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投獄中の売国奴と泣き虫王子の二人は、出会いから始まる。

4.いじる奴、いじられる奴

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 ようやく、顔面の痛みが引いたというのに。このガキまだ笑ってやがる。
 滑稽に見えたよなーそらぁーなー。

 けど、なんかムカつく!!

「でーー?? なんでこの前泣いてたん~?」
「っ!?」

 俺の言葉が耳に入り笑いが止まった。
 というよりもスラスラと出た言葉に驚いたのだろうか。初めてスラスラ言えたのが煽りってどうなんだよ俺。

「ち、違います! 泣いてなんていません!!」
「そう? 今もちょっと涙目になり掛けてるぞ」
「えっ!!? あっ・・・!!」
「ふぅぅう~~~ん」

 完全にしてやったり顏で返してやった。
 ルビヤは気が付くのが遅かった様子だが、その顔をすぐに拭おうとした反応を見るにやはり泣いていたもしくはよく泣いている事が推測できますねぇ~ん~~~!!!!???

「何何? お兄ちゃんに教えてよ、ねぇねぇ。ピーマン~? ナス~? それとも、ト・マ・ト!?」
「ぼぼぼ、僕が好き嫌いなんてする訳ないだろう!!」
「あぁ~~なるほどねぇ~~、野菜じゃないんだ~。わかるよーどうしても魚って骨があるからね~痛いよねー」
「そうなんですよ!! いつもいつも口内炎が出来て・・・はっ!」
「ふぅぅう~~~ん」

 俺って詐欺師の才能でもあるのか、ただの当てずっぽうが当たるなんて、言ってみるもんなんだなこうゆうのって。

 くくくくっ、ルビヤの奴見る見る内に顔が真っ赤になってやがんの。

「フォーズさんは無いの? 嫌いな物」
「生まれこの方好き嫌いなんてした事無いんでね~、ネズミの肉から猛獣の肉までどんと来いよ」
「うわっ・・・」

 は? なんだコイツ、急に引き顔になって。
 ネズミの肉、意外に悪くないんだぞ、しっかりと洗えばそのまま生でも行ける。

「じゃあ、今日の夜からネズミの肉、持ってくるようにしますね」
「え?」
「確か城内の駆除が終わって処分に困っていたと話しを聞いた気がしますので」
「え?」
「調理は流石に怪しまれるのでそのまま持ってきますね」
「え?」
「流石にそのままはいけないと思いますので、水だけはお持ちしますね」
「え?」
「あっしまったごめんなさい。そうなるとこの昼食は要りませんでしたね、融通が効かなくてすみませんでした」
「待って下さい!!!」

 俺は全身全霊を掛けて地べたに体を擦り付けた。
 確か東洋の島国の伝承の奥義、自らの過ちを全身で詫びる事が出来る体勢があると、東洋から出てきた騎士の一人が話していたのを聞いた事がある。

 きっとこうに違い無い。

「すみませんでした!!!」

「それ・・・土下・・寝?」

 足のつま先から指のつま先までピタリと地面に貼り付かせた。
 ほぼうつ伏せのまま鼻が地面に押し潰される痛みに耐えながら俺は全身を持って、詫びる!

 くっ、なんて辛い体勢だ。いくら衰弱しきった身体とは言え・・・つ、つ、つ・・・つっ!!!!

「冗談ですって本当にごめんなさい! つい僕も楽しくなっちゃっ・・・あれ? 大丈夫・・・ですか?」

「ごめん・・・つった・・!!」


 急激な無理な体勢。俺の今の身体にはあまりにも・・・刺激が強かったみたい・・・だ。

ガクッ・・・。
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