上 下
41 / 61

第30話

しおりを挟む
「ハァハァ、、、アーッ!」

『Game of sin』

『Black or White 』

『The Crazy Owl 』

計3曲、歌い終わって思わず発狂してしまった。

ヤバイヤバイヤバイ、ヤバイ!
こいつら、ヤバイ!
1回聴いただけで、凄く興奮した。
歌って、もっと興奮した。

『なんで無名なの、、、』

ユキもそう思うか?
こんなに技術があれば、どこかでライブして有名になっててもおかしくないよな。

『ボーカルがいなかったから?なのかな?』

追々、そこは聞いてこう。

「ふぃー。いいな、この感じ。興奮が止まんねぇよ」

「凄いですね、お姫さん。1回でここまで歌えるとなると練習を積み重ねたらどうなることやら」

「そーだね♡うんうん、サイコーのチームになること間違いなし!」

「ハハッ、これならダイフェスでぶっ放せるな」

、、、ダイフェスって本当になんだ?
みんなの言葉によく出てくるけど。
何かのライブイベントなのか?

「、、、ねぇ」

「ん?どうしたの姫ちゃん?」

「ダイフェスって、何?」






〆◼️〆◼️〆◼️〆






そう聞くとみんなこっちを見て驚いたような顔をした。
知らないものは仕方なくないか?

「えーと、確認だけど。マジで知らない感じなのかな?」

「そうだけど」

「知ろうとも思わなかった?」

「興味、なかったから」

「そっか、、、なんて説明したらいいのかわかんないから、カズヤにバトンターッチ!」

「えぇ!ハァ、仕方ありませんね」

カズヤはAIパットを少し操作して、画面を見せてきた。
光り輝くステージの写真をバックに

【ダイアモンドフェスティバル出場者受付中】

と白文字で書かれていた。

「ダイアモンドフェスティバル、通称ダイフェスは学園主催のイベントの1つです。参加出来るのは1年生のみ。ダイアモンド科への絶対的なチケットが手に入るチャンスなんです」

ダイアモンド科、、、。
それくらいは知っている。
学園は1年生のみが学科に分かれずに総合的に勉学を行なっている。
そして2年生から、自分の希望する学科へと移るシステムになっている。
でも、誰もが第1希望に入れるわけではなくて、芸能系授業の成績や先生との入念な面談、各学科の人数制限などの確認などをしてから、自分の才能を伸ばせる、もしくは開花させる学科へと最終的に入る事になる。
(と、コー監督が言っていた)

学科は全部で5つ。

演劇の才能者が集う、ガーネット科。

ファッションの才能者が集う、トパーズ科。

文学の才能者が集う、エメラルド科。

撮影の才能者が集う、サファイア科。

そして、理事長に認められた才能者だけが入る事の許される、ダイアモンド科。
唯一、ジャンルに囚われない学科。

他の4つの学科よりも厳しい授業の数々のがあるらしいが、毎年倍率5倍を超える程の人気のある学科だと聞いている。

「このイベントは毎年9月に行われます。今は7月、残りたったの2カ月しかありません。もうエントリーは済んでいます。なので、お姫さん。あなたの出場も決定していますよ」

「エッ?」

よくよくAIパットを見てみると

【エントリー完了済み

〈チーム名〉

The Crazy Owl 

〈出場メンバー〉

1A02       内田 ヒカル
1A05       神無月 シュウゴ
1A18       雪村 ユウ
1C08       水条 カズヤ
1D11       鳥海 ヒビキ                    】

とご丁寧にフルネームでエントリーされていた。

「嘘でしょ、、、」

「嘘ではありませんよ。まぁ、エントリーしたのはリーダーのシュウゴなので文句はそちらの方に言ってくださいね」

シュウゴを見ると知らん顔して目線を逸らしてきた。
なんて事をしてくれたんだ。

「ダイフェスは全国で放送されるんだよ。んで、一応全国からの投票で順位が決まるんだ。でもね、、、」

ヒカルはそこで口ごもり、苦い顔をして言葉を続けた。

「たとえ、1位になっても最高審査員の理事長の心に響かなきゃ、ダイアモンド科へのチケットは手に入れる事が出来ないんだ」

心に、響く、、、か。
あの人らしいな。

「理事長は世界から認められている、凄い人物です。そして何より、見る眼・・・がある。よく共演されていたお姫さんならよく知っているはずではないでしょうか?」

そうだ、知っている。
あの人の眼は、、、怖いと思うくらいになんでも見通す。
心の奥底まで、じっくりと。

「うん、よく知っている」

「理事長はどういった方なのですか?」

「普通だよ、普通。おしゃべり好きでほのぼのとお茶する、普通のおじいちゃん」

「そうですか、、、」

少しがっかりした顔でカズヤはAIパットを僕から受け取った。
コー監督に、ダイフェスに出るって言ったらどんな反応するのかな?

「まぁよ、時間も限られてるしとっとと練習するのが良いんじゃねぇの?」

「おや、ヒビキにしては良いことを言いますね」

「なんだお坊ちゃん。喧嘩売ってんのか?」

「いいえ、売っていませんよ。そのお坊ちゃんと呼ぶの意加減に辞めて頂けませんか?」

「良いだろ、お坊ちゃん」

「ハイハイハイハイ!終了!練習するよ」

なんか、面白くなってきたな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転生令嬢、出奔する

猫野美羽
ファンタジー
※書籍化しました(2巻発売中です) アリア・エランダル辺境伯令嬢(十才)は家族に疎まれ、使用人以下の暮らしに追いやられていた。 高熱を出して粗末な部屋で寝込んでいた時、唐突に思い出す。 自分が異世界に転生した、元日本人OLであったことを。 魂の管理人から授かったスキルを使い、思い入れも全くない、むしろ憎しみしか覚えない実家を出奔することを固く心に誓った。 この最強の『無限収納EX』スキルを使って、元々は私のものだった財産を根こそぎ奪ってやる! 外見だけは可憐な少女は逞しく異世界をサバイバルする。

死ぬために向かった隣国で一途な王弟に溺愛されています

まえばる蒔乃
恋愛
「死んでこい。お前はもう用済みだ」  男子しか魔術師になれないハイゼン王国に生まれたアスリアは、実家の別邸に閉じ込められ、規格外の魔力を父の出世の為に消費され続けていた。18歳になったとき、最後に与えられた使命は自爆攻撃だった。  結局アスリアは自爆に失敗し、そのまま隣国で解呪のため氷漬けにさせられる。  長い眠りから目を覚ましたアスリアの前に現れたのは、美しい金髪の王弟殿下レイナードだった。 「新たな人生をあなたに捧げます。結婚してください、僕の憧れの人」  彼はアスリアに何か恩があるらしく、敵国テロリストだったアスリアを大切に扱う。  アスリアはまだ知らない。氷漬けで10年の時が経ち、故郷はもう滅びていること。  ――そして彼がかつてアスリアが保護していた、人攫いに遭った少年だということに。 <生きる意味を見失った令嬢×年齢逆転の王弟殿下×囲い込み愛>

冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!

ユウ
ファンタジー
トリアノン公爵令嬢のエリーゼは秀でた才能もなく凡庸な令嬢だった。 反対に次女のマリアンヌは社交界の華で、弟のハイネは公爵家の跡継ぎとして期待されていた。 嫁ぎ先も決まらず公爵家のお荷物と言われていた最中ようやく第一王子との婚約がまとまり、その後に妹のマリアンヌの婚約が決まるも、相手はスチュアート伯爵家からだった。 華麗なる一族とまで呼ばれる一族であるが相手は伯爵家。 マリアンヌは格下に嫁ぐなんて論外だと我儘を言い、エリーゼが身代わりに嫁ぐことになった。 しかしその数か月後、妹から婚約者を寝取り略奪した最低な姉という噂が流れだしてしまい、社交界では爪はじきに合うも。 伯爵家はエリーゼを溺愛していた。 その一方でこれまで姉を踏み台にしていたマリアンヌは何をしても上手く行かず義妹とも折り合いが悪く苛立ちを抱えていた。 なのに、伯爵家で大事にされている姉を見て激怒する。 「お姉様は不幸がお似合いよ…何で幸せそうにしているのよ!」 本性を露わにして姉の幸福を妬むのだが――。

森に捨てられた俺、転生特典【重力】で世界最強~森を出て自由に世界を旅しよう! 貴族とか王族とか絡んでくるけど暴力、脅しで解決です!~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 事故で死んで異世界に転生した。 十年後に親によって俺、テオは奴隷商に売られた。  三年後、奴隷商で売れ残った俺は廃棄処分と称されて魔物がひしめく『魔の森』に捨てられてしまう。  強力な魔物が日夜縄張り争いをする中、俺も生き抜くために神様から貰った転生特典の【重力】を使って魔物を倒してレベルを上げる日々。  そして五年後、ラスボスらしき美女、エイシアスを仲間にして、レベルがカンスト俺たちは森を出ることに。  色々と不幸に遇った主人公が、自由気ままに世界を旅して貴族とか王族とか絡んでくるが暴力と脅しで解決してしまう! 「自由ってのは、力で手に入れるものだろ? だから俺は遠慮しない」  運命に裏切られた少年が、暴力と脅迫で世界をねじ伏せる! 不遇から始まる、最強無双の異世界冒険譚! ◇9/25 HOTランキング(男性向け)1位 ◇9/25 ファンタジー5位

天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの
ファンタジー
記憶を失った少女は森に倒れていたところをを拾われ、特殊部隊の隊長ブレイクの娘になった。 スペックは高いけどポンコツ気味の幼女と、娘を溺愛するチートパパの話。 ※誤字報告、感想などありがとうございます! 書籍はレジーナブックス様より2021年12月1日に発売されました! 電子書籍も出ました。 文庫版が2024年7月5日に発売されました!

我儘女に転生したよ

B.Branch
ファンタジー
転生したら、貴族の第二夫人で息子ありでした。 性格は我儘で癇癪持ちのヒステリック女。 夫との関係は冷え切り、みんなに敬遠される存在です。 でも、息子は超可愛いです。 魔法も使えるみたいなので、息子と一緒に楽しく暮らします。

ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません

詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編の予定&完結まで書いてから投稿予定でしたがコ⚪︎ナで書ききれませんでした。 苦手なのですが出来るだけ端折って(?)早々に決着というか完結の予定です。 ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいですm(_ _)m *・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・* 顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。 周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。 見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。 脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。 「マリーローズ?」 そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。 目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。 だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。 日本で私は社畜だった。 暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。 あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。 「ふざけんな___!!!」 と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。

マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 〜強面、筋骨隆々、とても強い。 でもとっても優しい男が異世界でのんびり暮らすお話〜

かむら
ファンタジー
 身長190センチ、筋骨隆々、彫りの深い強面という見た目をした男、舘野秀治(たてのしゅうじ)は、ある日、目を覚ますと、見知らぬ土地に降り立っていた。  そこは魔物や魔法が存在している異世界で、元の世界に帰る方法も分からず、行く当ても無い秀治は、偶然出会った者達に勧められ、ある冒険者ギルドで働くことになった。  これはそんな秀治と仲間達による、のんびりほのぼのとした異世界生活のお話。

処理中です...