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カルテ1 発熱
1-5 排泄
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「多目的トイレで(うんち)してね。……あと、便を見たいから流さずに、……終わったら赤いボタンを押してちょうだい」
看護婦はそう言うと、診察室のドアを開け、わたしの背中を押した。
トイレは待合室の横にあった。つまりトイレに行くには、このブリーフ一枚の格好で待合室を横切らなくてはならないのだ。
脱いだシャツを着ることもできたが、今にも漏れそうな状態で、そんな余裕はなく、そのままの姿でトイレに向かった。
中待合室から待合室に出ると、ブリーフ一枚で歩く中学生のわたしに、視線が集まった。もちろんじっとは見ていないのだが、全員がちらちらと見ているのが分かった。
本当は速く歩きたかったが、その時は、便意をこらえるのが精一杯で、漏らさないようにお尻の穴を閉めて歩かなくてはならず、ゆっくりと変な歩き方しかできなかった。
トイレに着いて、便器に座ると同時に、大きな音とともに便が排出された。
しかし、ホッとしたのもつかの間、目の前が真っ暗になり、フラフラして、床に倒れた。
意識はあったが、立ち上がることのできないわたしは、左手で辛うじて届く赤いボタンを押した。
意識が朦朧とする中、何人かの看護婦がトイレに入ってくるのが分かった。「たっくん」と呼ぶ母親の声も聞こえた。
「たくみくん、大丈夫?」
看護婦の問いかけに、わたしは首を動かしてなんとか答えた。
「ちょっと漏らしてるからパンツ脱がすよ」
「じゃあ肩を持って、動かすよ。イチ、ニ、サン!」
そんな声だけが聞こえた。
わたしはうんちがついたブリーフ(少しもらしてしまったらしい)を脱がされ、お尻をティッシュで拭かれた後、担架に乗せられた。
それ以降の記憶はなく、次に気づいた時は、処置室のベッドの上だった。
結局わたしは転校のストレスによる便秘が原因で発熱したらしく、排便したその日の夕方にはすっかり熱が下がっていた。トイレで倒れたのは、初めての浣腸で緊張してしまい、いわゆる貧血を起こして、倒れたということだった。
看護婦はそう言うと、診察室のドアを開け、わたしの背中を押した。
トイレは待合室の横にあった。つまりトイレに行くには、このブリーフ一枚の格好で待合室を横切らなくてはならないのだ。
脱いだシャツを着ることもできたが、今にも漏れそうな状態で、そんな余裕はなく、そのままの姿でトイレに向かった。
中待合室から待合室に出ると、ブリーフ一枚で歩く中学生のわたしに、視線が集まった。もちろんじっとは見ていないのだが、全員がちらちらと見ているのが分かった。
本当は速く歩きたかったが、その時は、便意をこらえるのが精一杯で、漏らさないようにお尻の穴を閉めて歩かなくてはならず、ゆっくりと変な歩き方しかできなかった。
トイレに着いて、便器に座ると同時に、大きな音とともに便が排出された。
しかし、ホッとしたのもつかの間、目の前が真っ暗になり、フラフラして、床に倒れた。
意識はあったが、立ち上がることのできないわたしは、左手で辛うじて届く赤いボタンを押した。
意識が朦朧とする中、何人かの看護婦がトイレに入ってくるのが分かった。「たっくん」と呼ぶ母親の声も聞こえた。
「たくみくん、大丈夫?」
看護婦の問いかけに、わたしは首を動かしてなんとか答えた。
「ちょっと漏らしてるからパンツ脱がすよ」
「じゃあ肩を持って、動かすよ。イチ、ニ、サン!」
そんな声だけが聞こえた。
わたしはうんちがついたブリーフ(少しもらしてしまったらしい)を脱がされ、お尻をティッシュで拭かれた後、担架に乗せられた。
それ以降の記憶はなく、次に気づいた時は、処置室のベッドの上だった。
結局わたしは転校のストレスによる便秘が原因で発熱したらしく、排便したその日の夕方にはすっかり熱が下がっていた。トイレで倒れたのは、初めての浣腸で緊張してしまい、いわゆる貧血を起こして、倒れたということだった。
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