蛇の花嫁

猫丸

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第一話 受精2※

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(やばい、なんなんだこいつは…)

 先程とは別の意味の恐怖を感じた。まさかキスだけ、喉だけでイッてしまうとは。そして、こんな状況下だというのに、この男とセックスをしてみたくなって、我ながら呆れた。

 (いくら俺が飢えてるって言っても、相手は頭のおかしい誘拐犯だぞ?いくらなんでもそんなこと…)

 若い頃はそれほど遊ぶ相手には困らなかったが、年齢を重ねるごとにそれが難しくなってきていた。
 加えて、それなりに年齢を重ね、会社勤めも長くなってくると、不用意な場所で知り合いに会うのが怖くなって、一夜の相手を探すことも控える様になった。

「龍乃丞、そんな顔で見つめられたら、俺だって我慢できなくなるぞ?」

 男は嬉しそうにつぶやいた。
 どうやら、無意識のうちに物欲しそうな瞳で男を見つめていたらしい。

「いくら処女ではないといっても、俺のは初めてではキツイからな。今日はお前を満足させるだけで我慢しようと思ったが…龍乃丞、入れてもいいのか?」

 思わず「うん」とうなずいてしまう。浴衣の下の男も股間は変わらず静かなままだったが、どんな粗チンでも、あの舌使いなら間違いなく満足できるだろう。
 龍乃丞の手足を拘束していた手を緩め、ミズカミは浴衣を脱ぎ、贅肉のない引き締まった身体をさらけ出した。きれいな顔に似合わず、左脇腹には大きな傷跡があるのが見えた。すでに皮膚はくっついている様子だが、跡が痛々しく残っている。そして下半身には立派な…。

 「え?ちんこがない?」

 喉イキでとろけていた頭が急に冷静になる。
 ミズカミの下半身には、男にはついているものがついていなかった。ミズカミの態度から、どんなご立派なイチモツが現れるかと期待していたのに。
 
(女?カントボーイってやつ?これは…俺が突っ込む側なのか?)

 満足させられるかどうか戸惑う俺にミズカミはすこし怒って言い返した。
  
「失礼な。俺はお前ら人間のように大事な部分を見せびらかして歩いているような破廉恥者ではない。ちゃんと普段は隠しているのだ。」
 
 そう言うやいなや、股の間からにょきっと生えてきた…ち、ちんこ?
 
「なんだそれ!?」

 驚きに声が上ずる。
 ミズカミの股間から急に生えてきたペニスはまるで小さな足のように2本あった。
 これどこかで見たことがある。何だったっけ?
 
「我々の種族は2本あるのが普通だ。ヒトの言葉でいうと『ヘミペニス』というらしいがな。これを交互に挿入して着床率を高める。それにしてもお前たちはやはり一本しかないのだな」

 かろうじて腕に引っかかっているだけの状態になった浴衣。あらわになった俺の股間を見てミズカミは憐れむように言った。

「い、いや。これが普通だから…」

 妙に恥ずかしさが込めあげてきて、はだけた浴衣で股間を隠そうとしたが、足を掴まれて寝かされ、股を開かされた。
 腰の下に枕を入れられると、普段は2つの双丘に隠れている秘部があらわになる。その中心のくぼみにミズカミの指がつぷっと侵入してきて穴の感触を確かめた。

「ぅん…」

 思わず甘い声が出る。
 他人にここを触ってもらうなんて何年ぶりだろう。

「お前、だいぶ使い込んだな。簡単に指が入るぞ?最近はいつした?」

 ゆるゆると2本の指を出し入れしながら、ミズカミが呆れたように言った。
 羞恥でかっと赤くなり言い返す。

「最近はとんとご無沙汰だが、不慣れなやつがいいなら、ほかを当たれ」

「いや、そういう意味ではない。他人の精液が混ざると着床が難しくなるからな」

 着床だと?相変わらず訳の分からない話をしている。

「わずかな期間ではあったけど、お前が自分の穴をほぐしているのを見て、何度俺のものをぶち込みたいと思ったことか。それが目の前にある。お前が手に入るのならあの孤独な日々も耐えた甲斐があったというものだ」

 そう言って細長い舌でべろりと穴を舐めた。

「あ、まって。準備が…」

 男の顔が股の間にある。その一舐めだけで、再びちんこに芯が通る。
 とろりと生暖かい液体が後孔に垂らされる。今までミズカミの体温を感じない冷たい指でいじられていたからそれはとても暖かく感じた。
 シュルリと俺に絡まったままの浴衣の帯を解く音がして、穴に男の先端が当たった。
 
「え?いきなり?」

 さっきのキスで期待していただけに少しがっかりした。濃厚な前戯をしてくれると思ったのに。
 なんの愛撫も甘い言葉もないまま、するりと男のものが入ってくる。
 少し気持ちが冷めつつも、いきんで自らの穴を拡げ、男のものを受け入れる。
 舌と同様、通常のペニスよりも少し長めのそれはすんなり入って、奥の壁をこつんとノックした。
 
 「ひ…ぎぃ…な、なんだ?これ?」

 直後、体内を満たすかのようにペニスが膨らんだ。そして体内の腸壁全体に何かが突き刺さる感じ。
 一瞬トゲトゲのバイブでも突っ込まれたのかと、股の間にいる男を見つめて確認する。間違いなく男の体に生えている物体らしい。入っていない方のペニスもトゲトゲが出来ていた。
 ピストンするのだが、その度に体内に突き刺さったトゲトゲが引っかかり抜けない。体内に刺さったまま、ペニスが伸びて細くなったり縮んで太くなったり。
 太くなると、体内がいっぱいに満たされ、前立腺や膀胱までぐにょんっと押しつぶされ、その度にあられもない声とペニスの先端からは透明な液体がぷしゅっぷしゅっと飛び出て腹を汚した。

「あ゛っ!?あ゛っ!?」

 あまりの衝撃に汚い喘ぎ声が出てしまう。なんだこれ。こんなの知らない。
  
「ふっ、龍乃丞。やはりお前は素晴らしい。俺達種族のペニス咥えて失神せずに、ここまで感じてくれるとは」

 腰を振りながらミズカミは唇を重ねてきた。無意識でそれに応える。
 ミズカミが身体を折り曲げてきた時に、もう一本のペニスが自分のものに触れた。
 俺はその二本をまとめて扱く。体内のトゲトゲペニスの刺激と、手の中のトゲトゲペニス中も外も刺激してますますやばい。

「あぁっ!!龍乃丞、だめだっ!!そんな事をしたらすぐにイッてしまうっ!!」

 ミズカミも気持ちが良いらしく、少し快楽を逃そうと腰が引けた。それがちょっとかわいくて、手の中にあるペニスをぎゅっと掴んで逃げられないようにする。
 
「いいぜ、さっさとイケよ。どうせまだまだ楽しませてくれるんだろ?」

 こんな訳の分からない相手と、こんな状況下でセックスを楽しめるなんて、俺も大概だな、と自嘲気味に笑いながら、体内でミズカミの熱い液体を受け止めた。

「満足したか?」

 自分はまだイッていなかったが、主導権を握れて満足していた。余裕を持って、ミズカミに聞く。体内に少し柔らかくなったミズカミの片方のペニスの存在を感じながら。
「幸せだ…」とつぶやきながら嬉しそうに上半身を預けてくるミズカミ。

 体内に入っていた方は射精していたが、俺のと一緒にこすりあわせをしていた方のちんこは、少し先走りで濡れてはいたが射精はしていなかった。どういう構造になっているのだろう。すこしトゲトゲが収まってやわらかくなっていたものの、まだ元気いっぱいだ。

「あぁ、やはりお前しかいないな」

 ミズカミが幸せそうに言った。

「そりゃよかった」

 いつの間にか枕元にはコップと水差しが置かれていた。気づかなかった。
 腹に抱きつくミズカミをそのままに、手を伸ばして水を入れる。
「飲むか?」と、試しにミズカミに差し出してみると顔を上げて素直に飲んだ。匂いを嗅いでも特に普通の水のようだ。俺も安心してごくごく飲んだ。

 水を飲んで少し呼吸が落ち着いたのか、ミズカミは起き上がってペニスを引き抜いた。ペニスとともにこぽりと胎内の液体が溢れてきた。
 そして、再びミズカミはもう片方の少し柔らかくなったペニスを差し込んできた。

「え?もう?」


 ◇


「あ…はぁ…もう…もうムリっ…ムリっ…」

 それからは快楽地獄だった。本日何度目かの中イキを経験する。
 ミズカミは俺に合わせてイクことはしない。だが、吐き出してもすぐにもう一本のペニスが突っ込まれる。こちらがイッていても、体内が痙攣していても容赦なくトゲトゲペニスで体内を刺激し続けた。
 正常位で足を開いているのがキツくなって、それを訴えると、布団に上半身うつ伏せで、尻だけ突き上げた状態で後ろからズンズンついてくる。
 俺の勃ちっぱなしのちんこはストロークに合わせてブンブン揺れ、先端からは精液が垂れ流しになって布団を汚していた。

 時折俺の意識が飛びそうになると、俺の上半身を起こさせ、乳首を刺激したり、後ろを向かせ長い舌で腔内を刺激してくる。
 確かに慣れていないやつであれば、これだけの凶悪なペニスは、しんどいだろう。俺だってもう限界だった。
 腹の中にはミズカミの精液がたまり、下腹がぽっこりしていた。だが、それを出そうにも常に体内には二本のうちのどちらかのペニスが入っている。
 ミズカミは、耳元でしきりに俺への愛を呟いた。「お前とこうして繋がれるなんて夢のようだ」「ずっとお前だけを求めていた」「愛してる、孕んでくれ」とか。
 快楽漬けで、意識も朦朧としている中でそんな事を言われると、善悪など考えられなくなって、ただその行為だけが俺達の全てになる。

 そのうち、ミズカミのペースで突き上げられるのもしんどくなって、ミズカミを寝かせ、騎乗位で自ら腰を振ったりもした。もうその頃には俺の玉の中はからっぽで、ちんこは柔らかいまま上下にプラプラと揺れていた。

「はぁ…もう…むり……」

 騎乗位で中イキをして、後ろにぐったりと倒れ込む。その拍子にちょうど射精したばかりのミズカミのペニスが抜けた。ミズカミは体を起こして、俺の身体を2つに折りたたみ、膝を頭の横に置いて、肛門を一番高くなるようにひっくり返した。尻穴を頂点にしてたたまれた俺の顔の前には、舌を伸ばせば届きそうな位置に自らのちんぽがぶらさがっている。

 栓を失った穴は、一番高い位置にあるにも関わらず、ぷぴっぷぴっと白い液体を吐き出される。そしてそれが腹や背中へとどろりと流れる光景は、まるで溶岩が流れ出ているかのようだ。
 しかも、身体がひっくり返っているせいで、口からも出てきそうな息苦しさがある。
 
「さすがに疲れただろう。最後はまとめて入れてもいいか?」

「ひい…そんなの、ムリっ…」

 喘ぎすぎて声がかれていた。これ以上の快楽はしんどい。
 
「今日は最後だ。ほら、力を抜け。最後の一滴までお前の中に出す」

 ミズカミは自らの2本のちんこを縦に並べると、俺の穴のシワを全て伸ばし、メリメリと裂くような勢いで上から侵入してきた。

 「あ…あ…裂けちゃう…裂けちゃうからぁ…」

 上擦った声で懇願する。2本も入っていて、ただでさえキツキツなのに、追い打ちをかけるかのように体内でペニスが膨らみ、襞にトゲを突き刺す。

「あ…お腹ん中…トゲトゲちんこいっぱい…」

 穴の中全体が性感帯になったようだった。あまりのキツさに生理的な涙が出てきた。加えて、体内に埋まっている片方のペニスが前立腺をごりごりと刺激し、もう片方のペニスが直腸の奥の扉をゴンゴンと叩く。
 
「こ、こんなのむりぃ…むりぃ…」
 
 散々吐き出された精液は、重力と、隙間なく埋められたペニスで逆流させられているような気がした。
 突き上げるごとに、内臓が押し上げられ、体内に溜まった精液が口から出てきそうだ。

「これを出したら少し休ませてやるから、もう少しだけ頑張ってくれ」

 ひゅーひゅーと喉からただ息をして、ひたすら、穴に与えられる快楽だけを貪り味わう。(早くイッてくれ)と願いながら。
 イキ過ぎで意識が朦朧としてきて、目の前がよく見えなくなってきた。
 ただただ腰を振る。ミズカミの絶頂が近いのか、強く腰を打ち付けてきた。コントロールしきれないのか更にペニスが一回り大きくなり、お腹を圧迫する。

「あぁ…イグっ!!イグっ!!イグっ!!…イグぅっっっ!!!!」

 さんざん喘ぎすぎて声はかすれていた。もう無意識だった。イクのを堪える余裕などない。下腹に大きな波が来て、股を開き、最後の力を振り絞ってその波を捕まえる。射精もしていないのに全身がガクガク震えた。
 その肉輪の収縮と胎内の痙攣により、ミズカミも2本分の精液を龍乃丞の体内に吐き出した。
 
 ごぽぉ
 
 力尽きて、ぐったりと布団に身体を横たわる。二本のペニスが抜かれると、ポッカリと開いた穴から精液が溢れ、布団を汚した。
 だがそれでもまだ腹の中には大量の精液がたまっていて、下腹がぽっこりとでていた。
 もう全身に力が入らない。身じろぎもせずぐったりと寝そべっているとミズカミはなにか栓のようなものを持ってきて、精液の出口を塞いだ。
(そんなことしたら、お腹痛くなる…)そう思ったが、伝える気力もなかった。裸のまま目を閉じて「これ以上はムリだ」と態度で意思表示をする。

 下が塞がれ、出口を失った精液が口から出ようと上がってきた。うっぷと堪えた拍子に鼻の奥に入り、ツーンとした痛みとともに、精液臭が上がってきて顔をしかめた。
 あぁ、身体の中も外も精液でぐちゃぐちゃだ。すべて洗い流したい。

 ミズカミはぽっこりとつきでた下腹を愛おしそうに撫でながら「お前が早く俺の愛を受け入れてくれて、孕んでくれたらいいのに」とつぶやいた。
「できるわけねーだろ」と思いつつも、もう声を出す気力もない。
 
「俺と龍乃丞の子だ。絶対にかわいいに決まってる。できればお前に似ていてほしいが、でも、元気だったらどっちでも構わないな。こうしてお前と番える日が来るなんて、夢のようだ。お前さえ手に入れば、あの孤独な日々もムダじゃなかった…」

 そういって、下腹にキスをした。
 その切実なつぶやきを聞いていると、頭がおかしいのは間違いないが、どうやら人違いなどではなく俺のことを好きだというのは本当らしい、と思った。

 終わりの見えないセックスを強要されている間に、外は昼を迎え、また夜を迎えていた。
 俺がいなくなって誰か気づいてくれているだろうか。俺を見つけてくれるだろうか?
 ずっと水しか飲んでいないが、不思議と腹は空かなかった。

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