【館】 House of Sex Slaves

館 yakata

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episode L. フェリシアンの場合 / 顔の無い性奴隷

Félicien 008. bags

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熱さが肩に食い込むほどの日差し降り注ぐ午後。

三十四歳になったフェリシアンは、
蒸し暑いテントの中にいた。
今日は、初めて肉便器として、館に入る。

つい数時間前に、名前を没収され元フェリシアンは 今、no.2247という数字でしかない。
no.2247は、熱気が溢れるテントの中で職員から日焼け止めのパウダーをはたいて貰っている。
周囲の肉便器たちは皆、憂鬱を通り越して絶望的な顔つき
で汗をかいていたが、
no.2247はひとり 晴れ晴れとした表情が、希望で満ち溢れていた。

no.2247は、心底性奴隷は自分の天職だと思っていた。
性奴隷施設や館で、性処理用の玩具として扱われるたびに、自分のことが好きになれた。

館で性奴隷として奉仕しながら、肉便器たちが様々なシチュエーションでザーメン処理の道具として扱われる光景を何度も見てきた。no.2247も、舌でアヌスを解してもらったり、ザーメンを飲んでもらったり肉便器たちには大部世話になったものだ。
今日は1日、自分がしてもらったそれを自分がやる番になる。

no.2247は、この、二度と後戻りができなくなる日が来るのを、ずっと心待ちにしていたのだ。

今日の、肉便器行進の出で立ちはブラトップハーネスとビキニパンツ。真夏だというのに、エナメルロングブーツに脹ら脛を苛められている。暑さに喘ぐ肉便器を、素足にサンダル履きの旦那さまが眺め 優越感を覚えるのだろう。
テーブルに並べられている、チェーン付きのニップルクリップも気になる。

肉便器たちがテントの出口付近で整列させられた。
館の前庭の旦那さま方の昂る声が聞こえる。
あぁ…、これから乳首に少し痛いクリップを着けられ外に出されるのか、と思っていたら、
職員たちは、珈琲袋を小さくしたような麻袋を、肉便器ひとりひとりの頭にすっぽり被せていった。
只でさえ長身のno.2247はエナメルロングブーツによって、バスケットボール選手のような超高身長になってしまった為、大部屈む必要があった。
よく鞣されたリネンが汗ばんだ皮膚を癒してくれる。
小さな二つの目だし穴のお陰で、視界は良好だ。

覆面の肉便器9名がテントの外に整列させられた。
Masterの刻印入りのバンドを腕に嵌めた調教師が、ひとりひとりの乳首にニップルクリップを噛ませながら、小声で励ます。
二つの乳首を繋ぐシルバーチェーンとエナメルロングブーツが、強烈な日差しを攻撃的に跳ね返していた。


覆面の肉便器が道に並び、
見物の旦那さま方が、どよめく。
覆面という、いつもと違うシチュエーションは賛否両論のようだ。
no.2247は、真ん中に配置されたが、他の肉便器たちよりも頭ひとつ大きく非の打ち所のない肉体は、一際目立つ。

職員が、吹くホイッスルが消魂しく響き渡り、
肉便器の行進が始まる。
おりんの音色に合わせて、歩を進める性欲処理道具たちの尻や、ビキニパンツの膨らみや、クリップに噛まれた乳首に好奇の視線が集まる。
館の扉までは、80m。
扉の中に入れば、ザーメン漬けの日々が始まる。


この行進の催しに、当初は、肉便器たちに麻袋を被せる予定などなかった。
しかし、前庭のオーディエンスの中に 旦那さまZ がいらっしゃるのを、AI顔認識システムがキャッチしたために、急遽 袋が用意された。


旦那さまZ (フェリシアンを性奴隷刑に陥れた陪審員)が
、性奴隷フェリシアンの顔を見られることは、
この先も、ずっとずっと
永遠に叶わなかった。


慌ただしい雰囲気の館のエントランスにて。
no.2247は、麻袋を外し、乱れたプラチナブロンドヘアを手櫛で整え 汗ばんだ顔を上げた。
三十代半ばに差し掛かっても、彼の美しさは増すばかり。
no.2247は、
空気さえも震わせる美貌で前を向き、
微笑んだ。


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