そうだ、あのコー監督だ。
何を考えてるのか、全くもってわからないコー監督だ。
「タダより怖いものはない、ですからね。何がお望みですか?楓宮監督」
まっすぐと目を向けた。
やっぱりその表情から何も読めなかった。
「そうだね、、、。欲を言えば2つかな」
「2つ?」
「1つ目はダイフェスで優勝する事。確実に、圧倒的差で」
これは随分と、無茶振りだな。
「2つ目は、、、次の僕の作品を君を主役で作らせてもらう」
、、、主役!?
「脇役とかではなく?」
「あぁ、雪村ユウ完全復活の作品を」
本当にタダより怖いものはないよ、まったく。
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