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じゃぱにーずかるちゃーいずくーる7

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 ヒラヒラ顔面蒼白野郎にとっては俺達の住むダンジョンの外の世界の事なんてどうでも良いのだろう。

「関係無いか……じゃあ俺達もこの館とは何も関係が無いから、吹き飛ばしても良いんだよな?」

 このクソイケメン野郎の言い分も理屈も分かるが、筋は通らない。

 自分には関係無いからと言って人様に迷惑を掛けて良い理由にはならないし、そういう奴らは敵を作りやすいというのが分からないのだろうか。

「何故そうなる!頭が悪いのか貴様は!私がわざわざ出向いて辞めろと言っているのだぞ!辞めるのが筋だろうが!大体貴様らが勝手に我がダンジョンに侵入したんだろうが!」

「それについては謝罪しよう。すまなかった……それで、このダンジョンから溢れたモンスターによって沢山の人が死に、街にも甚大な被害を齎した事についてはどうするつもりだ?」

「何を訳の分からん事を……!そんな事は私の知った事では無い!私以外の野蛮なモンスター共が勝手にやった事だ!私には関係ない!私はこの館で日々芸術作品を作成する事で忙しいんだ!用が無いならもう帰ってくれ!」

「ん?お前はここのダンジョンの管理、運営をしているんじゃないのか?」

 ダンジョンというのは基本的にはダンジョンコアが管理、運営を行うものではあるが、知能の高い者が居ればそいつがダンジョンコアの代わりに管理、運営をするものだと思っていたのだが違うのか。

「管理や運営は私も行っている!私が生成された時に、ダンジョンコアに管理者権限というのを貰ったからな!だが私が行ったのは環境の整備だけだ!他の野蛮なモンスター共については生成したのはここのダンジョンコアであり、私には関係ない事だ!」

「あくまでもお前以外の野蛮なモンスター共とそのモンスターを生成したダンジョンコアが悪いって事か?」

「そうだ!だからこの館を吹き飛ばすような事は辞めろ!ここは私の作品を飾るアトリエ予定地だからな!」

「ねぇ!鑑定が出来ないんだけど、貴方って何者なの?自己紹介とかしてくれないかな?ちなみに私は末永純っていう名前の人間だよ!」

 ここにきて静観していた純が横やりを入れてきた。

 まぁ、ここからは純に任せた方が良いだろう。

「人間だと?嘘をつくな!人間風情が我がダンジョンに侵入してここまで来られる訳が無いだろう!貴様も私と同じでダンジョンコアによって生成された魔族や魔人の類であろうが!大体、ここら一帯の人間の程度は既に調べがついておるわ!」

「あっ……察し」

 つい言葉が漏れるが即座に口を閉じる。

 ヤバイ奴だとは思っていたが、ここまでとは思わなかった。

「へぇ!ダンジョンの周囲に居た人達を調べたんだ!凄いねぇ!貴方がわざわざダンジョンの外に出て調べたの?」

「私がそんな面倒な真似をする訳が無いだろう。我がダンジョンに侵入してきた人間を調べただけの事。ここに侵入してくる愚か者共は自身の実力も把握しておらぬ馬鹿共だったのでダンジョンの肥やしになったがな!フハハハハ!人間とは余りに貧弱で愚かな生き物だと私は確信したよ!」

 自慢げに語る青白君が段々と可哀そうになってきた。

「なるほど!貴方って頭が良いんだね!そうやって外の世界の人間の実力を調べたんだね!だからモンスターが溢れても気にしなかったんだね!貴方のダンジョンのモンスターの方が人間よりも強いから外に出てもやられる心配は無さそうだもんね!」

「その通りだ!だから私は芸術に専念出来るのだよ!勝手に野蛮なモンスター共が外の人間共を我がダンジョンの糧にしてくれるからな!おかげでダンジョンもここまで大きくする事が出来た!これで私も自由に芸術に打ち込めるというものだよ!」

「なるほど!じゃあ貴方はただ黙認していただけなんだね!」

「そうなるな!」

「ちなみに、今までここに来た人間はどんな奴だったの?」

「ふむ……私は最近生成されたのでな、最近の事しか知らぬが私が生成された時は皆同じような服を着た愚か者の集団だったな、揃いも揃って無能な人間風情が何人も侵入してきて流石の私も面倒だったが……まぁ、人撫ですれば死んでしまうようなゴミ共しか居なかったので私の餌としては重宝していたよ!毎日新鮮な餌が勝手に届くのだから、そこだけは人間に感謝したいがね……ちなみに貴様らの衣装はとても良いと思うぞ!中々に刺激的だ!」

 この貴族被れの阿呆はよっぽどお喋りが好きなのだろうか。

 もしかして会話に飢えていたのかもしれない。

 このダンジョンにはコイツのように会話が出来る者は他には居ないようだから。

「ふーん!流石だねぇ!じゃあこれからもあんまりダンジョンには干渉せずに、芸術に専念するつもりなのかな?」

「まぁそれも良いが、ダンジョンをもっと大きくしたら外の世界を私が支配してやっても良いやもしれぬな!そうすれば私の芸術の幅も広がるだろうからな!そうだ!貴様らも私の配下に加わると良い!私の下につけば、貴様らも今より良い生活が送れるぞ!わざわざ他のダンジョンに来たという事は、私のような強者にダンジョンを潰されでもしたのだろう?私は優しいのでな!今までの無礼を許して、貴様らを配下として迎え入れてやろう!」

 こいつの脳内では侵入してきた実力者というのはそういう解釈になるのか。

 マジでぱねぇっす。























「もう良いだろう。斬るぞ?」

 ここまで良く我慢した方だと思うが、こいつを千尋に殺させる訳にはいかない。

 俺的にはこいつはそこまでの悪党には思えない。

 ただのお喋り好きな馬鹿だと思うから。

「ギルティ!でも情状酌量の余地あり?難しいねぇ……自分から人間を襲いに行った訳では無いし、そもそも人間側がこのダンジョンに侵入してなければ被害もここまで拡大して無かった訳だしねぇ……拓美君の判断に任せるよ!」

「殺すのは無し、生け捕りにしてこれ以上悪さをしないようにすれば充分だろう」

「……分かった」

 不満気な千尋。

 千尋的にはこいつは斬る対象のようだ。






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