1日休んだだけなのに

東門 大

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第6章 招待されただけなのに

6-12 中川健康チェックを受ける

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   家畜としてつながれてから、十五時間くらいたった頃だろうか。

   僕のところへソラがやってきた。手には何かボードのようなものを持っていた。

「ヤッホー、ブータ」

 僕はメイが怒ってやって来たことを思い出し、何か罰を与えられるのでないかと、ビクビクしながらソラの行動を観察した。

「大変だったね、ブータ。メイ怒ってたでしょう。タイミング悪すぎだって。……そんなこと言ってもわかんないか。とにかくあれでメイのお楽しみが消えちゃったからね。仕方ないよ。怒られても」

   ソラは鞭などの道具にスプレーを振りかけて磨き始めた。

   ソラは、道具の消毒と片付けに来たのだった。

「あれ?ご飯食べなかったんだ」

「これ、全然減ってない」

 ソラはスティックタイプの栄養補助食品やコーンレークを手にとって見せた。

 僕は水がおしっこなら食事はうんこに間違いないと考えて、マダムに声をかけなかったことを悔いた。実際今でもお腹はペコペコだった。

「それ、もらえませんか?」

 そんなこと聞くとお仕置きされるかもしれないと思ったが、それを覚悟でお願いしてみた。

「やるわけないでしょう。明日マダムにお願いしなさい」

 いとも簡単に断られ、僕は落胆した。そこへソラが先ほどのボードを持って近づいて来た。

「どこか調子の悪いところはない?頭が痛いとか」

 僕は首を横に振った。

「そう。体の異常はなし。と」

 ソラは持っていたチェック表に印をつけた。

「おしっこもらしたの知ってるけど、ウンチは出た?」

 それも首を横に振った。

「そう、もし明日の朝も出なかったら、薬をあげるね。環境が変わると便秘になる子もいるんだって」

 僕はそう言われて、初めてウンチをしていないことに気づいた。そして、人にウンチの許可をとるくらいなら、薬など飲まず、このまま便秘でいようと考えた。

    ソラはボードを床に置くと、さらに接近してきた。

「痛いところはある?喋っていいわよ。…そう言えば、首のところ少し火傷してたね」

 ソラはチューブ状の塗り薬をポケットから取り出し、僕の首に塗り始めた。

「イッ!」

「触られると痛いよね。我慢してね。…私たちもこうやって家畜のメンテしてるのよ」

 てっきり何かされると思っていた僕は、それを聞いて安心した。
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