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カルテ1 発熱
1-1 中待合室
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中学ニ年の春、わたしは父の仕事の都合で、遠く離れた街に転校した。
5月に入り、ようやく新しい学校に慣れ始めた頃、突然寒気に襲われ、発熱。三十八度のくらいの熱だった。
すわ、病院へ……となったが、転校したばかりで、かかりつけの病院もないわたしは、とりあえず家から一番近い「うちだクリニック」という小児科に連れて行かれることになった。
病院の待合室に入ると、そこは真っ赤な顔をした小さな子供達でいっぱいだった。
ぐったりとしたまま一時間くらい待たされ、名前が呼ばれると、壁一つ隔てた中待合室に通された。
中待合室の白いソファーには十歳くらいの男の子と母親がいたのだが、その男の子はなぜかブリーフ一枚だった。
「たっくん、あれ」
母親が診察室の扉に張られている紙を指さした。その紙には、こう書かれてあった。
「たっくんも脱がなきゃ」
「いやだよ。ぼく中学生だよ」
そんな会話をしていると、診察室のドアが開き、小学生の女の子と母親が出てきた。女の子も絵のように下着だけになっていた。
中待合室にいた男の子が中に入り、わたしは仕方なく上半身だけ裸になって、呼ばれるのを待った。
5月に入り、ようやく新しい学校に慣れ始めた頃、突然寒気に襲われ、発熱。三十八度のくらいの熱だった。
すわ、病院へ……となったが、転校したばかりで、かかりつけの病院もないわたしは、とりあえず家から一番近い「うちだクリニック」という小児科に連れて行かれることになった。
病院の待合室に入ると、そこは真っ赤な顔をした小さな子供達でいっぱいだった。
ぐったりとしたまま一時間くらい待たされ、名前が呼ばれると、壁一つ隔てた中待合室に通された。
中待合室の白いソファーには十歳くらいの男の子と母親がいたのだが、その男の子はなぜかブリーフ一枚だった。
「たっくん、あれ」
母親が診察室の扉に張られている紙を指さした。その紙には、こう書かれてあった。
「たっくんも脱がなきゃ」
「いやだよ。ぼく中学生だよ」
そんな会話をしていると、診察室のドアが開き、小学生の女の子と母親が出てきた。女の子も絵のように下着だけになっていた。
中待合室にいた男の子が中に入り、わたしは仕方なく上半身だけ裸になって、呼ばれるのを待った。
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