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13、峯岸グループに高橋チーム有り
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僕は安部からの誘いを保留した。
確かに彼女は欲しい。
ただ、不安要素が多すぎる。
コンパで成功した試しがないこと。
職業の話題を切り抜けれる自信がないこと。
調査日と被る心配。
そして、不安とは少し違うが、篠田さんのことも頭をよぎったのだ。
ただ、僕も男だ。雄だ。
女の子と仲良くしたい。
という事で、断るのは勿体ないと感じ「保留」という選択をした。
もちろん安部は困っていたが…
「来週中には仕事の状況が分かるから、もう少し待ってくれへん?」
仕事といっても交通量調査、つまりは日雇いだ。しかし、嘘は付いていないはずだ。
「はいよ。でも、なるべく早く返事ちょうだいな。」
安部は理解のある友人だな。
…
それから数日経ち、火曜日となった。
今夜いよいよ初前泊だ。
憂鬱極まりない。
とりあえず、人生で初めて購入した耳栓を忘れないように、カバンにしまった。
…
少し昼寝して、時間は22時30分。
余裕を見て、もう少ししたら向かってみるか。
…
梅田に到着。
少し早いものの、そこそこの時刻になっていた。そして、指定された集合場所にいくと、人だかりがある。
約30人ぐらいだろうか。
そこには高橋氏を含め「監督員」ぽい人達もいて、どうやら点呼を取っているようだった。
僕も点呼を取られ、指定のハイエースに乗り込むように指示された。
そしてハイエース後部座席のドアを開けると、見慣れた光景があった。
40代から60代ぐらいの男性調査員が5名、既に乗っていたのだ。
やはりハイエースの中にはおじさんの集団がいるものなのだ。
「お疲れさ~ん」
1、最年長(たぶん)の板野氏
2、濃い顔の指原氏
3、スキンヘッドの小嶋氏
4、肥満体型の柏木氏
5、最年少(たぶん)の須田氏
「前田です。よろしくお願いします。」
ハイエースの中はやはり狭く、加齢臭が充満していた。
前回よりはマシだったが…
こんな中でどうやって寝るんだ…
正直、腹が立っていた。
そして早くも耳栓の出番だと思い、僕はカバンのチャックを開けた。
しかし、耳栓は一度しまうことになる。
何故か居心地が良く感じてしまう。
特にワイワイと盛り上がっているわけではないが、5人が凄く仲良しなのが分かる。
長年こういった時間を共にしているからだろうか。
家族のような暖かさがそこにはあった。
これが、高橋チームか。
結局、車が出発して深夜1時ぐらいまで、僕は高橋チームの皆との会話を楽しむのだった。
…
運転は今回も高橋氏。
深夜の道は空いているのか、時折眠りから覚めた時、常に走行中だ。どうやら順調に三重へ向かえているようだ。
僕はまた、耳栓により無音となった世界で静かに眠りに着いた。
確かに彼女は欲しい。
ただ、不安要素が多すぎる。
コンパで成功した試しがないこと。
職業の話題を切り抜けれる自信がないこと。
調査日と被る心配。
そして、不安とは少し違うが、篠田さんのことも頭をよぎったのだ。
ただ、僕も男だ。雄だ。
女の子と仲良くしたい。
という事で、断るのは勿体ないと感じ「保留」という選択をした。
もちろん安部は困っていたが…
「来週中には仕事の状況が分かるから、もう少し待ってくれへん?」
仕事といっても交通量調査、つまりは日雇いだ。しかし、嘘は付いていないはずだ。
「はいよ。でも、なるべく早く返事ちょうだいな。」
安部は理解のある友人だな。
…
それから数日経ち、火曜日となった。
今夜いよいよ初前泊だ。
憂鬱極まりない。
とりあえず、人生で初めて購入した耳栓を忘れないように、カバンにしまった。
…
少し昼寝して、時間は22時30分。
余裕を見て、もう少ししたら向かってみるか。
…
梅田に到着。
少し早いものの、そこそこの時刻になっていた。そして、指定された集合場所にいくと、人だかりがある。
約30人ぐらいだろうか。
そこには高橋氏を含め「監督員」ぽい人達もいて、どうやら点呼を取っているようだった。
僕も点呼を取られ、指定のハイエースに乗り込むように指示された。
そしてハイエース後部座席のドアを開けると、見慣れた光景があった。
40代から60代ぐらいの男性調査員が5名、既に乗っていたのだ。
やはりハイエースの中にはおじさんの集団がいるものなのだ。
「お疲れさ~ん」
1、最年長(たぶん)の板野氏
2、濃い顔の指原氏
3、スキンヘッドの小嶋氏
4、肥満体型の柏木氏
5、最年少(たぶん)の須田氏
「前田です。よろしくお願いします。」
ハイエースの中はやはり狭く、加齢臭が充満していた。
前回よりはマシだったが…
こんな中でどうやって寝るんだ…
正直、腹が立っていた。
そして早くも耳栓の出番だと思い、僕はカバンのチャックを開けた。
しかし、耳栓は一度しまうことになる。
何故か居心地が良く感じてしまう。
特にワイワイと盛り上がっているわけではないが、5人が凄く仲良しなのが分かる。
長年こういった時間を共にしているからだろうか。
家族のような暖かさがそこにはあった。
これが、高橋チームか。
結局、車が出発して深夜1時ぐらいまで、僕は高橋チームの皆との会話を楽しむのだった。
…
運転は今回も高橋氏。
深夜の道は空いているのか、時折眠りから覚めた時、常に走行中だ。どうやら順調に三重へ向かえているようだ。
僕はまた、耳栓により無音となった世界で静かに眠りに着いた。
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