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石造りの町ラピス
28話【拒絶する心】
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翼竜を倒したその日、俺はぐったりしていた。
魔力を使ったせいだ。もともと少ないから戦闘では武器に付与する程度が限界だし、そもそも頻繁には使えない。
いつもはこうならないよう量を調整してるが……あのときは気持ちが昂っていたからか、必要以上に使いすぎた。
戻ってきたアレインに話を聞くと、灰色の雪を降らせていたのは小さな鼠達だと言う。
この鼠は戦闘力はかなり低い方で、他の魔物に守ってもらうようにして生きている。代わりにそいつらの能力を、異常なまでに強化させているわけだ。
個では小さい魔法陣も、数が集まれば巨大化する。
さすがに何に対しても強化できるわけではなく、今回のように魔物同士の属性が一致している必要がある。
加えて、翼竜はもとから強い部類だ。
今回のような件は、俺もアレインも初めてだった。
あいつは騎士団が担当した過去の事例を読み漁っていたおかげで、ピンときたそうだ。
毒雨というのが昔あったらしいが、人の住む場所に被害がなかったことから、混乱を避けるため公にされなかった。
そのときも、巨大な魔法陣の上に鼠がびっしりいたという。
□□□
――あれから、2週間が経った。
治療や復興のため、王都から応援が駆けつけた。
教会の周辺にテントが張られ、軽傷者を含みほとんどはここで寝泊まりしている。
リツは……前のように動けなくなっていた。
石化の後遺症。
司祭の術で解除したばかりのときなんか、治ってないんじゃないかと思うくらいにびくとも動かなかった。
まだ自力で上半身を起こすのも難しい。手足も動かそうとすると震えている。
誰かから聞いたのか、カルロとジーンもここへ来た。
心配する2人にリツは平気だと笑っていたが、誰がどう見たって無理をしていた。
教会は宿舎も兼ねていて、リツはここで過ごしている。
彼女に割り当てられた部屋の前で足を止め、一息ついてからノックする。
「リツ、入るぞ」
扉を開けると、ベッドに横たわったまま、虚ろな目をしたリツが視界に映った。
けど俺の方を向くと、薄っすらと笑みを浮かべる。それはあまりにも弱々しくて、笑っているようにはとても見えない。
……何で、そんなに誤魔化すんだ。平気じゃないくせに。
でもそれを言葉にはできなかった。そのまま言っていいのか、何て言えばいいのかわからない。結局それに関しては黙ったまま、部屋へ入った。
「何か飲むなら、もらってくるが」
「まだ、いいです。それより、何度も言ってますけど……私のことはもういいので、村に戻ってください。そうでなければ、ほかの人や町の方を――」
「ここにいないときは、手伝いに行ってる」
なぜかリツは、いつも俺を追い出そうとする。カルロとジーンに対しても同じだ。
誰にも頼ろうとしない。無理するなって前に言ったのに……あれじゃ、だめなのか。
「……また後で来る」
わからない。どうしてひとりで何でもやろうとするんだ……俺が、甘えてばかりいたからか。
だから、こういうときに頼ってもらえないのか。
部屋の扉を閉める際に見たリツの顔は、無表情だった。
□□□
炊事は苦手だし、治療は応急処置ぐらいしかできない。
その治療も最初こそ手伝っていたが、もうそれを必要としている人はいなかった。あとは専門家に任せるしかない。
俺にできることといったら、教会や町周辺の警備、崩れた門や家屋の建て直し……まあそれも、何か運ぶぐらいだ。
やりたいこともなく、新しいことをやろうとは特に思わず過ごしてきたが、戦闘以外のことも学んでおくべきだったと今になって感じる。
もう少し、何かできていれば……リツにだって、何かしてやれたかもしれないのに。頼ってくれたかもしれないのに。
そんなことばかりずっと、考えている。
なんでか……上手く、いかない。つかれてるだけかな……。
夕暮れ――ラピスの町から教会へ続く道を巡視していると、町の方からカルロが歩いてくるのが見えた。
今日の復興作業が終わったんだろう。店はいいのかと以前聞いたら、2週間ぐらいは閉めても大丈夫だと言っていた。
「ドゥラヤか。お疲れさん」
「……お疲れ。村には戻らなくていいのか?」
カルロは頭を掻きながら悩んでいる素振りを見せる。
「まぁ、そうだな。あんまり閉めてっと、生活できなくなっちまう。けどこの惨状をほうっておくのもなぁ……」
「もう十分手伝っただろ。あとは自分の生活優先にしろ」
「……そうだな。また来れそうなタイミングで来るか」
納得した様子のカルロが、軽く笑う。
すると今度は、俺の方をまじまじと見だした。
「にしても、大分変わったな」
「何が?」
「雰囲気というか何というか……ま、よかったんじゃねぇか」
「何が言いたいんだよ……」
カルロが言いたいことは、何となくわかる。
俺の中で他人に対するトゲのようなものが、ほとんどなくなっていた。別にもうそんなの撒かなくてもいいか、と思えるようになっていた。
他人に興味があんまり湧かないのも変わらないし、自分自身が大きく変わった感じもしないのに不思議だ。
ただリツに、返したいという想いだけがある。
……もっと性格的にも何もかもが変わらないと、このトゲは消えないと思っていた。そうじゃ、ないんだな。
「んじゃ、明後日に発つわ。おめぇも無理すんなよ」
「……ああ」
頷くと、カルロはそのまま教会の方へ歩を進めていく。
父さんに紹介されて初めて会ったときから、あいつはずっと変わらない。妙に軽い態度のやつだ。
深く関わってこないのに、なぜか冷たさを感じない。
最初の頃はあいつのことがよくわからなかったけど――いつからか、それに安心していた。
ジーンは子供の頃から俺を、よく可愛がってくれていた。ただあの頃はあの人の影響もあって、女の人が怖かった。
それでも態度の変わらないジーンがいたから、怖くなくなったんだと思う。
……本当は、知ってた。父さんが亡くなってからは特に、2人に助けてもらっていたこと。
でも受け入れたら、またいなくなってしまったとき、耐えられる気がしなかった。そんなことになるくらいなら、受け入れなければいい。
だから、リツとも深く関わる気はなかった。
なのにあの手のあたたかさを知って、すがってしまった。
本当はずっと……さみしくて、仕方なかった。
あんなに避けていたのに、なぜか今は受け入れるのが怖いとは思わない。なんでか、また胸があたたかく感じる。
□□□
流動食をもらい、リツのいる部屋を再び訪れると、彼女はぼうっと天井を見つめていた。
――やっぱり、ひとりでどうにかするなんて無理だ。
「リツ、何も食べてないって聞いた。もらってきたから」
声をかけると、彼女はいつものように柔らかい笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。でも、私のことはもういいと――」
「よくない……だろ。このままじゃ死ぬぞ」
彼女もそこは理解しているのか、はっきり言うとそれ以上は何も言わなかった。
リツの背中に手をまわし、ゆっくりと上半身を起き上がらせる。
持ってきたボウルを手にとってから椅子に腰掛け、スプーンにすくったそれを何度か吹いて冷ましてから彼女の口元へ運ぶ。
この間、リツも俺も何も話さない。ただ作業のように黙々と繰り返しているだけだ。
「……もう、いいです」
半分ほど減ったタイミングで、リツが首をわずかに振った。
彼女の身体を支えながら、再び横に寝かせる。
「また明日、来るから」
「結構です」
冷たく言い放たれた言葉に、動揺がひどく走った。
「リツ! 何で!」
思わず、声を荒げてしまった。
……何やってんだ、俺。リツは具合が悪いのに。
窓の方へ視線を逸らした彼女は、淡々と話す。
「動けなくなった人のめんどうを見るって……思う以上に、大変なんですよ」
「そんなの別に――」
「大丈夫です。自分のめんどうは自分で見れます。これまでも、そうしてきましたから」
「でも」
繰り返しいらないと言う彼女に食い下がっていると、次第にリツの表情が苦悶に満ちていく。
「見なくていいって、言ってるじゃないですか!」
リツにここまで拒絶されるのも、怒鳴られるのも……初めてだ。
いつかの、あの人の、すがたと――かさ、なる。
「……すみません。でもほんとうに、何もしなくていいですから」
リツはもう、俺の方を見てくれなくなった。
どうしていつも……うまく、いかないんだ。
魔力を使ったせいだ。もともと少ないから戦闘では武器に付与する程度が限界だし、そもそも頻繁には使えない。
いつもはこうならないよう量を調整してるが……あのときは気持ちが昂っていたからか、必要以上に使いすぎた。
戻ってきたアレインに話を聞くと、灰色の雪を降らせていたのは小さな鼠達だと言う。
この鼠は戦闘力はかなり低い方で、他の魔物に守ってもらうようにして生きている。代わりにそいつらの能力を、異常なまでに強化させているわけだ。
個では小さい魔法陣も、数が集まれば巨大化する。
さすがに何に対しても強化できるわけではなく、今回のように魔物同士の属性が一致している必要がある。
加えて、翼竜はもとから強い部類だ。
今回のような件は、俺もアレインも初めてだった。
あいつは騎士団が担当した過去の事例を読み漁っていたおかげで、ピンときたそうだ。
毒雨というのが昔あったらしいが、人の住む場所に被害がなかったことから、混乱を避けるため公にされなかった。
そのときも、巨大な魔法陣の上に鼠がびっしりいたという。
□□□
――あれから、2週間が経った。
治療や復興のため、王都から応援が駆けつけた。
教会の周辺にテントが張られ、軽傷者を含みほとんどはここで寝泊まりしている。
リツは……前のように動けなくなっていた。
石化の後遺症。
司祭の術で解除したばかりのときなんか、治ってないんじゃないかと思うくらいにびくとも動かなかった。
まだ自力で上半身を起こすのも難しい。手足も動かそうとすると震えている。
誰かから聞いたのか、カルロとジーンもここへ来た。
心配する2人にリツは平気だと笑っていたが、誰がどう見たって無理をしていた。
教会は宿舎も兼ねていて、リツはここで過ごしている。
彼女に割り当てられた部屋の前で足を止め、一息ついてからノックする。
「リツ、入るぞ」
扉を開けると、ベッドに横たわったまま、虚ろな目をしたリツが視界に映った。
けど俺の方を向くと、薄っすらと笑みを浮かべる。それはあまりにも弱々しくて、笑っているようにはとても見えない。
……何で、そんなに誤魔化すんだ。平気じゃないくせに。
でもそれを言葉にはできなかった。そのまま言っていいのか、何て言えばいいのかわからない。結局それに関しては黙ったまま、部屋へ入った。
「何か飲むなら、もらってくるが」
「まだ、いいです。それより、何度も言ってますけど……私のことはもういいので、村に戻ってください。そうでなければ、ほかの人や町の方を――」
「ここにいないときは、手伝いに行ってる」
なぜかリツは、いつも俺を追い出そうとする。カルロとジーンに対しても同じだ。
誰にも頼ろうとしない。無理するなって前に言ったのに……あれじゃ、だめなのか。
「……また後で来る」
わからない。どうしてひとりで何でもやろうとするんだ……俺が、甘えてばかりいたからか。
だから、こういうときに頼ってもらえないのか。
部屋の扉を閉める際に見たリツの顔は、無表情だった。
□□□
炊事は苦手だし、治療は応急処置ぐらいしかできない。
その治療も最初こそ手伝っていたが、もうそれを必要としている人はいなかった。あとは専門家に任せるしかない。
俺にできることといったら、教会や町周辺の警備、崩れた門や家屋の建て直し……まあそれも、何か運ぶぐらいだ。
やりたいこともなく、新しいことをやろうとは特に思わず過ごしてきたが、戦闘以外のことも学んでおくべきだったと今になって感じる。
もう少し、何かできていれば……リツにだって、何かしてやれたかもしれないのに。頼ってくれたかもしれないのに。
そんなことばかりずっと、考えている。
なんでか……上手く、いかない。つかれてるだけかな……。
夕暮れ――ラピスの町から教会へ続く道を巡視していると、町の方からカルロが歩いてくるのが見えた。
今日の復興作業が終わったんだろう。店はいいのかと以前聞いたら、2週間ぐらいは閉めても大丈夫だと言っていた。
「ドゥラヤか。お疲れさん」
「……お疲れ。村には戻らなくていいのか?」
カルロは頭を掻きながら悩んでいる素振りを見せる。
「まぁ、そうだな。あんまり閉めてっと、生活できなくなっちまう。けどこの惨状をほうっておくのもなぁ……」
「もう十分手伝っただろ。あとは自分の生活優先にしろ」
「……そうだな。また来れそうなタイミングで来るか」
納得した様子のカルロが、軽く笑う。
すると今度は、俺の方をまじまじと見だした。
「にしても、大分変わったな」
「何が?」
「雰囲気というか何というか……ま、よかったんじゃねぇか」
「何が言いたいんだよ……」
カルロが言いたいことは、何となくわかる。
俺の中で他人に対するトゲのようなものが、ほとんどなくなっていた。別にもうそんなの撒かなくてもいいか、と思えるようになっていた。
他人に興味があんまり湧かないのも変わらないし、自分自身が大きく変わった感じもしないのに不思議だ。
ただリツに、返したいという想いだけがある。
……もっと性格的にも何もかもが変わらないと、このトゲは消えないと思っていた。そうじゃ、ないんだな。
「んじゃ、明後日に発つわ。おめぇも無理すんなよ」
「……ああ」
頷くと、カルロはそのまま教会の方へ歩を進めていく。
父さんに紹介されて初めて会ったときから、あいつはずっと変わらない。妙に軽い態度のやつだ。
深く関わってこないのに、なぜか冷たさを感じない。
最初の頃はあいつのことがよくわからなかったけど――いつからか、それに安心していた。
ジーンは子供の頃から俺を、よく可愛がってくれていた。ただあの頃はあの人の影響もあって、女の人が怖かった。
それでも態度の変わらないジーンがいたから、怖くなくなったんだと思う。
……本当は、知ってた。父さんが亡くなってからは特に、2人に助けてもらっていたこと。
でも受け入れたら、またいなくなってしまったとき、耐えられる気がしなかった。そんなことになるくらいなら、受け入れなければいい。
だから、リツとも深く関わる気はなかった。
なのにあの手のあたたかさを知って、すがってしまった。
本当はずっと……さみしくて、仕方なかった。
あんなに避けていたのに、なぜか今は受け入れるのが怖いとは思わない。なんでか、また胸があたたかく感じる。
□□□
流動食をもらい、リツのいる部屋を再び訪れると、彼女はぼうっと天井を見つめていた。
――やっぱり、ひとりでどうにかするなんて無理だ。
「リツ、何も食べてないって聞いた。もらってきたから」
声をかけると、彼女はいつものように柔らかい笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。でも、私のことはもういいと――」
「よくない……だろ。このままじゃ死ぬぞ」
彼女もそこは理解しているのか、はっきり言うとそれ以上は何も言わなかった。
リツの背中に手をまわし、ゆっくりと上半身を起き上がらせる。
持ってきたボウルを手にとってから椅子に腰掛け、スプーンにすくったそれを何度か吹いて冷ましてから彼女の口元へ運ぶ。
この間、リツも俺も何も話さない。ただ作業のように黙々と繰り返しているだけだ。
「……もう、いいです」
半分ほど減ったタイミングで、リツが首をわずかに振った。
彼女の身体を支えながら、再び横に寝かせる。
「また明日、来るから」
「結構です」
冷たく言い放たれた言葉に、動揺がひどく走った。
「リツ! 何で!」
思わず、声を荒げてしまった。
……何やってんだ、俺。リツは具合が悪いのに。
窓の方へ視線を逸らした彼女は、淡々と話す。
「動けなくなった人のめんどうを見るって……思う以上に、大変なんですよ」
「そんなの別に――」
「大丈夫です。自分のめんどうは自分で見れます。これまでも、そうしてきましたから」
「でも」
繰り返しいらないと言う彼女に食い下がっていると、次第にリツの表情が苦悶に満ちていく。
「見なくていいって、言ってるじゃないですか!」
リツにここまで拒絶されるのも、怒鳴られるのも……初めてだ。
いつかの、あの人の、すがたと――かさ、なる。
「……すみません。でもほんとうに、何もしなくていいですから」
リツはもう、俺の方を見てくれなくなった。
どうしていつも……うまく、いかないんだ。
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