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唯一の救いを
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ものすごい腐敗臭を出しながら、こちらにゆっくりと歩いてくるゾンビ。
血の様な液体もダラダラと大量の血を流しながらもゆっくりとやってくる。
確実に致命傷級の威力を受けているのにゆっくりとゆっくりと・・・・
もうその動きを見ているだけで可哀想とそう感じる程だ。
「う・・・・うぅ、近寄れない」
この強烈すぎるほどの腐敗臭でマリちゃんは近寄ることすら出来そうに無かった。
「出来ればこれ以上傷を与えたくは無いのですが、仕方ありませんね
ノクさん、私が銃で牽制するので、その間に接近して彼の首を断ってください、それで終わるはずです」
そう言って、アンヌさんは銃を構え、何発も銃を放った。
洞窟中にアンヌさんの銃声が何度も響き、ゾンビがその銃声の度に何度も怯んでいる。
俺はその間に一気に接近し、凄い腐敗臭で呼吸が少しだけ止まってしまったが
それでも怯む余裕など無く、ただひたすらにゾンビに接近した。
「ヴァー!」
接近してきた俺に反応したゾンビは俺の方にゆっくりと手を伸ばしてきた。
しかし、後方から何発も飛んできている弾丸により、何度も何度も怯み
結局俺に触れる事は出来なかった。
「これで!」
俺はゾンビに最接近し、大して鋭くも無い一撃で、ゾンビの首をはねることに成功した。
その時、ゾンビの首から大量の蛆が姿を出し、地面に落下した。
そんな状況を見て、正直俺は気を失いそうになったが、意識を保ち2人がいる方に退いた。
「これで・・・・もう動けないでしょう」
「断ち切った首から、大量の蛆が出て来たのですけど・・・・」
「酷い状態ですよね・・・・ですが、これで彼も救われるはずです」
俺はピクピクと痙攣しているゾンビの方を見て、本当に救われたのかと
そう疑問に思ったが、あんな状態で動き続けるよりは、もう死んだ方がマシだろう。
きっとそれが彼の唯一の救いだと、そう祈る事しか出来なかった。
「結局、私は何も出来なかった・・・・こんなんじゃ、私は・・・・もう、1人は」
「マリちゃん、そんなに落ち込まないでくれよ、誰だって苦手な物はある
今回の相手はそう言う相手だったって事だって」
「それでも、何も出来なかったのは悔しい」
「では、今度戦う時の事を考えて、鼻栓でも携帯していけば良いんじゃ無いですかね?
苦手な事が分かったなら対策くらい考えて見た方が良いと思いますよ? ぼやく暇があればね
それに冒険家は常に情報不足。なので対策は自力で考えるべきですよ」
アンヌさんの言葉は結構トゲがあるがちゃんと相手の事を考えての発言が多い。
それにちゃんと相手に対する優しさも見える。
「・・・・分かった、今度からは鼻栓を持っておく」
マリちゃんはアンヌさんのアドバイスに少しだけ表情を柔らかくして答えた。
「それじゃあ、速くこのゾンビを焼いてあげましょう、これ以上蛆が湧くのは可哀想でしょうからね」
「そうですね」
アンヌさんは懐から小さな道具を取りだし、その死体に火を付けた。
死体は普通ではあり得ないほどの火力で焼け始めた。
「凄い焼けてますね」
「腐敗が酷く、燃えやすかったのかも知れませんね」
「・・・・うぅ」
ゾンビが燃えている間、マリちゃんはその状況が怖いのか、ずっと俺の後ろに隠れている。
「やっぱりこんな状況を見るのは怖いか?」
「・・・・それもあるけど、強すぎる火を見るのは怖くて」
やっぱり半獣は火も苦手みたいだな、半分が狐だし、苦手な物も同じなのかな。
「半獣はその獣と苦手な物も同じ、当然得意な物も同じです
更に、高い筋力もあり、万能ではありますが拘束されると無力になるのですよ」
「へ? どういうことですか?」
「半獣は両手を縄等で拘束されると抵抗が困難なのですよ
そう言う状況では人と同じ様に弱くなるみたいですね」
常に強いわけじゃ無いのか、流石の半獣でも弱点という物はあるのか。
いや、もしかしたら強いからこそ弱点が多いのかも知れない。
大体強い種族って弱点が多いイメージがあるし。
「ですので、1人では冒険家は厳しいというのもあるのかも知れませんね
弱点が多いので、仲間がいなければ上手く立ち回れない可能性もありますしね」
そうか、そう言う理由なら納得なんだけど、部屋が同じってのはなぁ。
「さて、そろそろですね」
俺達が話をしていると、燃えていたゾンビ完全に焼けたようだった。
せめて安らかに眠ってくれ。
「それじゃあ、進みましょう、警戒は怠らず、この奥に彼を殺した何かがいる可能性があります」
「任せて、今度こそ私が活躍をしてみせる」
「期待してますよ」
俺達は完全に焼けて無くなったゾンビを後に洞窟の奥に進んでいった。
「・・・・やっぱり暗いですね」
「洞窟の奥ですからね、暗いのは当然でしょう」
ゆっくりと暗闇へ進んで行くと、奥の方から大きな足音が響いて来た。
「・・・・番人でもいるのでしょうかね、警戒して進みましょう」
「はい」
番人か…確か洞窟内に巣くう強力な魔物の総称だったっけ。
だとすると、かなり深くて危険度が高い洞窟だったって事か。
俺達はゆっくりと奥に進んでいき、その大きな足音の正体を見た。
そこには魔物のくせに手が馬鹿でかいチェーンソーになっている。
「・・・・これは、一撃でも貰えば即死でしょうね」
「接近戦は不利ですね」
「でも、やるしか無いならやるだけ!」
俺達は全員武器を構え、その番人を倒す為に一斉に走り出した。
血の様な液体もダラダラと大量の血を流しながらもゆっくりとやってくる。
確実に致命傷級の威力を受けているのにゆっくりとゆっくりと・・・・
もうその動きを見ているだけで可哀想とそう感じる程だ。
「う・・・・うぅ、近寄れない」
この強烈すぎるほどの腐敗臭でマリちゃんは近寄ることすら出来そうに無かった。
「出来ればこれ以上傷を与えたくは無いのですが、仕方ありませんね
ノクさん、私が銃で牽制するので、その間に接近して彼の首を断ってください、それで終わるはずです」
そう言って、アンヌさんは銃を構え、何発も銃を放った。
洞窟中にアンヌさんの銃声が何度も響き、ゾンビがその銃声の度に何度も怯んでいる。
俺はその間に一気に接近し、凄い腐敗臭で呼吸が少しだけ止まってしまったが
それでも怯む余裕など無く、ただひたすらにゾンビに接近した。
「ヴァー!」
接近してきた俺に反応したゾンビは俺の方にゆっくりと手を伸ばしてきた。
しかし、後方から何発も飛んできている弾丸により、何度も何度も怯み
結局俺に触れる事は出来なかった。
「これで!」
俺はゾンビに最接近し、大して鋭くも無い一撃で、ゾンビの首をはねることに成功した。
その時、ゾンビの首から大量の蛆が姿を出し、地面に落下した。
そんな状況を見て、正直俺は気を失いそうになったが、意識を保ち2人がいる方に退いた。
「これで・・・・もう動けないでしょう」
「断ち切った首から、大量の蛆が出て来たのですけど・・・・」
「酷い状態ですよね・・・・ですが、これで彼も救われるはずです」
俺はピクピクと痙攣しているゾンビの方を見て、本当に救われたのかと
そう疑問に思ったが、あんな状態で動き続けるよりは、もう死んだ方がマシだろう。
きっとそれが彼の唯一の救いだと、そう祈る事しか出来なかった。
「結局、私は何も出来なかった・・・・こんなんじゃ、私は・・・・もう、1人は」
「マリちゃん、そんなに落ち込まないでくれよ、誰だって苦手な物はある
今回の相手はそう言う相手だったって事だって」
「それでも、何も出来なかったのは悔しい」
「では、今度戦う時の事を考えて、鼻栓でも携帯していけば良いんじゃ無いですかね?
苦手な事が分かったなら対策くらい考えて見た方が良いと思いますよ? ぼやく暇があればね
それに冒険家は常に情報不足。なので対策は自力で考えるべきですよ」
アンヌさんの言葉は結構トゲがあるがちゃんと相手の事を考えての発言が多い。
それにちゃんと相手に対する優しさも見える。
「・・・・分かった、今度からは鼻栓を持っておく」
マリちゃんはアンヌさんのアドバイスに少しだけ表情を柔らかくして答えた。
「それじゃあ、速くこのゾンビを焼いてあげましょう、これ以上蛆が湧くのは可哀想でしょうからね」
「そうですね」
アンヌさんは懐から小さな道具を取りだし、その死体に火を付けた。
死体は普通ではあり得ないほどの火力で焼け始めた。
「凄い焼けてますね」
「腐敗が酷く、燃えやすかったのかも知れませんね」
「・・・・うぅ」
ゾンビが燃えている間、マリちゃんはその状況が怖いのか、ずっと俺の後ろに隠れている。
「やっぱりこんな状況を見るのは怖いか?」
「・・・・それもあるけど、強すぎる火を見るのは怖くて」
やっぱり半獣は火も苦手みたいだな、半分が狐だし、苦手な物も同じなのかな。
「半獣はその獣と苦手な物も同じ、当然得意な物も同じです
更に、高い筋力もあり、万能ではありますが拘束されると無力になるのですよ」
「へ? どういうことですか?」
「半獣は両手を縄等で拘束されると抵抗が困難なのですよ
そう言う状況では人と同じ様に弱くなるみたいですね」
常に強いわけじゃ無いのか、流石の半獣でも弱点という物はあるのか。
いや、もしかしたら強いからこそ弱点が多いのかも知れない。
大体強い種族って弱点が多いイメージがあるし。
「ですので、1人では冒険家は厳しいというのもあるのかも知れませんね
弱点が多いので、仲間がいなければ上手く立ち回れない可能性もありますしね」
そうか、そう言う理由なら納得なんだけど、部屋が同じってのはなぁ。
「さて、そろそろですね」
俺達が話をしていると、燃えていたゾンビ完全に焼けたようだった。
せめて安らかに眠ってくれ。
「それじゃあ、進みましょう、警戒は怠らず、この奥に彼を殺した何かがいる可能性があります」
「任せて、今度こそ私が活躍をしてみせる」
「期待してますよ」
俺達は完全に焼けて無くなったゾンビを後に洞窟の奥に進んでいった。
「・・・・やっぱり暗いですね」
「洞窟の奥ですからね、暗いのは当然でしょう」
ゆっくりと暗闇へ進んで行くと、奥の方から大きな足音が響いて来た。
「・・・・番人でもいるのでしょうかね、警戒して進みましょう」
「はい」
番人か…確か洞窟内に巣くう強力な魔物の総称だったっけ。
だとすると、かなり深くて危険度が高い洞窟だったって事か。
俺達はゆっくりと奥に進んでいき、その大きな足音の正体を見た。
そこには魔物のくせに手が馬鹿でかいチェーンソーになっている。
「・・・・これは、一撃でも貰えば即死でしょうね」
「接近戦は不利ですね」
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