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episode S . ツグジの場合 / 性奴隷猫を飼う
Tsuguji 011 . Deuil pour deuil
しおりを挟むきょうは、曇天、日曜である。
元ツグジ、現在 no.1016
は、
開かれた アールヌーボー様式の彫刻が施されたダークグリーンの門の直ぐ側に設置されている
白いキャンバス生地のテントの中にいた。
職員が黙々とno.1016の細い腰に銀鎖を捲いて、股間を前垂掛で隠したが、尻はまるっきりの裸で剥き出しである。
煙突のような長靴を履き Master の金文字を光らせる調教師が、なにかを口走っているが、no.1016の耳には余り届かなかった。
調教師が来いと云うから、跟に随いて外に出る。
no.1016は、飄々としていて鈍感だからと、一番前に立たされる。
他の者は着けていない髪飾りをされたのも、人の目に着く手術であろう。
日光が差さぬ為、モスグリーンの芝の庭では、
旦那さま方は、何ひとつ、これという目的は無いのでございますが、けれども、みなさん、その日常が侘びしいから、何やら、ひそかな期待を抱懐していらして、そうして、肉便器の行進を見ずにはいられない。
no.1016たちが整列すると、
旦那さま方の目は、言合わせたように、きょときょとと悪夢に辿る、この赤色の絨毯を行く行列に集まった。
no.1016は、この道を他の性奴隷たちのように悲観に暮れて歩いたことは一度もない。
僕は狂った勢力が描いた絵にたまたま飛び込んだ愚か者に過ぎない。要するに、死んだふりをして、死んだものだと思って歩けば良いのだ。
なるべく、呼吸をせずに。
ピーーーィッ
職員がホイッスルを吹き鳴らし、おりんの音がリズムを刻み、
肉便器の行進が、始まった。
沿道に集まった旦那さま方、
もっともらしく眉を上げて吃っとなっている方もおれば、あるいは全くの不良青少年のように、ひゅうひゅう下手な口笛をこころみ方もいる。
其々自分の立場の安寧に股間をおっ立てる。
no.1016は、歩く歩く。
後ろから見れば、足の間の睾丸やアヌスがチロチロ覗かれるのだろう。
だけど、
行進して、たくさんのぺニスを舐めてザーメンを飲んで、時々アヌスご奉仕して、素直に肉便器として逐使われれば。
三日後に施設に帰れば、またユキと遊べる。ユキと寝られる。
僕は、いま、仕合せなんだからね。すべてが、うまくいっている。
あの子猫を飼ったばかりに此様な風になってしまった。
ずんどうの心の中に、干からびたコスモスが投げ込まれる。
ユキ、薔薇色の雪。
ツグジの目から。
熟ら視られて、擯斥されて、
あと数歩で館の扉に辿り着く、沛然と夕立ち。
どうりで、むしむし暑かった。
:
;
「おや、降ってきたね」
窓辺に立つ、
ブロンドボブの調教師の黒縁眼鏡に、茫として霧に沈む庭が写り。
懐にし舞い込んだ、ミアウ、ミアウ、と鳴く子猫のユキに話しかけた。
「可愛らしいツグジは三日後に還ってきますよ。そうしたら、私とあなたで、慰めてあげましょうね」
Deuil pour deuil
喪には喪を
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