110 / 155
夢を追うもの笑うもの37
しおりを挟む俺と英美里の模擬戦に決着が着き、これで第一回戦を勝ち上がった三人が決定した。
Aブロック勝者はエルフルズリーダー、美帆。
Bブロック勝者は研究施設所属インテリジェンスデビル、博士。
Cブロック勝者は我が家の家事責任者メイドラキュラ、英美里。
俺的には英美里がこの中では最強だと思っているが、試合はやってみなければどうなるか分からない。
「じゃあ……準々決勝は勝ち上がった三人でクジを引いて貰ってシードを決めようか!」
準々決勝は公平に勝ち上がった三人でクジを引いて貰って戦う順番を決めて、シードを一人決める事にした。
紙に番号を書いて適当にあみだクジを作り、リーダーから順番に好きな場所を選んでもらった。
「良し!これで戦う相手は決まったな!……準々決勝一回戦目は!博士VS英美里!両者は準備が出来次第、スタート位置に着いてくれ!」
リーダーはシード権を獲得したのでこの試合の勝者と対戦してもらう事になった。
英美里も博士も準備は整っているようで、スタート位置に着いた。
「それでは!試合開始ぃ!」
「様子見は致しません!」
「ムリゲー……」
英美里が開幕と同時に博士と距離を一気に詰めようと前方へ突っ込んでいく。
博士は助手ちゃん戦の時とは違い、距離を離す為にバックステップ。
「……グラビティ」
博士がバックステップと同時に闇魔法を放ったのか、英美里が一旦停止して影に潜った。
博士の闇魔法は俺には何をしているかがさっぱり理解出来ないので、解説役にベルを呼ぶ。
「ベル!何が起きてる?」
「はいマスター!博士が闇魔法を使って英美里を圧し潰そうとしてますね!闇魔法は見えないのが厄介な所ですが、魔力を感じ取れる者にはバレバレですから、ああして英美里みたいに避けれられない事も無いですね!」
博士の背後に現れた英美里が影を纏った拳で殴り掛かる。
「中々やりますね!」
「サスガニ?」
背後からの奇襲を受けた博士は背後を確認することも無く腕を背後に回して英美里からの攻撃を受けた。
そこから更に腕を振り回し、英美里を軽く吹き飛ばした後に体を反転させて英美里と再び相対した。
「ふむ……闇魔法とはこんなにも便利な魔法でしたか」
「……!そうなんです!闇魔法と云うのは消費魔力が多いという点さえ克服出来ればとても便利でとても優れた属性魔法なんです!攻撃にも防御にもどちらにも使えますが、特に空間に干渉する事の出来る闇魔法は防御面にとても優れていて、生半可な攻撃ではビクともしません!熟練していけば消費魔力も多少は抑える事も出来ます!ただ、どうしても相性というのは存在していまして光魔法とはとても相性が良くないんです!光魔法は闇魔法とは反属性の関係に当たるのですが、光魔法と闇魔法がぶつかりあった時は両方共がお互いの魔法を打ち消す比率が高いんです!闇魔法と火魔法がぶつかりあった時は火魔法に込めた魔力量が多くないと絶対に闇魔法の防禦は崩せません!これは光魔法と火魔法でも一緒です!ですが光魔法と闇魔法は込めた魔力量が同量であればお互いに打ち消し合う事が可能になるんです!不思議ですよね!他の属性には強く、光属性とは互角の関係!それが闇魔法です!ですので闇魔法の防禦を崩すには光魔法であれば同量の魔力、他の属性魔法なら大体1,2倍程度の魔力が必要になります!しかし!闇魔法はその性質上使用魔力量が多いのです!ですがそれは理に適っているのです!闇魔法は他の属性魔法に比べて魔力を込めやすいという特性もあるのです!これは戦闘面において非常に有効です!火魔法に1000の魔力を込めるのに掛かる時間が1秒だとすれば闇魔法では大体半分の時間で済むのです!これ程までに優れた魔法が他にありますか!いや!無い!私は自分の得意な属性が闇魔法で本当に良かったです!闇魔法と光魔法は他の属性魔法よりも使用出来る者が少ないので尚更嬉しい事ですね!」
突如として博士のスイッチが入って饒舌モードになったのだが、戦闘中にも関わらず喋り倒すその姿には呆れと尊敬の念を送りたいと思う。
「とても貴重なお話ありがとう……でも、戦闘中はもう辞めてね?次からは容赦なく攻撃するからね?」
黙って博士の話を聞いていた英美里が博士に優しく注意してから試合は再開された。
「スミマセン……」
「影人形!」
仕切り直した直後、英美里が俺の試合の時に使った影人形を使った。
俺の時には三体の影人形だけだったが今回はその比じゃない数の影人形が現れた。
「『『『さぁ、これが今の私の限界……64体の影人形による攻撃を自慢の闇魔法で受けきってみせて!』』』」
「コレハムリ……」
そこからは本当に英美里が博士を圧倒し、蹂躙した。
総数64体の影人形から放たれる魔法と打撃の連打、袋叩きとはこの事だろう。
途中で反撃に出た博士だったが、数の暴力には勝てずに闇魔法も英美里の桁違いの魔力量による暴力で打ち消されてしまった。
最初こそ博士も中々やると思っていたのだが、蓋を開けて見れば英美里の圧倒的な勝利で終わった。
「ふぅ……流石に少し疲れましたね。博士もお疲れ様、歩ける?」
「はひ!歩けます!だいじょぶです!おつかれさまでした!」
「勝者!英美里!」
あの博士が英美里に話しかけられ、大きな声で返事を返し、試合終了と同時に急いで助手ちゃんの側に駆け寄っていった。
「……あんなの食らったらトラウマもんだよな。良かった、俺の時は三体で手加減してくれて……」
「ちょっとやり過ぎな気もします!もしも決勝まで英美里が勝ち上がったら、少し私がお仕置きしてやります!」
ベル的には英美里は少しやり過ぎらしい。
俺も少しやり過ぎだとは思うが、英美里的には後輩に今の自分の全力を見せてあげたかったのかもしれないなとも思う。
先輩の背中を後輩が追いかけやすくする為に敢えて実力の差を見せつけたんだと思いたい、でなければ只の可愛がりでしかない。
「……次はリーダー対英美里、名持ちの最古参組の勝負か」
「ですね!楽しみです!」
リーダーは博士の元へと向かい、何かを話している。
流石に心配しているのだと思う。
「ふむ……リーダーの方が優しい先輩で、英美里が厳しい先輩って感じか……部長と副部長的な」
「英美里が部長でリーダーが副部長っすね!いやぁ!英美里は本当に容赦無いっすね!流石の私もビビったっす!」
何気に復活していた番長がベルの隣に居た。
「番長ももう良いのか?毒を食らってたんだろ?」
「はいっす!リーダーの薬のおかげっすね!まぁ麻痺薬の類だったのもあるっすけどね!……これが本当に命に関わる毒薬だったらと思うと、まだまだ精進が足りないって気付かされたっす……もっともっと強くなりたいっす!」
「そっか!頑張れよ!」
「おっす!」
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す
佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。
誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。
また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。
僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。
不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。
他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる