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しふくの時と言われても5
しおりを挟むコスプレ衣装について色々と協議した結果、いくつか候補が決まった。
「このフェイトのランサーというのはアニメのキャラクターだから恰好良いのであって、リアルでコスプレしていたら流石にダサくないか?」
「私もちょっと無しだと思う!」
「俺も全身青タイツはちょっとなぁ」
「何を言っているんですか!マスターなら何を着ても恰好良いに決まってます!何より知名度では断トツですよ!」
「ご主人様がランサー……良いと思います。ただ、どうやって顔を隠すかが問題になってきますね」
コスプレ衣装の話し合いに参加しているのは千尋、純、ベル、英美里、俺の5人。
第一候補のフェイトのランサーは反対3賛成2。
「多数決により却下だな」
「そもそも公の場に出る事を想定するのであれば、版権とかもあるしあんまりキャラクターのコスプレはしない方が良いのかもね!」
純の意見は最もだと思う。
「盛り上がってて言いにくかったけど、俺も純と同じ意見だな」
「私はそこらへんの事はどうとでもなると思うから、どっちでも構わない」
「何か言われても黙らせれば良いと思います」
「マスターに似合ってる事を一番に優先した方が良いと思う!」
「じゃあとりあえずは一旦協議してから再度決めようか」
「「「「異議なし!」」」」
とりあえずは候補に上がったものを全て協議してから最終的に決めていく事にする。
「次は同じくフェイトから二槍のランサー」
「私は反対だ。そもそも衣装があんまり好きじゃない」
「私も反対かな!拓美君が二槍使いじゃないからね!」
「俺も反対だな、あの衣装は筋肉もしっかり着いてるイケメンにしか許されないと思う」
「賛成です。ご主人様ならきっと恰好良いです」
「賛成賛成!マスターの色気があれば問題無し!きっと似合うと思う!」
これも反対3賛成2で否決。
「多数決により否決」
「えーっと次は……アルサラーン伝記からダリューン」
「ダリューンはこれか……まぁ悪くは無いが、地味過ぎるから反対だな」
「私も反対!ちょっと地味かな」
「俺は賛成だな、このぐらいの方が楽そうだし」
「反対です。もう少し分かりやすさが欲しいです」
「反対!マスターにはちょっと地味です!」
俺の上げた候補は俺以外反対で終わった。
「多数決により否決、次」
その後もキャラクターの候補について協議したが、全て否決されてしまった。
「やっぱりコスプレっていうのに無理があるんじゃないか?武器も今使ってる槍じゃなくて西洋槍みたいなキャラとかも多いし、その作品の独特なデザインの槍を使ってる事が多いからキャラクターよりも槍自体の方が目立っててコスプレしてる意味が薄いキャラクターが多いしな」
「じゃあリアル系のコスプレにするか?それだとお父さんと被るから何とも言えないが……」
千尋の父である一馬さんは立花宗茂が使っていたと具足を身に着けている。
「それはそれで良いかもね!義理の親子で武将って面白いと思う!候補を上げるなら、槍の又左で有名な前田利家とかどう?」
「前田利家か……」
俺の浅い知識では加賀百万石、まつ、それと金ぴかで頭の部分が異様に長い形の具足のイメージしか無い。
「前田利家より、本多忠勝の方がインパクトはあるんじゃないか?蜻蛉切りという有名な槍もあるし何より立花宗茂と並んで戦国最強の武将として有名だ。お父さんが立花宗茂だし、丁度良いんじゃないか?」
本多忠勝。
度々戦国最強としてテレビでも特集されている日本で人気の武将でもある。
57戦無傷。
鹿角脇立兜。
大数珠。
蜻蛉切り。
忠臣。
本多忠勝から連想されるのはこんな感じだろうか。
昨今の侍は忠臣というイメージを作り上げた戦国最強との呼び声高い伝説的な武将だと言える。
「良いな……本多忠勝。男として憧れの武将だよ」
「確かにね!大分とも意外と関係は深いからね!本多の姓は忠勝の御先祖様が豊後国の本多郷に住んだことから付けたらしいよ!」
地元である大分と縁があるというのは初めて知った。
「俺は賛成だ!むしろこれしか無いんじゃないかってぐらいにしくっり来てる」
「私も賛成だ。やはり武士や侍というのは恰好良い」
「私も賛成!ジャパニーズサマラーイ!ハラキリー!セプーク!世界的にもインパクトがあって良いと思う!」
「私も賛成です。最強というのが気に入りましたし、この甲冑>具足?も鹿の角が勇ましくて恰好良いです。色々と調べてみたくなりました」
「賛成!マスターは最強!本多忠勝も最強!見た目も良し!槍も有名!正直文句の付けどころが無いですね!」
ここに来てやっと満場一致。
話し合いからかれこれ3時間以上掛かってやっと決まった。
「では、今後まこちゃんの衣装本多忠勝の具足で決定。速やかにリーダーと助手ちゃんに作成してもらって明日の朝までには準備してもらうとする。それでは長い間話し会いご苦労様でした」
「「「「ご苦労様でした」」」」
「マスターの晴れ姿の為にも、ベルも協力して作っちゃいますよ!蜻蛉切りも再現してみせます!リーダー!行きますよ!」
「はい、ベル様」
意気揚々とリーダーを連れ立って何処かに向かおうとするベル。
「もうすぐご飯だぞ?食べないのか?」
英美里は話し合いが終わるや否や台所に向かい、今日の晩御飯の用意を始めてくれている。
「晩御飯は後で食べます!リーダーは……どうする?」
「ふふふ!私も後で頂くので大丈夫です」
「そっか……ありがとうベル、リーダー」
「いえ!では行きますよ!マスターに最高の装備を作ってあげましょう!」
「失礼致しました」
ベルとリーダーが俺の為に装備を作りに行った。
「まさか、あのベルが食事を後回しにするとはな……ちょっと怖い気もするけど、俺の為に頑張ってくれるのは純粋に嬉しいな……」
食いしん坊のベルが食事を後回しにする程の気合の入れようなので、俺の装備はきっと良いものが出来上がると思う。
「朝まで後半日ぐらいか……間に合うのか?」
エルフであるリーダーとドワーフの助手ちゃんにベルが加われ作れない物は無いんじゃないかと思うが、単純に時間が足りない気もする。
「……とりあえず晩御飯食べてから考えようかな」
今日は俺のリクエストでとり天だ。
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